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忘れちゃ、ダメだ。

  社会人になってから時が流れるのが異常に速く感じるようになった。学生の頃と比較すると圧倒的にイベントがないからだろうか。
 そんなことをボヤいたら、「うわー、オッサンですね」と後輩からダメ出しを食らってしまった。来年で30歳になるからもう若いとは言えない。
 今年もあっという間に終わり、新年を迎えようとしている。そんな時に[ALEXANDROS]の12/26以降の年末年始ソングを聴くようにしている。



 学生のときにドロス(当時はシャンペだったけど)を知ってから毎年行っている恒例行事になっている。音楽を聴くだけだから行事というのは大袈裟かもしれないが、約10年も続けている。

 コロナのおかげで忘年会という行事がなくなった。もう3年もしていないし、コロナが治まったとしても、病院勤務の僕らにはもしかしたら忘年会は復活しないかもしれない。それはそれでいい。呑んで騒げる歳ではなくなったし、煩わしい人間関係からも解放される。何より嫌なことは呑んで忘れて新年を迎えようという考えに賛同出来ない。


 マカロニえんぴつのはっとりさんのTwitterをみて、「だよね!忘れちゃダメだよね!」と心の中で言いながらいいね!を押した。
 そもそも人間は忘れるように作られてるんだから、無理に忘れようとしなくてもいい。(…まあ、みんな美味しい酒と飯を大好きな人たちと囲みながら語り合いたいだけかもしれないが。)
 何かの本で、人はそれぞれの価値観に従って忘れる生き物であり、その人が興味があることは記憶に留まりやすい的なことが書かれてあった。
 失恋したって時間が経つにつれて、何が原因で喧嘩をしたかなんてつまらないことはきれいさっぱり忘れている。多分僕が悪かったんだろう。都合の悪いことは覚えていない。
 だけどコンビニでアイスの実を買う中学生を見て、あいつもよくアイスの実食べてたよなとふいにその子のことを思い出すことはちょくちょくある。
 「またアイスの実やん、飽きんよな」
 「うるさいなー、だって美味しいじゃん」
 そんなやり取りをしながらアイスを買っていた。美味しそうに食べるその子の顔が好きだった。だが、時が経つにつれて色褪せていき、今ではどんな顔で食べていたのか思い出したくても思い出せない。

 大好きだったものでも時間が経つにつれて忘れてしまう。自分に都合の悪いことだったら尚更そうなのではないか。

 都合の良い事だけ覚えておきながら
 ああ何か 忘れてないか
 周りのせいにしてばかりの自分を
 多いに反省して

[ALEXANDROS] 12/26以降の年末ソング


 人は皆自分がかわいいからこそ、自分にとって都合の悪いことは見えないふりをしたい。僕だってそうだ。だけど、それではいつまでたっても成長できない。
 先程喧嘩の原因は覚えてないと書いた。些細な喧嘩の原因は覚えてないが、2人が別々の道を歩むことになってしまった原因はちゃんと覚えている。
 僕に生活力が欠如していたからだ。
 自分で家事をするになって彼女が何に怒っていたのかちょっとずつわかってきた。最後のほうは何も言わずに汚れがこびり付いたまま乾燥機に入れた食器を洗い直していた。
 今更遅いかもだけどあの時はごめんよとココロの中で彼女に謝る。届くはずがないのに。
 だけど、その苦い経験があったからこそ、あの時と比べるとちょっとはマシになったはずだ。
 成長をするためには痛みが伴う。自分のダメさゆえに仲違いした友人も何人もいる。

 誰かと過ごした時間を無駄にするってことはその人の貴重な時間を奪ったってことだぞ。時間は命だから、言い方悪いかもしれないけど、その行為は殺人と一緒だよ。

 知人に言われたことが今でも胸に残っている。生きているとどうしても失敗や過ちを犯してしまう。それは仕方の無いことかもしれない。
 だけど、そこから何も学ばなかったら無駄にその人の命を奪ったことになる。
 だからこそ新年を迎える前に今年一年をゆっくりと振り返って反省をしていこう。


 50秒で今年も終わるけど
 ああだから 来年こそ
 見つめ直した自分を信頼して
 除夜の鐘を鳴らそう

[ALEXANDROS] 12/26以降の年末ソング


 何もネガティブなことを言いたい訳じゃない。どうせ忘れてしまうのなら忘れてしまう前に嫌なことから逃げずに見つめ直すことで、より魅力的な自分に出会えるようになるんじゃないか。
 その小さな積み重ねが人を大人にしていくのではないだろうか。

 今年もこの曲を聴く時期になったね!って言ってたあの子もまだこの曲を聴いているんだろうか。  「ちょっとは大人になったじゃん」と笑う君を妄想してしまった。

 
 
 

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