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読書記録 #01 なぜ今「人権」が大切だと言われるのか

「人権と国家 理念の力と国際政治の現実」筒井清輝

本を選んだきっかけ

・仕事の中で人権という言葉に触れることが多く、ふと、改めてなぜ今世の中で人権が大切だと言われるのか疑問に思った。

・人権という概念は歴史的に考えればかなり最近の概念であって、それが今当たり前のように公教育で教えられていることや、企業がサプライチェーン上の人権配慮を求められる流れはなぜ現代のこのタイミングで起こっているのか、気になって本を探し読んでみた。

面白かった点

・国家が人権を唱えるのは不都合が多いのに、今やほとんどの国家が表上は人権に配慮した行動をとろうとしている。

・他国家を批判する道具として人権を使用(例えば、自国の経済に影響があるから他国に戦争をやめさせたいが、それを押し出すよりも人権を理由に批判をした方が国民や他国の賛同を得やすい)するが、その批判がその後自国の人権状況に対する批判として返ってくる。

・国家が人権が大切だという教育を行い、啓発活動が行われる理由のひとつは「人権力」を国民一人一人が育てなければ、世界の中で取り残されてしまうから。

・ある種類の人権概念を広めることで、自分が人権侵害をされていた、またはしていたことに気づくことができる。そこで声が上がり広まることで、差別の解消に向かう。

・普遍的人権が世界で広まったのは情報通信が発達し、写真や映像で人権侵害の様子を見ることができるようになったから。

・戦後、先進国から発展途上国まで広がった普遍的人権の概念は今や国家と同程度の経済規模を持つようになった大企業にも、その遵守が求められるようになった。

感想

・思っていた以上に今の時代に生きる私たちには「人権力」が求められている。

・自分がされたら嫌なことは他人にしないように、みんなが幸せに生きるために人権が大切だ、と教えられてきたが、それに加えて歴史や国際政治の流れの中で「人権力」が求められるということが分かり、あらゆる場面で人権が大切だされることが腑に落ちた気がする。

・もう少し関連本を読んでみたい。


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