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前に出ることだけがすべてじゃない

サッカーは点を多く決めたチームが勝つスポーツです。その点を決めるのは基本的にフォワードですが、フォワードだけでチームは成り立つでしょうか?サッカーを通じて、自分にあったポジションについて考えてみませんか?

はじめに

「サッカーで好きなポジションはどこですか?」と質問すると、「フォワード(以後、FW)」と返ってくると思います。その理由はゴールを決めることが多く、目立つからであるからだと思います。小学生のときに友達とサッカーをするとFWから先に埋まり、ゴールキーパー(GK)やディフェンス(DF)は余り人が付くポジションになることがあったと思います。そして人気のあるサッカー選手は基本的にFWの選手が多いです。しかし、サッカーはFWだけで成り立つスポーツでしょうか?FWは人気があるからといって、他のポジションは手抜きでいいでしょうか?その答えはNOです。エース級のストライカーがいても弱いチームは存在しますし、エース級のストライカーがいなくても強いチームも存在します。実はサッカーの強いチームほど、FWもさることながら、DFがしっかりしています。今回はサッカーを通して、FW(表舞台)に出ることだけがすべてでないということを書いていこうと思います。実はサッカーの考え方は、社会生活において重要なことを示してくれていると思います。

サッカーとは

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サッカーは1チーム11人でするスポーツで世界でも人気の高いスポーツです。ポジションは前からFW、ミッドフィルダー(MF)、DF、GKという順番になっています。FWは得点を決めるポジションで花形のポジションです。有名な選手は前田選手、南野選手、乾選手で、外国人ではジェズス選手、メッシ選手、レバンドフスキ選手、マンジュキッチ選手が有名です。MFは攻撃と守備の起点となるポジションで、パス1つで試合の流れを変えることがあります。有名な選手は遠藤航選手、長谷部選手、香川選手、久保選手で、外国人ではモドリッチ選手、クロース選手、ビダル選手です。DFは守備をメインに行いますが、サイドバックは攻撃にも参加するのが最近のサッカーの主流で、守備だけなく攻撃も求められます。有名な選手は長友選手、冨安選手、吉田選手で、外国人ではフンメルス選手、ファンダイク選手、ボアテング選手です。GKはゴールを守る選手で唯一手を使うことが許されています。有名な選手は川島選手、権田選手、谷選手で外国人ではノイアー選手、デヘア選手、ナバス選手がいます。ちなみに僕の一番好きな選手は引退したドイツのラーム選手です。攻撃の布陣であるフォーメーションはGKを除いた10人で構成されます。3バック、4バックはDFの人数を指し、中盤はボランチやアンカーのような守備的なMFのことを指します。パスを重視するか、カウンターを重視するか監督によって異なるため、起用される選手が異なるということもよくあります。監督が重視するポイントに合わせて選手を起用するので、前の監督ではよく使われていた選手が、監督が代わった途端、ベンチ入りすらできないということもあります。監督次第で選手に求めるものが大きく変わり、使い物にならない選手が存在しないのもサッカーの魅力です。あの監督の下であの選手はすごい成長を遂げたということもあります。その天才がユルゲン・クロップ監督です。チームにはバランスが求められ、個人では巡り合わせが感じられるスポーツだと思います。

FWだらけの組織はガタガタ

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ある学校や会社や部活など人が複数に集まっている集団を組織と言います。その組織で全員がFWのような目立つポジションにいれば、どのようなことになるでしょうか?組織としてはボロボロで、1つの部分だけ突出していて、他は何もできないという状態に陥ってしまいます。学校であれば、全員が学級委員、会社では全員営業マン、部活では全員部長となると、1つのことしかできなくなってしまいます。サッカーも全く同じで、全員がFWであれば攻撃ができるが、守備はできなくなってしまい、チームとしてガタガタです。僕の好きなチームのセレッソ大阪は一時期ワールドクラスの選手を集めていましたが、戦力だけを見れば、どのJ1のチームより強いのに、その年、J2に降格してしまいました。理由は簡単でFWの強化をし過ぎて、他のポジションの強化が杜撰になっていたのです。それに対して、その年、優勝したガンバ大阪は長谷川健太監督(現・FC東京監督)の下、バランスのよいチーム作りをした結果、優勝しました。ちなみにですが、長谷川監督は、ちびまる子ちゃんの作者・さくらももこさんと小学校時代の同級生だそうです。強いFWの選手でチームが強くなるほど、甘い世界ではなく、全体的に底上げをするのが、サッカーのチーム作りのポイントです。FWだけを強化するのは素人考えになってしまいます。その当時のセレッソ大阪は中盤から前線にボールがなかなか行かず、FWが機能しない事態に陥っていました。そんな状態では、どんだけ良いFWも飼い殺し状態になってしまいます。降格した年にセレッソ大阪にハマったおかげで、ちょっとやそっとのことでは、他のチームのファンになることはないですが(笑)

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目立つポジションの強化は重要なことですが、それに伴い他のポジションの強化も必要です。五角形にチャートグラフに例えると、綺麗な五角形にする必要があり、どこかだけが突出しているだけは良くありません。FWを活かすのは、MFやDFです。MFやDFはチームの土台で試合運びを左右するポジションです。MFやDFを強化すれば、FWも活き、おのずとチームも強くなります。冒頭に触れたように強いチームではMFやDFがしっかりしている理由は中盤から前線へのボールの供給が行いやすくなり、FWの仕事に専念できるからです。組織として傾いている時は目立つポジションの強化を図ろうとして、結果さらにひどくなってしまい、同じようなことを繰り返す悪循環に陥ってしまいますが、実は裏で支えるポジションの強化を図る方が重要だと思います。サッカーがその端的な例で、どれほど優れたストライカーがいても、その選手を活かす環境や他の選手との実力に大きな乖離があれば、その選手の本来の力が発揮できません。2010年、2018年W杯の日本代表や2014年W杯のコスタリカは、対戦相手が強豪国であっても、勝利を収めることができたのは、全体的な底上げとチームのバランスがよかったからと言えます。これはサッカーだけでなく、他の組織でも同じことが言えます。大企業に匹敵するぐらい力を持っている中小企業はどこかの部署だけを強化するのではなく、全体の底上げを図り、全体的なバランスがよく、安定しているからではないでしょうか。

サッカーから自分の適性を見つける

FWのように目立つポジションに憧れを持つ人は多いです。実は憧れが先行しすぎて自分の適性を見失うことがあります。憧れのポジションに就いても、適性がなく、しんどい思いをされた方はいらっしゃるはずです。これをミスマッチと言います。憧れが強くなればなるほど、それを諦めることが難しくなるのは当然のことだと思います。憧れは抱くことと自分の適性の適合は別問題です。成功者は憧れと適性が合っていたとも言えますし、自分の適性から大きな目標を憧れとしたとも言えます。このことを忘れるとミスマッチが起こってしまいます。憧れの呪縛はそう簡単に解けるものではありません。そんなときにサッカーのポジションのことを思い出してください。点数を決めることは重要ですが、最終目標はチームが勝利することです。自分が点を決めるという気持ちは重要です。しかし、それ以上にチームが勝つために何ができるかであったり、自分はどうすべきなのかであったりを考えることの方が重要だと思います。つまり、自分に一体何が向いているのかをしっかり見極めることが重要です。就活生がよく自己分析をやりすぎて、わけがわからなくなってしまうことがあります。実はサッカーのポジションを使った自己分析をすれば、自分がどのポジションに向いているかの方向性を定めることができると思います。FWかMFかDFかGKタイプかに分かれます。今までの経験からどのポジションに回ることが多かったかを洗い出し、どのようなポジションにいるときの評価が一番良かったかを思い出してください。そうするとおそらく、4つのポジションに当てはまるはずです。僕も実際そうしていました。この方法は結構使えて、自分の性格的にどのポジションが向いているかを知ることができ、それに合わせたエピソードや自己PR、そして企業や職種選びをします。憧れへの思いを実現させる前に、監督になって自分ならどのポジションで起用が一番いいのかを考えてみると面白いかもしれません。思ってもみなかった得意分野が生まれるかもしれません。ちなみに僕はDFか守備的なMFのタイプで、前にグイグイ出るのがあまり得意でないタイプで支える立場に回ることが多いです。実際のサッカーで自分のやっているポジションが性格にまで出るのかもしれません。

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サッカーのゴールはどんなことがあっても1点で最後にボールを触った人が記録として残ります。しかし、そのゴールは何本ものパスから生まれ、そのパスを出した数人の選手の重みが詰まった1点です。FK(フリーキック)で直接決まるようなことは少なく、基本的にプレーの流れで点は決まります。つまり、1つのことを成し遂げるのに1人で成し遂げることは、なかなかあり得ないということを示しているように思われます。偉業を成し遂げた偉人も記録としてはその人の名前だけが残っていますが、生前に関わっていた人のおかげでその偉業は達成されたのではないかと思います。偉業を成し遂げて、名前を残すことがすべてではなく、偉業達成をサポートすることも偉業を成し遂げる以上に重要だと思います。ゴールは誰かのパスから生まれるものだとすると、そのパスを自分が出すことで偉業の達成の手助けをすることになるかもしれません。名を残す側に回ることもいいですが、名を残させる側に回るのもいいのかなと思います。


最後に

僕のサッカーを始めたころは、FWをやりたいと思っていました。やっぱり点を決めたいと思っていました。しかし、DFを任されることになったときは不服でした。そのときに「DFは初心者じゃなくて、慣れた人がするポジションだ。FWはミスをしてもチームが負けることはないが、DFがミスをすれば、チームが負けに繋がるリスクが高い」と言われました。その時の僕はドが付くぐらいの初心者でしたが、嬉しかったのを覚えています。支えるポジションに回る方が知識や経験が求められるほど責任が重いのだと知りました。「だったら、FWやらせてくれよ」と思ったのも事実です(笑)
この先輩の言葉は生きる上で重要な言葉として、胸刻んでいます。目立つポジションは確かにかっこいいけれども、それを支えるポジションはそれ以上に重要で、目立つポジションに立つ以上に難しいということを教えてもらっているような気がします。僕はサッカーを知れば知るほど、目立つことだけがすべてではなく、目立つ人の裏では何人もの支えがあり、その支えなしに目立つ人は生まれないのだと思うようになりました。今ではDFというポジションも進んでしていますし、FWが向いていないこともわかりました。センターラインを越えると攻撃するとなると使い物にならなりませんが、自陣ではボールを通さないように体を張ります。相手のパスをカットして、味方に出したパスでゴールが決まった時は非常に嬉しくなります。DFは目立たないうえに、責任の重いポジションですが、そこでしか味わえない楽しさがあります。スポットライトの当たるポジションがすべてではなく、お互いの役割がしっかりとしているから機能するということを11人で構成されるチームが教えてくれました。ピッチはサッカーをするフィールドですが、それ以上にたくさんのことを教えてくれる先生のような存在と言えるかもしれません。

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