見出し画像

シャブリ飲み比べ

いつかのワインセミナー。フランス、ブルゴーニュ地方最北端に位置するシャブリ地区の飲み比べ会に参加。学んだことを少しお伝えします。

画像1

A.O.C.コミュナル[村名] ・A.O.C.1Cru[1級畑] A.O.C.Grand Cru[特級畑]を飲み比べその違いを学びました。

■A.O.C.とはフランスの法律で定められた"原産地統制呼称"。品質と名称を守る為、それぞれ特定の基準を満たさなければ名乗ることはできません。

村名<1級畑<特級畑ではあるのですが、この"違い"は一体何なのでしょうか?何から反映されるのでしょうか?

答えはその"土壌"を解明していくとわかります。

シャブリ地区の土壌はキンメリッジアン期の地層、"石灰岩"が混ざった土壌です。※キンメリジャン期・キンメリッジ期≠キンメリッジアン階・キンメリッジ階(期は時代で階は層序名)

■キンメリッジアンとは 今から約1億5570万年から1億5080年前の約500万年前の地層です。

その地層は石灰岩で形成されているのですが、そこには牡蠣の一種であるエグゾジラ・ヴィルギュラという体長2㎝くらいの小さな二枚貝が成分として含まれています。牡蠣は河口付近を好み、その一帯には牡蠣の殻が堆積していきます。長い年月をかけ地層は変化していきますが、シャブリ地区は牡蠣を大量に含んだ石灰岩と泥灰岩がミルフィールのように重なって層を成しているのです。潮が引き‥また満ちて‥を繰り返し、河口の位置は少しずつズレていくのですが、牡蠣もまたそこに生まれ、地層を形成していきます。どんどん牡蠣の含まれた土壌が重なり広がっていくのです。

■氷河時代は氷期と間氷期に分けられており、今は間氷期です。地球が特に寒くなる氷期には海面が下がります。海の水分が蒸発して雲が増え、雪が降り氷河や氷床が出来ます。その為、海に流れる水が減り海面が下がっていきます。

‥ワインの土壌のお話です。地質学ですよね。

シャブリ地区で更にGrand Cru・1er Cru・村名と分けられるのはGrand Cruの位置が、特にこれら牡蠣を含んだ石灰岩の層が多く重なり合った土壌であるからです。

■シャブリ地区にはスラン河が流れているのですが、スラン河も時代を経て土地を削り、土を運んで土壌を形成さていきます。

さらにGrand Cruの土壌は真南を向いています。Grand Cruと1er Cruの違いはこの日照度合いで分けられているのです。石灰岩を好む白ブドウ"シャルドネ"。牡蠣を多く含んだ石灰岩質土壌とこの畑の向きの好条件を満たす土壌が"奇跡の土壌"とされ、Grand Cruに認定されているのです。それを知って味わいを比較すると、香りの豊かさと味わいの心地よい余韻の違いが掴めました。

といってもブラインドテイスティングではGrand Cruを当てることが出来なかったのですが‥(とてもショック)

葡萄の出来はその土壌の地質と日当たりを顕著に表すということ。
ワインを知るという事は、土壌と日光・歴史を学ぶということ。

画像2

復習していたところ、地球の歴史まで遡ってしまいました。ワインの沼です。知れば知るほどズブズブと沈んでいきます。味わいというよりその土壌のご紹介となりました。このような機会を与えて貰えることに感謝と、未だソムリエのソの字にも満たない私に刺激を与えてくれる方々に感謝です。

余談ですが、こうした地球の歴史を紐解いていくと怖くて寝れなくなってしまいます。笑 牡蠣になれれば何億年も存在はしていられますね。

-参考文献 シャブリ飲み比べ会資料より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?