「あ〜死にてぇ〜」と思う自分を見守りながら、生きていく | 〜分人主義のススメ
わたしは超ネガティヴな人間です。一人で悶々と思い悩んでは「あ〜死にたいな」という気持ちになることがよくあります。
特別、すっごく嫌なことがあったとか、言われたとか、そういう体験が多いわけではないのです。
ただ、周りと同じようにできなかったり、いわゆる世間一般が思う幸せな人生を送れていないことに嫌気が差してしまうんです。そんな風に思ってしまうことが年を重ねるごとに増えていきました。
でも、死ぬわけにはいかない。
だから「死にたい」と思う自分を必死に殺そうとしました。自己肯定感を上げるためのTipsを貪るように集めてみたり、自分のいいところを一生懸命探してみたり。とにかくポジティブな方へ気持ちを持っていこうと、ネガティヴな思考を打ち消そうと、いろいろ試してみました。
でも、残念ながらどれもあまり効果はありませんでした。無理にポジティブに生きようと思うと、それはそれで心がしんどくなってしまうのです。
そんなときに、あるテレビドラマをきっかけに、自分を救ってくれる考え方に出逢いました。それは分人主義という思想です。
分人主義とは
この概念を生み出したのは、作家の平野啓一郎さん。先程申し上げた"テレビドラマ"『空白を満たしなさい』の原作著者であり、ほかにも『マチネの終わり』、『本心』、『ある男』といった数々の小説を執筆されています。
分人主義とは、自分を単一のものと考えず、コミュニティ、人、あるいはモノ・コトとの関係ごとに人格は分かれる、という考え方です。
もう少し具体的に言いましょう。例えば、家族と接しているときの自分と、学校の友達と接しているときの自分とではいわゆるキャラが違う、ということはよくあるのではないでしょうか。
もっと言えば、友達の中でもAのコミュニティの友達とBのコミュニティの友達とではキャラが違うということもありえますよね。
このように自分のキャラ=人格は一つではなく、対人関係ごと、もしくは環境ごとに変化するものだと、この分人主義では唱えられています。
「死にたい」と思う自分と「生きたい」と思う自分は共存する
つまり、ある環境によっては「死にたい」、「辛い」と思う自分がいる一方で、別の環境にいるときは「楽しい」、「もっと生きたい」と思う自分も存在するわけです。どれも本当の自分なんです。
「空白を満たしなさい」ではこんなセリフがあります。
でも僕はその暗いものを消そうとするんじゃなくて見守っていこうと思うんです。僕の命の許す限り。
出典:「空白を満たしなさい」平野啓一郎
この作品は結構ヘビーな内容で、観る前に少し覚悟がいるほどでした。でも最終回にこのセリフを聞いて、心がスッと軽くなる感覚があったんです。
「そうか。死にたいと思う自分が、自分のすべてじゃない。だから生きたいと思う自分が、見守ってあげればいいのか」、と。
さらにこの分人主義という考え方を使って、人生を少しでも心地よいものにするヒントが、分人主義の公式サイト(そんな素敵なサイトがあるのです!)にて紹介されています。
「母親といる時の分人はそんなに悪くないかもしれない」、「Aさんと一緒の時の分人は楽しい」、「大好きな音楽を聴いている時の分人は最高!」という「分人」を見つけたならば、その「分人」を足場にして、「どうしたら心地よい分人の数と比率を増やすことができるか」を考えることができるでしょう。
出典:「分人主義」公式サイト
ポジティブでいられる分人として過ごせる時間を増やしてみる、というやり方です。それは必ずしもコミュニティ、対人関係に限りません。好きな音楽、漫画を楽しむ時間でもいいし、スポーツをしている時間でもいい。自分が心地よいと思える時間を増やしていくんです。そうしてバランスを取っていくことが、自分を強く拒絶することなく人生を歩んでいける方法の一つかもしれません。
自分にはどんな"分人"がいるか、分析してみよう!
いま生活を送っていて「しんどい」、「苦しい」という思いがある方。または"自分探し"をしているけど、なんだか上手くいかないといった方。
そんな方にこの"分人主義"という考えを知ってほしいし、じゃあ自分にはどんな分人がいるのかを分析してみてほしいです。
"仕事をしているときの自分はどうしても好きになれない。でも家族と過ごしているときの自分は大好き。"
"友達関係はあまり上手くいっていないけど、この音楽を聴いている時間は嫌なことも忘れられる。"
そんな風に少しずつでもポジティブでいられる分人を見つけられたなら、ちょっぴり肩の力を抜いて人生を送れるかもしれません。
分人主義の公式サイトには、自分の分人を知るためのコンテンツがあります。無料で出来るのでぜひやってみてください!
分人主義公式サイト: