誰にも言えない夢
夏の訪れを感じるようになってきた。
花粉で苦しむことがなくなるのか…と安心するのも束の間、暑さで悶える自分が想像つく。
季節と季節の間が、いちばん好きだ。
体調を崩しやすくなるし、気候の変動が激しい時もあるが、ワクワクするから好き。
特別、その時期の夜が好きになる。
何だか、主人公になった気分になる。浮き足立つ。私だけだろうか。だとしたら、少し恥ずかしい。
いつか、真夜中に缶ビールを片手に散歩するのが夢。危ないので、自分の身を守れる術を得てからだけど。三年前から私の密かな夢。
他にも、密かな夢がある。
高校三年生の時にお世話になった芸術家の先生に会いに行くこと。これは、なかなか難しいかもしれない。あわよくば、二人で喫茶店に行ってみたい。叶うことが難しい、夢だと思う。
高校生という肩書きが消えたら、先生に会いたいと思うことは減ると思っていたが、まだそこまでいけなかった。会いたいと思う。
会いたい人に、会えない。
それは、世界を騒がせている病原体のせいではない。でも、そのせいにしてしまえば、丸く収まる。
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