マンキュー経済学 ミクロ編 5章まとめ
第5章 弾力性とその応用
はじめに
このnoteは、今や、世界各国に於ける何十の国々の何百もの大学のマクロ経済学の授業で用いられるようになった「マンキュー経済学」のミクロ編をまとめたものになります。
これよりも前の章はマガジンにあるので、ぜひ興味を持てた方はご覧になってください。
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時間がない人向けまとめ
需要の価格弾力性とは、価格の変化に対して、需要量がどれくらい反応するかを図る尺度である。
需要の価格弾力性は、
1.密接な代替財が利用可能な場合
2.財が必需品ではなく贅沢品である場合
3.市場が狭く定義される場合
4.買い手が価格の変化に反応するための時間的余裕が充分にある場合
に大きくなる傾向がある。
需要の価格弾力性は、(需要量の変化率)÷(価格の変化率)で計算できる。需要量が価格よりも大きい割合で変化する場合に「需要は弾力的である」と表現する。(その逆は、非弾力的)
ある需要曲線から求められる総収入(販売量×価格)は、需要曲線が弾力的な時に価格と反対方向に変化する。
(弾力的な需要曲線において価格が上昇した場合に、総収入は減少する。)
需要の所得弾力性とは、消費者の所得の変化に対して、どれほど需要量が反応するかを量る尺度。
供給の価格弾力性は、価格の変化に対して供給量がどれくらい反応するかを量る尺度である。
供給量の価格弾力性は、考察しようとする対象の時間的視野に依存する。
(たいていの場合、短期よりも長期の方だ供給は弾力的)
供給の価格弾力性は、(供給量の変化率)÷(価格の変化率)で計算できる。供給量が価格よりも大きい割合で変化する場合に「供給は弾力的である」と表現する。(その逆は、非弾力的)
需要の弾力性
前章では、ある出来事が需要曲線をどの方向にシフトさせるかを分析するためのアプローチに触れたが、そのシフトがどれくらいなのかを分析する事はできなかった。一般に経済学者は弾力性という概念を用いる。
需要における価格弾力性とは、価格の変化に対してどれだけ需要量が反応するかを図る尺度であり、(需要量の変化率)÷(価格の変化率)で求める事ができる。需要が価格の変化にたいして大きく反応するとき、その需要は弾力的であるといい、わずかしか反応しないときには非弾力的という。
需要の弾力性は以下の4つのケースにおいて大きくなる傾向がある。
1.密接な代替財が存在するケース
(例えばバターが値上がりした時、マーガリンの購入が増える。
これによって、バターの需要が容易に下がる)
2.贅沢品であるケース
(小麦や米は価格が上がっても需要が下がりづらいが、ダイヤモンドや
キャビアは価格が上がったさいに需要が下がりやすい)
3.市場の定義が狭いケース
(食品という市場の定義内であると、適当な代替財が存在しないので
価格が上がっても需要量に大きな変化は起きづらいが、アイスという
市場で考えると他のデザートが代替財となりうるので需要量は変化し
やすい。)
4.時間的視野が長いケース
(例えばガソリンの価格が高騰したとする。短期で見ると、必需品であ
るので需要量は変わらないが、長期で見るとハイブリッドカーの出現
など、ガソリンを不要とするシステムが登場するので需要量は大きく
変化する。)
需要の価格弾力性の計算
価格弾力性とは何かについて理解しても、これで算出ができなければならない。(需要量の変化率)÷(価格の変化率)で求める事ができると先に述べたが、これは正負についても触れていない。通例として、絶対値として表すためである。たとえば、アイスの価格が10%上昇(100円→110円)して需要量が20%減少した場合(10個→8個)は、アイスの需要価格弾力性は2である、といえる。
需要曲線の分類
経済学者は弾力性によって需要曲線を以下に分類する。
1.弾力性が0(完全に非弾力的)
2.非弾力的(弾力性が1より小さい)
3.単位弾力的(弾力性がちょうど1)
4.弾力的(弾力性が1より大きい)
5.弾力性無限大(完全に弾力的)
総収入と需要の価格弾力性
市場における需要と供給の変化を調べる際に、総収入という変数を扱う。
総収入とは「財の買い手が支払う金額」であり、「売り手が受け取る金額」でもある。これは、すなわち(財の価格)×(財の販売量)で求められる。
この総収入は弾力性の影響を受ける。
例えば下記右図の場合は非弾力的な例を示している。ここでは、価格が上がる事により、通常よりも高く少なく財を販売することになる。それに伴い、元の総収入(B+不変)よりも、変化後の総収入(A+不変)の方が大きく、総収入は増加することになる。
左図は、弾力的な例を示している。これは非弾力的とは逆の結果となる。
弾力的、つまり価格の上昇に敏感に反応し、他の財へ購入が移る事が多いケースでは、値上げの利益よりも、購入されない影響が勝るのである。
他の需要の弾力性
経済学者は市場での買い手の行動を説明するのに、需要の価格弾力性以外の弾力性も用いる。
【需要の所得弾力性】
所得が変化した時に、需要量がどれだけ変化するかを測る尺度。
(需要量の変化率)÷(所得の変化率)で求める事ができる。
【需要の交差価格弾力性】
ある財の需要量が他財の価格の変化に対しどのように反応するかを測る尺度
(第1財の需要量の変化率)÷(第2財の価格の変化率)で求められる。
供給の弾力性
基本的に考え方は需要と同様である。価格の変化に対して供給量がどれくらい反応するかを測る尺度。大きく反応すれば弾力的という。
需要の価格弾力性は、4つのケースで大きくなる傾向があったのに対して、供給の価格弾力性の重要な決定要因は主に1つである。
それは、分析したい市場のどれくらいの期間を考えるかという事である。
供給の場合、工場やマシンなどの設備が要となる。これは短期的に見ると設備やマシンが大きく変化する事がないが、長期的にみれば投資されて変化する場合や、その財を生産する他の競合が現れる事があるためである。
供給曲線の分類については、需要曲線と同様なので省略します。
需要と供給と弾力性の応用
【小麦の品種改良】や【OPECの石油価格】、【麻薬と犯罪】の例を用いて説明していたが、これらについては非常に長くなるため省略する。
基本的には、4章で記載した3段階アプローチに、弾力性・総収入を考慮して解説しているので、また機会があれば記述したいと思う。
もし待てない方がいれば、5章まで読むほど興味も持てているので購入を検討してみて欲しいです。