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シリアルCTOが二度目の挑戦で事業会社の開発組織作りを選んだわけ

こんにちは!「徹底したIT化と仕組み化で圧倒的に高水準の HR事業を作る」MyVision(マイビジョン) 編集部の南です!

今回お話を伺ったのは、一度創業した会社をメドレー社に売却した後、MyVisionにCTOとして参画された岡部さん。
「シリアルとして、なぜMyVisionを選んだのか」「社内開発はメンタルに良い?」「現代のエンジニアが直面していること」など、気になる色々なお話をインタビューしてみました!


売却先のメドレーで学んだこと

——岡部さんは以前、代表として創業した会社を上場企業のメドレー社に売却されていますね。

「シゴトーク」という、主に医療職の方向けのコミュニティアプリ(iOS/Android)を作っていて、創業から4年ほど経ったタイミングで、メドレーさんからお声がかかり、ご一緒させていただだきました。

——M&Aを経験して、何か学びになったことはありますか?

M&A自体も学びになったんですが、それよりもメドレーさんという「継続的に成長を続けるソフトウェアの会社」の中を覗けたことが勉強になったと思います。
自分はシゴトーク時代に、メドレーさん以外の様々なHR系の会社さんともお仕事させていただいたんですが、 メドレーさんってその中でも圧倒的に若いんですよね。創業が確か2010年くらいで、組織自体がWeb系の会社のやり方で動いてるんですよ。

——Web系の会社のやり方というと?開発スタイルの話でしょうか?

開発スタイルもそうですが、もっと根本的な話で、PDCAの速さと徹底度合いが凄いんです。社員の役職や階級を問わず、「自分でクエリ書いてインサイト見つけて、戦略に落とし込んで現場に反映する」という行動が当たり前になっているんですよね。それだけじゃなく「分析を、どれだけ精度高く、どれだけインパクトの高い場所で、どれだけ高頻度で回せるか」ということを常に意識している。そういったことが会社の自然な所作として、カルチャーとして存在しているのを見て、「この会社は伸び続けるんだろうな」と感じました。

大きい会社を作りたい

——なるほど。それでは、メドレーを見た後にMyVisionを選んだのはなぜなのですか?

これはちょっと長くなっちゃうかもしれないんですけど(笑)、大きく分けると3つあると思います。

1つは個人的な理由で、簡単に言えば大きい会社を作りたかったという話です。
前回自分が作った会社は、創業当初に思っていたほどは大きくなれなかったんです。それこそメドレーさんで言えば、時価総額1500億円(編集注:執筆当時)ぐらいあって、すごく尊敬というか「自分も同じ土俵で戦いたいな」と思って

日本の資本市場を振り返ってみると、 ここ10年で一番パフォームしているのはSHIFTやベイカレントのような、 比較的労働集約的な業態で、テクノロジーの力を駆使して、競合他社に比べて生産性を極限まで高めて、 グロースし続けるという会社が、事業自体も時価総額も一番伸びている。こういった会社は、従来の日本のVCでは、なぜか評価されていなかったりする(知らない人も多い!)んですが、自分はこのスタイルの会社を作ってみたいと考えました。

日本社会全体の生産性を上げる

2つめは、人材紹介というビジネス自体が、現在の日本社会にとって必要だということです。
ごく簡単に言えば、社会全体の生産性を上げる役割を担っているというか…。

——社会の生産性ですか?

生産性が低い会社の人間を、儲かってる会社(=生産性の高い会社)に送り込むこと自体が、社会全体のハッピーになるということですね。労働市場は金融市場や商品市場に比べて、ラグが大きいというか、フィードバックループが遅いので、そこを早める・流動性を高めること自体が、社会全体の効用に繋がる。

加えて、日本固有の話があって、ご存知の通り、日本は新卒一括採用・長期雇用の慣行がずっとあって、社内で配置転換をやりつつも、同じ会社に勤め続けるというスタイルでした。この仕組みは明治政府に端を発していて、これまでかなり上手くいってきたわけですが、労働者に求められる専門性・生産性や、社会全体の人口動態が変わっていく中で、機能しなくなっている・変革を求められているっていうのは事実ですよね。

——生涯同じ会社に勤める人は減ってきた印象がありますよね。

そうですね。とはいえ、やっぱり組織や法制度の部分は急には変われなくて、企業や政府が必死に頑張っても、社会全体が変わっていくにはこれから数十年単位の時間がかかるだろうとは思われます。

厚生労働省 労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会
労働市場における雇用仲介の現状について, 2021, p.25

中途採用市場も、ここ10〜20年でようやく拡大してきたというのが事実で、ここにコミットすることは、一民間企業の立場から日本社会の変化を加速する意味があるのかな、と。
もちろん、加速するのは僕じゃなくて、社内のエージェントやオペレーターの方々なんですが(笑)。裏方の自分も、そういう気持ちでやっています。

事業会社の開発組織のロールモデルになりたい

最後の3つ目は開発組織の話なんですが、また弊社の話というより、日本の話になるんですけど(笑)。

——大丈夫です(笑)。

日本の企業では、色々な歴史的な経緯があると思うんですが、開発組織を会社の外(SIer)に出すことが通例になっています。 例えば、経産省IPAの資料があって、諸外国とSIerビジネスの規模がこれだけ違う(青部分がSIer等に所属するITエンジニアの比率)んですね。

経済産業省 情報処理推進機構
IT人材白書, 2017, p.22

で、そういった日本の状況って、実際に開発する現場のエンジニア、特にWebエンジニアの立場から言わせてもらえば、確定的に非効率であると言っていいと思うんですよね。

経営におけるアウトソーシングのべき論とか、エージェンシー・スラックとか、そういう種々の問題もあるんですが、シンプルに開発者と現場が遠いことは良くない。国としてもこの課題は認識していて、さっきの資料も、「開発内製化進めようよ」って言っている資料ですね。
その甲斐があってか、最近ではかなり大きい事業会社でも、開発内製化の動きというのは起こりつつあるようです。

とはいえ、まだまだ日本で「イケてる開発組織」といって頭に浮かぶのはWeb系の会社が多いと思っていて、「弊社をそのポジションのロールモデルにしたいな」と考えています。

社内開発はメンタルに良い

——社内システムの開発を実際にやってみて感じたことはありますか?

想定していたよりかなり楽しいです。というより、精神衛生上、健全に開発できるというのが正しいかな。

自分も今までは、外部のユーザーが使うプロダクトを作ることが主で、その場合、toCでもtoBでもあまり変わらないと思うんですが、ユーザニーズの理解が一番の課題になるんですよね。

どれだけユーザヒアリングしたりMVPを見せたりしても、ニーズの正確な把握は難しいし、ニーズとソリューションがマッチしているか、それにお金を出せるか、といった沢山のハードルがある。その結果、「数ヶ月かけて、がんばって作ってみたけど使われませんでした」ということが往々にして起こる。

——それは、岡部さんご自身の経験ですか?

僕自身も、前回起業時に、新規事業で何度か経験しました。もちろん、僕が未熟ということも多分に原因ではあるんですが、こういう場面って、表立って語られにくいだけで、普通に考えられてるより、かなり頻発しているんじゃないかな。

で、エンジニアにとっての問題は、「がんばって作ったけど無駄でした」が精神衛生上しんどいということで(笑)。

その点、社内のシステム開発では、ユーザーが近くて、ニーズも業務オペレーションも徹底的に観察できるし、「いくらお金を出せるか」みたいな論点がほとんど発生しない。課題自体も「今これこれで手間がかかってしんどいので、なんとかしてほしい」というシンプルなものが多い。

なので無駄なものを作ることが圧倒的に少なくて、かなり楽しく健全に開発させてもらってますね。自分にとってもポジティブサプライズでした。
ユーザの笑顔も直接見れますし(笑)。

少数精鋭チームでやる

——開発で大切にしていることはありますか?

これは2つあって、1つは少数精鋭チームの志向です。といっても、開発組織は本質的に小さい方を志向するので、弊社が特殊ってわけじゃないかもしれませんね。ただ、我々は特に少数精鋭で行きたいは思っています。
というのも、SWEの一人あたり生産性って年々上がり続けていて、例えばChatGPTの登場でミドル以上のエンジニアの生産性ってすごく上がったじゃないですか?

——確かに、「ChatGPT/GitHub Copilotが落ちて仕事ができない」とTweetしているエンジニアはよく見ます。

ちょうどインタビュー前日にGitHub Copilotが落ちてTwitterで愚痴っていた岡部さん

一方でChatGPTも、過去10〜20年のエンジニアの生産性の歴史を顧みれば、あくまで一登場人物に過ぎず、CIやIDEやコンテナ仮想化や…(略)。年々すごい勢いで生産性が改善していて、10年前どころか、1年前に戻って仕事したいエンジニアですら一人もいないでしょう(笑)。ただ、冷静に考えてみればこれって特殊な職種で、そんな職種は他にないですよ。

何が言いたいかというと、「1つのプロダクトを見るのに、10年前だと30人必要だったのが、今だと5人で済む」といったことが、現代のエンジニアが直面していることなんですね。
なので周りの会社より若い我々は、周りより小さいチームで大きいことをやりたいなということです。

バス係数を意識する

もう1つもエンジニアにはお馴染みですが、バス係数(バスファクター)の意識ですね。

——「バス係数」とは?

たぶん定義としては「組織を継続不能にするために、バスで轢き殺す必要のある最小人数」になるのかな?少し物騒ですが(笑)
要は単一障害点をなくして、知識や意思決定の属人化をできるだけ少なくしよう、という話なんですが、この話は日々の業務に落とし込んでこそ意味のある話だと思うんですよね。

「ドキュメントをちゃんとまとめる」といったことだけじゃなくて、「なるべく枯れた技術を使うようにする」「リーダブルなコードを書く」「レビューなどの、特定の個人に偏りがちな業務を、できるだけ多くの人が担えるようにする」のような、エンジニアの振る舞いの多くがこの用語で説明できるように感じています。

開発領域に閉じない

——岡部さんは、どういったエンジニアと一緒に働きたいですか?

開発領域に閉じない人ですね。もちろん会社として分業体制を取っている以上、ある程度は仕方がない部分ではあるんですけど…。

「営業の方が開発のこと分からないのと同じ」と言ってしまえばそれまでなんですが、弊社の場合は特に、社内向けのシステムが開発部門の柱なんですよね。なので、業務オペレーションやお金の動きなどにも関心を持ってくれる人でないと難しいとは思います。

「会社自体がプロダクトなので、会社のことを理解するのは当然」ぐらいの気概がある人の方が向いているとは思います。

早いもの勝ちだと思って

——最後に、MyVisionに興味を持っている人に伝えたいことがあればお願いします。

今のフェーズは全然人数が少ないので、いわゆる0→1の領域になるんですが、言いづらいことをぶっちゃけで言っちゃうんですけど、エンジニアが一番楽しくて成長するのって0→1の領域だと思うんですよね。なので、その領域に興味がある人は、早いもの勝ちだと思って入社してくれると嬉しいです。

あと、これは会社でなく個人的な野望なんですが、日本のエンジニアのお金持ちを増やしたいと思っていてます。ちゃんと調べたわけじゃないですが、日本のエンジニアって、初年給は比較的高いけど、サラリーマン一本だと、生涯年収は商社マンやコンサルに比べて見劣りする…ってイメージがあるんですよね。

もちろん営利企業なので、成長戦略や経営判断との天秤なんですが、なるべく夢を見られるような環境を作りたいなと思っています。ご応募お待ちしております(笑)

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