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誰も読み解こうとしない Nintendo Switch 2 という製品名からみる戦略

Nintendo Switch 2 の公式プロモーション映像が公開されました。


多くの記事が、サイズや予想価格、転売対策などに注目していますが、私が一番注目したのは、実は「製品名」です。

この製品名から、任天堂の戦略が推察できるからです。

Nintendo Switch 2 について私が持っている情報は、皆さんと変わりありません。
公開情報も少ないため、私の推察(妄想?)に頼る部分が多くなっております。m(_ _)m





《ファミリーのナンバリングは任天堂史上初》

ゲーム好きの方なら皆知っている基礎知識ですが、おさらい。
任天堂は同じアーキテクチャのゲーム機を「ファミリー」として括っています。


Nintendo Switch 2 は、新しいファミリーとなります。そして、任天堂がこの「ファミリー」にナンバリングをしたのは初めてです。

世間では「製品名はシンプルだな…」くらいの反応ですが、世の中の人が思っている以上に、私は大きなことだと思っています。


《情報リークと目玉機能》

Nintendo Switch 2 はリーク情報が騒がれていましたが、私はあまり気にしていませんでした。何故なら、いつものことだからです😅

協力会社や 3rd Party(ゲームアプリ開発会社)に機材を提供する以上、そこから漏れてしまうのです。だからこそ、目玉機能に関しては社内関係者であっても、極一部の人間にしか知らされません。

Nintendo 3DS も、裸眼立体視の機能は任天堂から公式発表があるまで隠されていました。


Nintendo Switch 2 に関しても「どうせ目玉機能は隠されてるんだろ?」と思っていたのです。
しかし「Nintendo Switch 2」という製品名を聞いて、私はこう思いました。

もしかしたら、ハードウェアの方に目玉機能はないのかも?


《「Nintendo Switch」のブランド化》

私が以前勤めていた会社で、以下のような提案をしたことがあります。

ハードウェアを売って、それにサービスを付属させるのではなく
サービスを主体にして、ハードウェアを売るビジネスモデルにしないと
事業が続かない。

例えば、Amazon 社にとって、Kindle が売れなくても問題はないのです。Amazon というサービスが継続する限り、事業は存続するからです。


◎ゲーム機ごとにサービスが断続する任天堂のビジネス

任天堂の今までのサービスは逆で、ゲーム機ファミリーごとに別々のサービスが提供されていました。

例えば、Wii ショッピングチャンネルWii U ニンテンドーeショップ は、全く別のサービスです。
一体、私はいつくの FF6 バーチャルコンソールを買ったことか!
(毎回買うなよ、というツッコミはしないでください😅)

https://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ff6/index.html


要するに、任天堂は「ハードが主、サービスが従」というビジネスモデルだったわけです。


◎「ソフトが主、ハードが従」という呪縛

任天堂の 3 代目社長の山内さんは、インタビューで以下のように語っていました。

「私たちのビジネスはソフトとハードが一体型のビジネス。ハードを知らずしてソフトを語ることはできない。知った上でどこに主眼を置くか。つまり、任天堂はソフトが主で、ハードが従の路線」

(日経新聞 2023.09.21)
『任天堂・山内溥氏が遺した言葉 「イズム」守れるか』

https://www.nikkei.com/article/DGXZZO59970440Q3A920C1000000/


これは、長年に渡って任天堂を支えてきた方針でもあります。
任天堂はソフトとハードの 2軸 でビジネスを捉えてきたわけです。

しかし、この言葉はあまりに 強く実績があった ため、2000 年代に入ってネットワークサービスが台頭してきた後も、サービスという軸が入り込む余地を阻害してしまいました。

「任天堂はネットワークサービスが弱い」と言われる所以です。


◎Nintendo Switch はサービスの名前になる?

Nintendo Switch 2 という商品名を聞いたとき、私は

「Nintendo Switch」をブランド化する気なんだな


という印象を受けました。
つまり、今後は「Nintendo Switch」が単なるゲーム機の名前ではなく、ハード、プラットフォーム(ソフト)、そしてサービスの統合的な名前になっていくのだと思いました。

・・・要するに、PlayStation と同じになるって話なんですが😅


《真の統合は可能か?》

現行機の Nintendo Switch で行われたのは、プラットフォームの統合 でした。

Nintendo 3DS と Wii U では別々の OS が動いていましたが、これではプラットフォームの統合は不可能です。しかし、Nintendo Switch で OS が統合されました。

仮に「携帯専用 Switch」「据置専用 Switch」と分けて発売されたとしても、全く同じアプリ・サービスが利用可能だったわけです。
(おそらく、需要がなかったために据置専用は開発されませんでしたが。)


◎オンラインサービスの統合

そして、Nintendo Switch 2 では、引き続き Nintendo Switch Online が利用可能です。

ファミリーを跨いで同じサービスが利用可能になったのも、任天堂ゲーム機としては初です。(アカウントを共用することは今までも可能でした。)
つまり、Nintendo Switch 2 では、サービスの統合 が行われたわけです。

ただし!
「ハードが主、サービスが従」
の形は、まだしばらく続くと思います。
サービス主体の事業形態(Google や Apple のような事業形態)への移行は簡単ではないからです。
この辺りの考察も、機会があれば書きたいと思います。


◎「驚き」はハードウェアでなくてもよい

任天堂は「驚き」を重要視しています。

  • ユーザーを良い意味で裏切ること

  • ゲーム業界の敵は「飽き」である

ということを繰り返し述べています。

今までの任天堂は、ゲーム機の「驚き」はハードウェアによって提供してきました。しかし、残念ながらこの方法は リスクが高い のです。

Nintendo 3DS の裸眼立体視も、売上には貢献しませんでした。
それは、立体視の機能を排除した Nintendo 2DS というモデルを発売したことからも明らかです。


今後は、Nintendo Switch というブランド全体(ハードウェア、プラットフォーム、サービス)で「驚き」を提供していくという戦略に(やっと?)変わったのだと思います。

私は「Nintendo Switch 2」という製品名から、それを感じました。


《・・・最後に、ちゃぶ台返し》

今回は、公開情報から推測可能な事実ではなく、私の単なる推察を中心に書きました。

また、以下の記事でも少し触れたように、
任天堂という会社は意外と ”行き当たりばったり” な面があります。


もしかしたら、今回私が推察したようなことは考えておらず

  • 製品名もノリで決めただけ

  • 今後の戦略も特になく、宮本茂さんの鶴の一声待ち

なんて可能性もあります。
良くも悪くも、そういう会社なのです。




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