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カポディモンテ美術館に行った話

2017年5月のイタリア旅行で初めてカンパーニャ州ナポリに行きました。それまでローマ以南は訪れた事が無く、ナポリ、アマルフィ、ポジターノ、カプリ島を巡りました。こうした旅行記は別でまとめていきたいと思います。

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まず、初めて降り立つ地で必ず調べる所はその土地に存在する聖堂・教会と歴史的建造物、そして美術館です。ナポリでの必見はこの『カポディモンテ美術館』でした。目玉は図録の表紙にもなっているパルミジャーノの"アンテア"とカラヴァッジォの"キリストの鞭打ち"。

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こうした所を目指す時は海外でもなるべく公共交通機関を利用します。(知らない街を探索するには自力で!が基本)ずんずん歩いていると下調べしていたもの以外の発見があるので旅がより色濃いものになります。

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忘れもしない、この日は"メーデー"で市内は人が溢れかえってお祭りのよう。地下鉄で道を確認したファミリーのお父さんに「今日は僕たちの日だ。良い一日を!」と言葉を貰ったのを覚えています。日本ではGWに紛れて余り馴染みないですね‥"メーデー"=労働者の日。世界的に祝日になったり、労働環境改善の為のデモやストライキが行われることもある日なので、旅行の際には現地情報は事前に調べておいた方が良い日です。

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バスを乗り継ぎぐんぐん丘を登っていきます。そうです、"カポディモンテ"は"山の上"という意味。素敵な教会や街並みに目移りして寄り道していた為、時間がかなり押してしまったけれど無事到着しました。その"メーデー"の影響で意外に美術館内はあまり人がおらず(入り時間も関係あったかもしれないけれど)空間を独り占め!

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そして丁度ピカソさんの特別展も開催されていて幸運!

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ピカソ〈バラード〉の緞帳 圧巻でした。

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ティツィアーノ 〈ダナエ〉

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エル・グレコ 〈蝋燭に火を灯す少年〉

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ラファエロ(と工房)〈聖母と神の愛〉

ここの壁の色がとても好みでした。コレクションもルネサンスからバロックまで〜著名な画家の作品多数で見応えありです。美術品の為の宮殿でもあったらしく、内装も凝ってます。

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改めて見ても凄いなぁ。〈陶器の間〉お猿がいます。

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お目当ての一つ パルミジャーノ〈アンテア〉

美しく細かい描写でありながら、バランスの違和感。その魅力に吸い込まれるようで見ていて飽きません。

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階段もアートです。上から眺めた様子。

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本当に人が少なくて、空間に私1人ということも‥けれどもお休みに行かないものなのかな?と心配になり、こんなに素晴らしいものが溢れているのに廃れて経営不振になったりしたらどうしようと余計な事を考えてしまいました。(そんな事はあり得ないだろうけれど)

時間が許す限り、絵の視線を独り占めにして堪能し、順路を進んでいくと、一際オーラを放つ作品が

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奥へ進むと


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カラヴァッジォ 〈キリストの鞭打ち〉です。

展示の仕方も素晴らしいものでした。空間は暗く、作品をドラマティックに演出しています。

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恐ろしく劇的です。神々しく照らされる肉体と、悍ましい表情で非常に狂気的。人を殺め狂人と呼ばれ、壮絶な人生を歩んだカラヴァッジォ。狂気に触れた経験があるからこそ、このような表情を描くことができるのかも。

[才能か、罪か]なんて副題のついたカラヴァッジォ展が数年前にあったけれども、ダークなシーンの表現力で括れば右に出るものはいないのではないか、と言うくらい生々しい表情の再現が素晴らしい。

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コレクション、展示方法、空間美トータルで見ても素晴らしく見応えのある美術館でした。貸切状態だったことを思うと人生で一番贅沢な鑑賞時間だったかもしれません。

ナポリに行ったら是非!そういえば帰り道のこと。バスがワンウェイだったとは思えないけれど、余韻に浸りたかったのか、バスを逃したか見つからなかったかで、ある程度まで歩いて下った記憶が残っています。思いの外丘の上にあるので、時間には余裕を持って見学を。


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