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[ティール組織] 結局は、社長が最後に決めるんじゃないの? 結局は、社長が偉いんじゃないの?

こんにちは、FREEPLUS の宮澤と申します。

当社 FREEPLUS は2019年6月より、正社員約130名の規模で "ティール組織" の概念を取り入れて組織運営を行うようになりました。

日本で書籍「ティール組織」が発売されてから約1年半。
人事界隈ではある種のバズワードになってはいるものの、その概念は理解に難く、誤解が多いのも確かです。

そんな中での130名での組織 運営体制の変更は、社内での混乱も招きました。丁寧に準備を進めてもなお、メンバーからの100%の理解は難しく、苦労したこともあります。この note では、そんな私たちのチャレンジをお伝えするとともに、ティール組織タスクフォース=新組織体制導入に伴って社内で結成された特別組織の一員として、私自身が130名のメンバーにティール組織移行へのオンボーディングを行ってきた観点から、ティール組織の難しさ、導入の苦労をお伝えします。

1. はじめに

まずは、私が所属する FREEPLUS(株式会社フリープラス)という会社を紹介させてください。

FREEPLUS は、大阪にあるインバウンド関連ビジネスを行うベンチャー企業です。世界40ヵ国、1,200社以上の旅行会社との取引実績があり、2010年 インバウンドの"イ"の字も聞かない頃から、日本の元気の原動力となるべく、世界を飛び回って "日本を営業" してきました。

世界16ヵ国のメンバーが勤める多国籍企業(中国, 台湾, 韓国, インドネシア, タイ, ベトナム,ミャンマー, フランス, イタリア etc)です。

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 1-1. ティール組織って?

ティール組織って何?聞いたことがあるけど、よく理解できていない!という方は、ぜひ、まず下記のリンクからご覧ください。

※この note ではティール組織の説明は割愛します。

▼10分で分かる、いま話題の未来組織「ティール組織」
https://mirai.doda.jp/theme/essence/teal/


 1-2. なぜ私たちはティール組織に取り組んだのか?

私たち FREEPLUS がティール組織の概念を取り入れた組織運営を始めたきっかけは、当社創業者であり代表者の須田が note に書き起こしています。

※2020年2月、須田は代表を退任しております。


全ては創業者須田の

「メンバーが、最高にワクワクできるような会社、そんな会社を作りたい。」

から始まり、創業十数年、ずっと様々な施策を行ってきました。

メンバーと役職者、役員が忖度なく「質問・提案・リクエスト」ができる仕組みを整えたり、役職者は「立候補制」、希望メンバーの参加によりプレゼン大会が行われ、全員1人1票の投票で決定したり(社長だからと言って票数が多いわけではない)、指揮命令系統はあるものの、意思決定はボトムアップが多く、現場のメンバーが一番現場のことを理解している、という考えのもと、一丸となって組織運営を行ってきました。

そんな中、書籍「ティール組織」との出会いをきっかけに、約半年の準備期間を経て、新しい組織体制となったのです。


2. 導入の苦労

導入開始時、一番の苦労は、ティール組織という概念が容易に理解されないことでした。

その最たるものが

ヒエラルキーの元にしか組織を捉えることができず
組織は指揮命令系統の元でしか成り立たないと考えてしまうこと

です。

ティール組織にはいわゆる指揮命令権限を持った役職者が存在しません。

その代わりに「リードリンク」と呼ばれる(当社ではそう名付けました)、絶対的な指揮命令権限を持っていないリーダーがいます。

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※ティール組織の組織図イメージ
ピラミッドではなく円で表される


例えば、海外営業チームのリードリンクが

「次はウガンダを開拓するぞ!」

と言っても、その意思決定が FREEPLUS の存在目的に対して効果的ではない、FREEPLUS にとってもっと効果的な開拓先があると感じるならば、拒否をすることができます。

(指揮命令権限のある組織では、リーダーの意思決定は Not agree, but commit ですよね)

ではリーダーの役割は何か?と言われると...

会社全体としては主に連絡係であり、そのチームを代表する人です。チームをリードする役割があり、絶対的な命令をすることができないリーダーです。

ティール組織の概念のもとでは、メンバー1人1人が意思決定権限を持ち、


 2-1. よく出てきた疑問

この前提を伝えてもなお、既存メンバー130名へのティール組織導入オンボーディングでは、幾度となく


「結局は社長やリードリンクが偉いんじゃないの?」
「意思決定しようとしても、社長やリードリンクの意見通りにしてしまうのでは?」


と質問されました。

※組織体制変更後、社長の呼称は●●さんになりました。その他役職者も全員●●さんと呼んでいます。

社長やリードリンクが偉いわけじゃない!
その質問に至る背景にある考え方は何か?

私の中では2つの理由があります。


 2-2. メンバーの誤解は何に起因するのか?

① 誰かに責任をとってほしい(と心のどこかで思ってしまっている)から

例えば、FREEPLUS はティール組織になるまで、万一営業担当がミスしてしまったら "リーダーが責任を取って" いました。

よって導入時には「ティール組織の考え方で組織運営をして、何か問題があったら誰が責任を取るんですか?」 という文脈で、「結局、社長やリードリンクが責任を取るんですよね?」と聞かれることが多々ありました。

確かに、ティール組織以前、チームメンバーのミスはリーダーが責任を負うことになっていました。ただ、FREEPLUS の場合は、それによって減給や降格になるわけでもなく(360°評価)、実質的にリーダーに何かペナルティがある訳ではありませんでした。

つまり。リーダーが責任を取っていたわけではないんです。

ティール組織以前は "リーダーがいるからミスしても大丈夫、私の責任にはならない" という「他責の念」が知らず知らずのうちに働き、自己責任100%ではなかった、ということの現れが、この質問につながったのかもしれません。

ティール組織の概念を導入したあとも、ミスをしたからといって、あなたのポケットマネーから補填してください、ということにはならないですが、自己責任100%の考えを浸透させ続ける必要性を感じました。


② 意思決定に自信がないから

ティール組織の概念のもと、FREEPLUS ではメンバー1人1人が意思決定権限を持ちました。

経費の使い方、新しい問題解決のアプローチ、出社時間、給与に至るまで、あらゆる意思決定をメンバーができます。ただし、その意思決定に至るまでに、関係者と専門家から必ず助言を求めることを最低限のルールとして定めています。

もし心から挑戦したい新規事業があったとして、関係者と専門家に助言を求めたとしましょう。

社長からは「そんな新規事業、絶対にNGだ!」
その他の専門家(例えば経営企画)もNGを出してきたとします。

しかし、その助言を踏まえてもなお、本当に自分自身としてチャレンジすべきだ、それが FREEPLUS にとって効果的だ!と思うならば、意思決定し、行動に移せばいいのです。

これが私たちが考えたティール組織の概念に基づいた運営指針の1つです。

それでもなお、メンバーが心配していたのは....

社長に意思決定しようとしている内容を否定されることにより、それを実行に移しづらくなるんじゃないんか?諦めなければならないんじゃないか?ということでした。

メンバーのいうことも理解ができます。
先月までは確かにヒエラルキーが存在し、権力・権限を持っていたのは社長やリードリンクです。意思決定権限を全員が持ったとはいえ、社長の声は大きいから従わざるをえない、という考えです。

でも本当にそうでしょうか?
影響力が強いからと言って、社長の意見を絶対に聞かなければならないのでしょうか?

もちろん回答は「否」
社内では意思決定のポイントは「独裁的独断」だと伝えています。

私たち FREEPLUS が考える優れた意思決定というのは、優れた(※人の意見に耳を傾けることができる)独裁者が素早く意思決定することだと考えています。

例えば、ソフトバンクの孫社長、Apple を復活させたスティーブ・ジョブズ。世界を導いてきたのは優れた独裁者なのです。

FREEPLUS において「あなたが意思決定者」という事は、あなたが優れた独裁者になってくださいという意味です。その意味で「相談して決める」=民主的な意思決定をする、「誰かに忖度して決める」ということは私たちの考える自主経営の考え方とは異なります。


...というわけで

結局は、最後に社長やリードリンクが決めるんじゃないの?
意思決定しようとしても、社長やリードリンクの意見通りにしてしまうのでは?

の回答は、もうすでにお分かりのとおりです。


3. 最後に

①② と見てきましたが、ティール組織の概念の理解に苦しみ、組織体制の変更に戸惑い、葛藤するメンバーの様子も、私にとっては1つ大きな学びとなりました。

1つ1つの課題を乗り越えられたときに、初めて真の私たちの目指したい組織象に近づけるのではないかと、今はワクワクが止まりません。

これからも根気よく課題に向き合い続けることで、組織を進化させていきたいと思います。


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ミヤザワ サオリ|世界線株式会社
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