クリエイティブとは早い話がパクリ。パクりまくれ!
■クリエイティブとはなんなのか?
新田です。
クリエイティブとはなにかというときに、「想像は模倣から始まる」という言葉を思い出します。
みんなも経験があると思いますが、自分の好きだったゲームとか漫画を模倣して作るのが、まず最初にあるんじゃないかと思います。
そういう意味で、クリエイティブとはまずは「マネ」から入り、そこから守破離していくものなんだろうなと思います。
■守破離とは?
守破離というのは、物事を極めていくときの流れです。
「守」はまずは模倣するものが持っているルールを守る段階。
「破」はそのルールを破る段階。
「離」は模倣するものから離れる段階です。
やはり、最初はマネから始まります。
そしてそのマネしたものがそっくりそのまま再現できる段階までいくと、だいぶ基礎が身についた状態だと言えます。
イラストでいうと、プロの作家の技術をそのまま真似るというのは、それだけで非常に時間がかかるものです。
ですから同じようなイラストを完成させるということは、それだけの技術を身につけることですし、基礎が身についていないと技術をマネするのも一苦労です。
ゲーム制作で言うなら、まずはプログラムでなにか画面上で動かしてみる。
そのあと、ゲームオーバー条件をつける。
とりあえずは、それだけでひとり遊びゲームは成り立ちます。
僕の場合は、プログラムの初学当時、「R-TYPE」と「雷電」というシューティングゲームが好きだったので、まずはシューティングゲームを作ることにしました。
パソコンのモニタが横画面だったので、まずは横スクロールシューティングにしました。
初作で完成したものがこれです。
動画はこちら。どこかの購入者? がアップしてくれてます。
https://www.youtube.com/watch?v=OkKC--w9BdM
[x68000] R + R – Longplay
「めっちゃ完成度高いやんけ!!」
と思ったかもしれませんが、プログラム、グラフィック、音楽をほとんどひとりで作って5年かかってます。
こんだけかければ誰でもこのクオリティくらいにはなるんじゃないかと。
というか今の時代で5年もかければものすごいクオリティのものができあがりますよ。
■まずは模倣から
このゲームはX68000というパソコンで、Cコンパイラも持ってなかったのと、コンパイラだとできたものが遅いという触れ込みだったので、全部アセンブラで作りました。
プログラム自体は、学生時代にBASICやCなどを独学し、多少知っていた程度でした。
アセンブラは制御文というとレジスタ(今で言う変数)の比較による分岐くらいしかなく、あとは関数制御があったくらいでした。
データは全部メモリに保存してコントロールしてたと思います。
当時は守破離もわかってませんでしたが、まずはパソコン雑誌に載っていた、アセンブラのコーディング方法に載っていたサンプルコードを打ち込んで、「動くところから」はじめました。
プログラムは、「動くところから始める」のが基本です。
というよりそこから始めないとどーにもなりません(笑)。
動いているコードをどんどん継ぎ足して、動かしてみて動いたら機能を多くする、動かなかったら直す、というのを繰り返して作っていきます。
そして作る際に大事なのは、「作品理想形を持っておく」ということです。
なにを作るかが明確であれば、継ぎ足していく機能も明確になります。
僕の場合はシューティングゲームでしたから、
・自機が動かせる、弾を出す
・スクロール機能
・敵出現マネージャ
・当たり判定を持って自機も敵も死ぬ
これくらいは作ることが想定されているわけです。
ですのでアセンブラを覚えつつ、その機能をどんどん継ぎ足していったわけです。
作るものが決まっていると早いですね。
プログラムは、ある程度のコーディング方法と作法を覚えてしまえば、あとはその繰り返しと組み合わせであり、そんなに難しいことはなくなります。
グラフィックについては、3回入れ替えました。
これについては、当時ゲーセンの店員のアルバイトをしていて、ゲーセンが暇なときにゲームの設定画面から見れるキャラクタの色使いの法則などを見て、それをどんどん取り入れていったので、全体更新する必要が出てきてしまったのです。
当時はゲーセンでも256色のゲームが多かったのですが、16色のパレットに2~3色のグラデーションを使ってきれいに見せる手法が主でした。
いろんな色を混ぜて使うより、少しの色でもグラデーションがあるとキレイに見えるのです。
グラフィックの造形についても、気に入っていたゲームのキャラクタの造形を研究し、アニメーションは一箇所でもものすごくパターン数の多いアニメをすると、非常に完成度の高いゲームに見えるところなどを取り込んでいきました。
ほかは、画面に多く出現するもの、シューティングゲームでいうと爆発ですが、これをものすごい細かいアニメーションにしたり、当時のアイレムのゲームは爆発の前に白い円で爆発フラッシュを表現していて特徴的だったりしたのをマネしましたね。
これらは見た目の完成度上げるコツでした。
こうしたテクニックは、今でも十分通用し、表現にクセを持たせたりすることで、独自性を表現することができます。
こうした細部については、やはり「模倣する」ことによって細かいところが見えてくるので、「まずは模倣してそのレベルまで到達する」ことは、非常に大事だと思います。
こうして、「こりゃプログラムならひとりでRーTYPE作れるレベルになったわ」と思ったところで、これをポートフォリオにして、ゲーム会社への就職に成功しました。
■守破離のその後
守破離は、その期間で言うと、
守守守守守守守守守守守守守守守守守守守破破守守守破破破破破破破破離離離
くらいの感じで、守を本当に徹底的やらないと破にはいけません。
いけませんというよりも「基礎に飽きない」という言葉どおりでないと、なかなかお約束を越えていいものを作るというのは難しいのです。
人間の基礎力も、運動は毎日の練習や鍛錬を怠っては高いレベルにはいけませんし、知性も基本的な語彙力や概念の把握による思考の幅の増大なしには、新しいものを作ることなどできません。
正確には「できはする」のですが、「うまくできない」のです。
ただし、ショートカットする方法はあります。
それは「先人に習う」ことです。
すでに新しいものを作り出している、面白いものを作り出している人たちから直接聞く、直接聞けなくてもインタビューや自伝などを読むことで、彼らがどういう考えを持って、どういう経緯で考え方を変えてきたかは把握できます。
そうして「成功者」「熟練者」に習うことで、自分もその思考に近づくことができます。
そして自分なりに研究し、彼らに近づき、その素地は身につけたと思ったら、だんだんとルールを破り、そこから離れる準備をする。
そうして、徐々に「自分なりのもの」を作り出していき、新しい流派、オリジナルとなることができるのです。
ビジネスも、クリエイションも、まずは先人に習う。
徹底的にパクり(TTP)、その手法を身に着け、徐々に自分らしさを目指す。
これが大事です。