指導者であるということ
私はピアノ講師という仕事をしています。
小さい頃から親しんできた「ピアノ」を仕事にすることができたのは、とても幸せなことだと思います。
だけど、小さい頃から「ピアノの先生になりたい!」と強く思っていたわけではないのです。
子どもの頃の私とピアノ
子どもの頃はとにかく引っ込み思案で、目立つことが大嫌い。
授業中に当てられるだけで泣いてしまうような子でした。
ピアノの発表会なんて大嫌い!できれば人前で弾きたくない。
ステージに上がると、もうすでに帰りたい…
でも、1人で弾くのは好きでした。練習も1年中ほぼ欠かさない。
ただただ自分のためだけにピアノを弾く。誰かに披露しようとは全く思わない。
そんな子でした。
だからピアノを仕事にするとか、子供の頃は全く考えていませんでした。
それが今ではすっかり仕事にしてしまっているのだから、不思議なものです。
(そこまでのいきさつはまた別の機会に)
指導者として成長させてくれたもの
ピアノ講師になり、もう30年になるんですね。
本当に多くの子どもたち、親御さんと関わらせていただきました。
いろんな家庭の形、親子関係、夫婦関係…ただのピアノ講師ですが、深くかかわらせてもらったこともあります。
今住んでいる地域柄、地域の力が強いということもあり、地域ぐるみで関わらせていただいています。
3人の息子たちを通じて
幼稚園の保護者会の会長
小学校のPTA副会長
中学校の学年委員長
をさせていただきました。その関係で、学校の先生方、地域の民生委員さんなどと深く関わらせていただいています。
ただのピアノ講師でありながら、地域の子どもたちの生活までもかかわってきました。
そのため、さまざまな子どもに関わる問題にも直面することがあります。
不登校の子、その子の親御さんの悩み、
虐待を受けている子、いじめを受けている子、
虐待まではいかなくても、家庭に何かしら問題を抱えている子
両親を突然亡くしてしまった子…
本当に様々な子どもたちとそのご家族にお会いし、時には一緒に問題解決のために何度もお話をさせてもらったり…
先生方や民生委員さんにもご協力をお願いしたりしながら、これまでやってきました。
しかし、私自身も家庭に問題をかかえ、自分の息子たちとどう関わっていったらいいのか、ひどく悩んだ時期もあったのです。
本当の夢
私は2015年に離婚をしています。
原因は元夫のモラルハラスメントですが、このことにより長男はうつ病になってしまいました。
長男と一緒に精神科に通い、カウンセリングを受けているうちに、ふと、長男のように心に傷を負った子を本当の意味で救ってあげたいと思ったのです。
これまで話を聞いてあげることはあった。だけど本当に話を聞いてあげるだけ。
それで救われた子はいたとは思いますが、なんかこう…もっと積極的にかかわることはできないのか?
そんな時に「音楽療法士」という言葉を聞いたのです。
音楽を通して、心に傷を負った子たちを救いたい。
しかし、日本ではまだこの制度は確立していませんでした。
どちらかというと、お年寄りの方へのリハビリ目的。
しかも、専門家というより、介護士さんが介護の延長で、身体的なリハビリとして行うことが多いようでした。
また私自身が離婚をし、生活がかかってくるようになると、理想ばかりを追い求めるわけにはいかなくなってのです。
これからの私
私が考える「音楽療法士」というのは今すぐには無理かもしれない。
でも、今の仕事を続けていれば、まだまだ子どもたちと関わっていくことはできます。
現在54名の生徒さんとその保護者の方と関わらせていただいています。
ピアノを通じて、週1回30分のレッスンですが、こちらが感覚を研ぎ澄ませば、
今日学校で何かあったかな?
最近友達とうまくいってないのかな?
お母さんも元気ないのかな?
お家でなにかあったかな?
こういったことはわかるんです。
ただのピアノの指導者としてでなく、これからも子どもたちの心の声に耳を傾けられる指導者でありたいとおもうのです。
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