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【ゲーム業界よもやま話】発売延期は当たり前。ただし、例外はある・・・

ゲームに発売延期はつきものです。
延期する理由は様々ありますが、最も多いのは以下だと思います。

ゲームのクオリティ向上のための発売を延期します。

・・・建前はね。

真実は「単に完成してないから」です。

完成していなければ、発売できるはずもありません。
ある意味、クオリティ向上ではあるのですが。(^^;





《目指せ!プロモーションビデオ》

2000 年代初頭、私が勤めていたゲーム会社では、ゲームの大規模化にもかかわらず、「気合と根性」で開発するスタイルを貫いていました。(^^;

開発に「気合と根性」が必要なのは否定しませんが、それのみに頼っていると、当然の事ながら 開発遅延品質低下 が頻発するようになります。

こうなると、現場にはプロモーションとして出せる素材がありません。
ゲーム自体がまともに動いていない有様なので。

そして、会社が取った戦略が以下です。

プロモーションビデオ(PV)をムービーで作る

・・・詐欺やん。
しかし、ユーザー達は歓喜します。

素材提供:Pixabay

ユーザー「なんかスゴいゲームがでるようだぞ!」

戦慄が走るのは、開発現場です。
「・・・これ(PV)を再現しないといけないのか。」

素材提供:Adobe Stock


◎繰り返される開発合宿

しかし、そこは気合と根性の会社。
合宿命令を出します。早い話が泊まり込みです。

ディレクター「○月△日までに完成させるぞ!」

しかし、泊まり込んだところで完成はしません。
結局は、

合宿 ⇒ 延期 ⇒ 合宿 ⇒ 延期 ⇒ 合宿…

を幾度となく繰り返しました。
そして、いつしか現場には楽観的な空気が流れるようになります。

開発者「どうせ、今回も延期だろ。気楽にいこうぜ」

素材提供:Pixabay


◎ディレクターから延期不可能のご報告

突然、ディレクターから開発者たちに、このような報告がされました。

「来月から、このゲームの CM が流れます。延期はもうできません」

実は、このゲームはプラットフォーマーから資金提供を受けており、
そのお金で、会社が CM 枠を確保してしまったようなのです。

画像はイメージです(素材提供:Pixabay)


もはや、現場にできることはありません。
ディレクターからの指示も
「ここのフォントの色をもうちょっと・・・」
という、”そこじゃないだろ!” というものになりました。

けど、仕方ありません。
その程度しか、クオリティを上げられる箇所は残っていないのです。


《発売!そして、その後・・・》

ゲームは無事発売され、
無事に 2ch で叩かれました。(^^;

私は、しばらくして会社を去りましたが、
それから 10 年ほど経った頃、会社の社長が交代したという噂を耳にしました。

今では、まともなゲームを作れる会社になってくれたようです。
やっぱり、経営者の影響って大きいですね。

でも、労働時間は、あまり変わってない様です。(^^;
しかし、開発者の苦労が報われる会社になってくれたことは、せめてもの救いです。



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