見出し画像

看護師を潰す看護師

お久しぶりです。

Nバクです。

本日は、「看護師を潰す看護師」というお話です。

音声はコチラから
↓↓↓↓↓



過去のNラジの放送でも、「看護師を守れるのは看護師だけである」という話をしたんですが、この思いももちろん変わってません。

ただ、
看護師を守れるのが看護師自身なのであれば、つまりは、看護師を潰すことができてしまうのも、当然看護師だよね、というお話をしたいんです。

お給料とか、仕事内容とか、勤務の過酷さとか、プライベートとの両立とか、看護師が職場を去っていく理由って山程あるんですが、「潰れる」というのは、またニュアンスが違いますよね。

今日は「潰れる潰れない」の話です。

画像1


私は、新卒でオペ室に配属されて、このオペ室で私は5年間勤めました。

スタッフは60人くらい居る大きな手術室で、心臓手術も、小児科の難しい手術も、移植も含めて色々やってました。

ここで、何人も何人も、潰れていく人を見たんです。

確かに覚えることもいっぱいあるし、先生も怖い時は怖い。
手術中に急変があったり、深夜までのロング手術と夜通しの緊急手術が重なったり、業務は過酷だったものの、

私は、入ってきたばかりの異動組とか既卒入職組の人たちが追い詰められていくのを、若手ながらじーーーーっと見つめていて、その現場の仕事に不慣れな状態のナースにとって、先輩ナースってなんでこうも「絶対的な存在」なんだろう・・・

と素朴に疑問を抱いたもんです。

事件発生

画像2


そんなある日、こんなエピソードがあったんです。

エピソードというか、もはや事件、、です。

内科系の病棟から移動してきたばかりの、外科領域とか急性期領域とか、ましてオペ室なんて全然希望でもない中で頑張って働いて、業務を覚えようと奮闘していた、、、当時30代前半の年齢のナースが、21番メスで、ザックリ手を切ってしまいました。

よく看護師は「針刺し事故」と言って、アクシデントレポートとか書いたりしますが、抗生剤なんかを作ってるときに、バイアルに刺そうと思った針が手に刺さったり。

採血後にスピッツに刺そうと思って手に刺さったり。

これはいわゆる、文字通りの「針刺し」ですが、
オペ室は、もっと色んな刃物を扱います。

私はこの時、多分看護師が起こせる最大規模の針刺し事故を目撃したんじゃないでしょうか。

「メス」というものは、世界で一番切れる刃物、といわれてるくらいなので、取り扱いには細心の注意を祓うべきだし、この付け外しを安全にやる、というのも、スキルとして持っていないといけません。

ただ、もうこの時は、ザックリ行ってしまったんです。10cmくらい。
切ってしまったものはしかたがないんですが、この状況を受けて、現場の周囲の看護師のリアクションが、はっきりと「2パターン」ありました。

画像3

優しい先輩と、怖い先輩の決定的な違い

衝撃の同僚スタッフの大怪我を受けて、現場の先輩たちのリアクションは一体どんなものだったか。

一方は、「痛かったね〜」「びっくりしたね!」「大丈夫だからね」「形成の先生に看てもらおう!」「一応駆血帯持ってきて〜」と声をかけ続け、迅速な対応し続ける、優しいパターン。

一方で。

「どんなメス刃の外し方してた?」とか、「ちゃんとコッヘル使ってた?」とか
「メス刃の外し方って、誰が説明してたっけ?」「〇〇さんじゃない?」と口々に話している先輩陣がいました。
塩対応どころの騒ぎじゃありません。

この後者の方に、私は絶句してしまった。

こうして事故ったときにも、明確に、物理的に怪我してるときにも、床を拭かないと行けないレベルに出血してるときにも、こうしてさらに、攻撃されるんだと。

そりゃあ、見た目にはわからない心の傷とか、人前では見えない涙なんて、この人達にとったら関係ないよな・・・と感じました。

なにより当時の私が重要視したのは、この職場では、後者の塩対応の先輩たちのほうが実権を持っている、という現実でした。

実権とは?

この実権って何かというと、塩対応の先輩たちは、器械出しをさせても外回りをさせても正確で、速い。
知識も深いし経験も長い。
だから会議のときも、何か部署の方針を決める時も、みんなこっち側の意見を尊重していました。

全診療科の先生たちも、この先輩陣には逆らえない状況。
業者さんの対応も含め、こっちが主導権を握ってます。

要は。

その職場の空気を決めているのは一体誰なのか。
その現場に主に漂っている空気はどんな匂いで、それを放っているのは誰なのか。
このチームの色は何色で、それは誰の性質が反映されているのか。

これで全て判断しないといけないな、ということです。

いい人も、優しい人も、意地悪な人も、きつい人も、チャキチャキした人も、ゆるふわな人も、もちろん色んな人が居るんです。にんげんだもの、ですよね。

それはたぶんどの職場に行っても、どんな業界でも同じで、面と向かって失礼なことを言う人もいれば、陰で何かを話す人もいる。

熱い人もいれば、あったかい、優しい人もいる。

あの人とは合うけど、この人とは合わない、そんなことは当然起こりうる。

ただ、
私は、優しい先輩も沢山居る中で、この職場の空気を決めているのは、この優しい先輩たちではない、とはっきりわかってしまったんです。

むしろ優しい先輩たちは、普段目立たないように、息を殺して、目立った発言をせずに、当たり障りないように仕事をしていて、怖い先輩たちに押さえつけられて淡々と仕事をしていました。

怖い先輩たちが放つ空気で充満しているこの場所で働いて、その空気をどんどん吸うから、自分で浄化できないタイプの人が、どんどん潰れていくんだと、はっきり気付いてしまった。

そんな状況を見て、ここに長くいるのはやめよう、と決めたんです。

画像4


6年目で転職した救命センターで、私はこの自分自身の分析というか、考察というか、これが核心に変わる出来事に遭遇しました。

この救命センターでは、現場の空気を作ってるのが、前者の「優しい系」「あったかい系」キャラの先輩たちだったんです。

むしろ、むやみに感情的に新人や若手を潰しに行くスタッフが、しっかり問題視される空気感。

そんな言い方しなくてもいいんじゃない?この子はこう思ったんだと思うよ、と新卒がやられてるその場で割って入ってくれるベテラン。

実力のある、先輩に、ちゃんと人望がある状態。
こういう現場では、若手スタッフたちが、しっかり先輩たちに憧れていました。

この光景を見たときに、
あぁ・・・こういう場所なら簡単には看護師は潰れないな。
と思ったんです。

いい空気を放つには?

私達看護師が働く上で、関わる人はめちゃくちゃ多いですが、やはり「先輩看護師」とは、その場所の業務を教えてもらわないと始まらないので、最初は密に関わります。

一番心が不安定で、知識も技術も何もかも不安定な新人や若手、移動してきたばかりの時期に、どんな空気を吸うのか、どんなエネルギーを浴びるのかって、めちゃくちゃ重要なんじゃないか、というのが私の結論です。

いいエネルギーを充満させるムード作りというものは、一人ひとりのちょっとした振る舞いの集合体なので、変な空気が流れたら空気清浄機代わりになったり、ゴミが落ちてたら拾ったりする、そういう掃除役に回ってもいいし、

逆に、いい匂い、いい空気を放つ、自家発電気味にいい光を放つ側に立ってもいいし、

もしくは、目には見えないケガとか、血は出てないけど、実は陰で流れてる涙とか、そういうのもに気づいたら、その手当に回ってもいいと思います。

看護師を潰すのは、一番近くに居て一番接する時間の長い看護師である。
看護師を守れるのは、もちろんその痛みがわかる看護師である。

私はそんな風に思います。

みなさんはいかがでしょうか。

Nバク

最新動画はコチラ

↓↓↓↓↓


いいなと思ったら応援しよう!

Nバク
「Nバクの活動を応援したい」と思って頂ける方は、是非サポートを!!!!! 「頑張るナースに捧ぐ」ための活動資金に当てさせて頂きます。