SOCとコーピングでストレスに対処!
こんにちは!みなさんはストレスにどうやって対処されてますか? 私の場合はカレーを食べる、ランニングをする、お茶をする、映画を見に行く、とか。
「サボリーマンかよ!」
って言われたらそれまでですが、なんとか対処出来ています🍌🦍
ちなみに映画は業務時間内に見ると、休日にみるよりずっと内容豊かに感じます。(ダメ絶対
仕事や人間関係のストレスは誰にでもあることと思いますが同じような状況下でも、ストレスが生じる人もいれば生じない人もいます。
長距離の移動など物理的なことでストレスが生じる場合でもその程度には個人差があります。あまり考えたことがなかったのですが、このメカニズムを研究した人たちがいると言うので,少し調べてみました。
心理学者であるLazarusとFolkman(1984)は、ストレッサーが直接ストレス反応やその後の疾病を引き起こすのではなく、認知的評価やストレス対処法略(コーピング)といった心理的な要因によって、心身に生じる変化も異なるという「心理学的ストレスモデル」を提唱しました。
ストレス対処方略(コーピング)とは
ストレス対処法略とは、ストレスを効果的に管理・軽減するための具体的な方法や戦略のことを指します。一般的なストレス対処法といえば
リラクゼーション技法:深呼吸、瞑想、ヨガなど。
身体活動:運動やウォーキング。
タイムマネジメント:仕事や生活の計画を立てる。
ソーシャルサポート:友人や家族との交流。
趣味や興味:好きな活動に没頭する。
専門家の助け:カウンセラーやセラピストに相談する。
など、いろいろありますが、前述のラザルス&フォークマンの手法は
問題焦点型コーピング(Problem-Focused Coping):ストレスの原因となる問題を解決するための具体的な行動や計画を立てる手法。
感情焦点型コーピング(Emotion-Focused Coping):ストレスに対する感情的な反応を管理する手法。
に大きく分類しています。ストレスの分類は大きく3つあります。混ざっていることもあるかと思いますが、分類して冷静になるだけでもご利益がありそうな気がします。
・物理的・化学的ストレス 温度や湿度、騒音や悪臭などの物理的・環境的な刺激
・生理的ストレス 病気や体調不良、睡眠不足などの生理的な負担
・心理的・社会的ストレス 職場・家庭でおこる不安や緊張、怒りなどの精神的負担
ストレス対処法略の3要素SOC
「SOC(Sense of Coherence)」とは、「首尾一貫感覚」「ストレス対処力」とも呼ばれ、ストレスに対応するためのヒントになる考え方のこと。1970年代に、医療社会学者のアーロン・アントノフスキー氏によって提唱されました。Coherenceは「筋道が通っている」という意味で、日本的な正義感覚の表現「筋が通っている」というのと近いようで、これが出来ていると「気分が良い」し、「筋が通ってないと」モヤモヤするわけです。まさにストレス!
ナチスドイツの強制収容所に入れられた人たちの、その後の心身の健康状態の研究で、SOCが高い人は極限状態を経験しても、その後の人生を健やかに過ごせていた事から論文につながりました。
SOCは、「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」という三つの要素で構成されています。
把握可能感
「何かをパターンを見つけて把握できる」という感覚が起こること。
処理可能感
「わかった感覚を元に、対処できる場合があるのだな」という感覚になること。
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有意味感 「人生に意味を感じる感覚」になる
この「有意味感」がある状態を作ることがストレス対策の基礎となるようです。この能力の基礎は先天的な才能と幼少期の体験によるところが大きいそうで,最近の研究では戦争後遺症にもあるPTSDが実は体験より先天性の要因が強いことがわかってきたこととも繋がりそうです。
バイアスのかかった研究結果の間違いはこの本にも沢山消化されているのでオススメです。
ストレス対処法については前述したヨガや運動など様々なライフハックがありますが、ストレス問題は年々増すばかり。対処療法でその場を癒やす事はできても、根本解決になりません。心理学の研究ではよりくわしく分析や応用が進んでいるようです。
成長段階である程度決まる説
有意味感は育った環境や元の性格で個々人にかなり差があるようです。
なんでも面白がってポジティブな人、得意なことだけやけに元気な人、なんでも億劫な人、その時によってばらつきがあるムラッ気な人、など性格の違いがあることからなんとなくわかります。
有意味感が薄い人、意味を感じる精神状態になりづらい人はコーピングが苦手なのでより真剣に対策を立てる必要があるかもしれませんし、逆にどんなたまがきてもホームランにする気満々な強打者タイプ人はあまり深く考えなくても良さそうです。
この要素に理解が重要なのは、自分のことを考えているときだけでなく、家族や会社などで誰かの面倒を見る必要がある場合でしょう。それは単にストレスの原因の話だけでなく、受け側の分析と対処法が重要だからです。
認知的評価 と コーピング
ラザルス&フォークマンの研究から発展して、現在は以下のようなストレス対処モデルが一般的になっているそうです。
ストレス発生=>受け止め=>(感情的な反応)=>(ストレス対処)
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(ストレス対処に失敗)
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慢性化
となると、長引く厄介な問題となるわけです。
対処法:接近型コーピングと回避型コーピング
近接型コーピングは、ストレスに取り組み問題を解決する方向、回避型は自分のネガティブな感情を解消する方法で、ストレスの種類によって使い分けるとよいそうです。
接近型コーピング
解決可能そうな問題であればこちら。不治の病や社会問題・会社の体質など科学や個人ではすぐにどうにもならないことには向かない場合があります。
問題点を明らかにし、解決策を考える
経験者にアドバイスを求める
どんな物事にも必ず良い面があるはずだと探してみる
回避型コーピング
効果はあくまでも一時的なものなので、頼りすぎるとストレス反応の増加に影響を及ぼす可能性もあります。
嫌なことをなるべく思い出さないようにする
自分の趣味を楽しむ時間を持つ
問題解決を先送りする
ミスを他人のせいにする
良く使われるのは「コーヒーブレイク」ですね。「息抜き」を意図して回避型コーピングを用いる というのは太古の昔から人類がしてきたことで、お茶やコーヒー文化を生み出し巨大な産業となっています。まさに必要は発明の母。(笑
ちなみに、海外生活のストレスを乗り切るために「お茶やコーヒーのセットをまずは用意する」ことを移住者の方にはおすすめしています。副作用が少ない最高のストレス解消法です。
SOCを強化!
前述のSOCが十分でないと、ドツボにはまるようです。子供の頃に醸成される部分が大きいようですが、おとなになっても強化は出来るはずなので、ストレスから離れてSOCを強化すべく自分と向き合うことも、重要そうです。
情報の整理や、現状の把握というクリティカルな視点を持っている必要があるので、仕事であれば自分で週報をつくりSOCを組み込んだり、お子さんの問題について話し合う時にプラス思考の意味付けを重視するとか、いろいろありそうです。
下の記事には週報フォーマットの作り方のコツが書かれています。
また職場であれば「互いに助け合う」ことをリーダーが率先して行い、処理可能感を高めることをサポートする方法などがありそうです。
ストレス源をはっきりさせると良いらしい、という認識
ストレスに対処できるかも?というポジティブな環境
チームビルディングでコミュニケーションを促進
根性論や丸投げが横行する学校文化の社会では難しいケースもあるとおもいますが、モヤモヤせずに何かに書き出す、というのも良い手段かとおもいます。情報を整理して人事部に「いつか相談する」とするだけでも気が軽くなるのではないでしょうか。
モーニング・ルーティンを行う3つのメリット
コチラの記事では、SOC視点で対処法を提案。
気分をUPする習慣をつくることで、ストレスに負けにくい自分環境を作ってしまおう、同時に早めにストレスに察知して原因を見極める、というのもポイントになっていそうです。
生来的に頑張れない、楽しいことだけがしたい、という人もいるので万人が対処できるわけではないとは思いますが、社会の荒波に揉まれても無駄につらい思いをしないために、この分野のライフハックしておくのは価値がありそうです。
資料:
ストレス心理学の始祖、ラザルスさんの本はこちら。Kindleがない上に高いので買ってませんが。図書館へ行きたい(笑
ラザルスさんとフォークマンさんの論文?本は更にお高く、日本語すら無いという。どうして。。。
良く調べたらありました。これが教本ってことみたいですね。
SOCについてはこんな本もありました。日本から送ってもらおうかな。
医療現場でも
調べていて見つけた論文で現場の悩み・問題意識が伝わってきました。
日本の社会では医療現場だけでなく、「コミュニケーションに対する不安」と「ストレスに関する啓蒙、知識」がポイントかな?と思いました。
3年課程の看護学生のストレス対処能力(SOC)を高める 段階的学習支援方法の検討