何に着眼点を置くか「大エルミタージュ美術館展」
考え事をしていたらバスの降車場をいくつか過ぎてしまいました。見知らぬ地名が横に流れていくのをみて、(これだけ利用していても知らない駅名あるのだなぁ)(もしかして久々に乗ったから駅名が変わったのかもしれない)(いやいやそんな訳がない)などといって他の乗客が降りるのと同時に数駅先で降車しました。
やはり自転車が一番効率的な乗り物だと再認識をしつつ、1日のプラス歩数を稼げる!と徒歩で戻ります。体調が良いとポジティブ思考が全面にやってきます。マイペースとも言えますが、noteも書ける時間もできたと。
マティスにまつわるお話を聞いてと、行ってみたい美術館の回想から過去に行った「大エルミタージュ展」が結び付いたので図録を開いて少しご紹介します。
かなり過去でいつ行ったかなと開くと2012年だと!そんな前だったかなと驚きつつ、色褪せない図録。これは思い出アルバムの要素と教科書的な役割を持っていることを再認識できました。あの絵は贋作であった!とか、大事件がない限り図録に載った情報は色褪せることありません。
どこに興味関心があるかの再確認と新たな発見
クロード・ジョゼフ・ヴェルネ〈パレルモ港の入り口、月夜〉 何年経過しても今見ても惹かれた絵はそう変わりません。月夜に船のシチュエーションは画家というより描かれるテーマとして好きな題材。
こちらは、天に導く天使としては顔も見えず、静かに連れ去るシーンとその存在が"死"を考えさせる表現としてとても美しいなと感じた作品。
マグダラのマリアはアトリビュートとして香油や頭蓋骨と共に描かれる事が多いけれど、罪深き女性としてもこれほど美しく官能的なマグダラのマリアは初めてだと感じた作品。
レオン・ボナ〈アカバの族長たち〉 エキゾチックな絵も変わらず好きで妙に惹かれます。異国感と力強いエネルギーが感じられます。
変わらぬ価値観もあれば、新しい発見もあります。何に着眼点を置くかです。
ソフォニスバ・アングィソーラ〈若い女性の肖像〉
どの画角を切り取るかで印象が変わります。
パールのアクセサリーが女性をよく引き立てているし衣装にもとても合っています。
当時は知らなかった、カーネーションは婚約を意味します。
やはり突出して目を引くのがこの衣装の精密な描写。まじまじと眺めてしまうし、気品も表現されていて女性が上手にカバーされているなと感じます。肖像画として非常にバランスの良い作品だなと再確認できました。
何に関心があり、何を美しいとするか。
考え方は人それぞれで世界観の違いも大いにあります。時に価値観の違いに躓くこともあります。そんな時は自分の無知さや小ささに落ち込む日もあったけれど、全てを一度に理解しようとする背伸びはやめて、全体のバランスを見つつ、箇所箇所で読み取った良さや美しさを発見できるような眼力を待ち合わせていたいなと感じました。寄り道とマティスから考えた着眼点のお話。