マンキュー経済学 ミクロ編 4章まとめ
第4章 市場における需要と供給の作用
はじめに
このnoteは、今や、世界各国に於ける何十の国々の何百もの大学のマクロ経済学の授業で用いられるようになった「マンキュー経済学」のミクロ編をまとめたものになります。
これよりも前の章はマガジンにあるので、ぜひ興味を持てた方はご覧になってください。
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時間がない人向けまとめ
経済学者は需要と供給のモデルを用いて競争市場を分析する。競争市場には多くの売り手と買い手がいるので、一人ひとりは市場価格に対してほとんど影響を持たない。
需要曲線は、需要量が価格にどのように依存するかを表している。財の価格が下落するにつれて需要量は増加するという需要法則によって、需要曲線は右下がりである。(安いなら、たくさん欲しがる)
供給曲線は、供給量が価格にどのように依存するかを表している。供給法則によると、財の価格が上昇するにつれて供給量は増加する。したがって、供給曲線は右上がりである。(高いなら、たくさん売りたがる)
需要量および供給量の決定要因には、価格以外にも所得や代替財、補完財の価格、嗜好、予想、買い手の数、投入価格などがある。こうした価格以外の決定要因が一つでも変化すると需要曲線はシフトする。
需要曲線と供給曲線の交点で市場均衡が決まる。均衡価格では、需要量と供給量が等しくなる。
均衡価格を中心に、市場価格が上下する。
市場に対する影響を分析するには以下の3段階アプローチを用いる。
1.需要曲線と供給曲線のどちら(あるいは両方)をシフトさせるかの判断
2.曲線がどの方向にシフトするかを判断
3.新しい均衡と当初の均衡とを比較する。
市場経済において、価格は経済的意思決定を導くシグナルであり、希少な資源は価格を通して配分される。経済のすべての財について、価格は需要と供給とが釣り合う事を保証している。それゆえ、均衡価格は買い手がどれだけの量を購入し、売り手がどれだけの量を販売するかを決定する。
市場と競争
市場とは、1つひとつの財・サービスにおける売り手と買い手のあるまりのことである。買い手全体で生産物の需要が決まり、売り手全体で生産物の供給が決まる。
競争市場とは、多くの売り手と買い手が存在していて、一人の売り手や買い手が市場価格に影響を及ばさないような市場を指す。
例えばアイスクリームのある売り手が価格を上げようとしたところで、買い手は他の売り手から購入する事になるので、市場価格へ影響を及ばさない。
この章では、市場が完全競争的であると想定する。この仮定には、以下2つの特徴を持っていなければならない。
1.販売されている財はすべてまったく同じである。
2.売り手や買い手が多数存在するので単独の売り手や買い手は存在しない
この完全競争市場では、売り手も買い手も市場で決定した価格を受け入れるしかない。彼らは価格受容者(プライス・テイカー)と呼ばれる。
多くの場合、完全競争市場で販売されているわけではない。なかには、売り手が一つしか存在せず、その売り手が価格を決めている市場もある。そのような売り手を独占企業という。
需要
需要量とは買い手が買いたいと思い、かつ買うことのできる量の事を指す。需要量は一般に価格が上昇した際に低下し、反対に価格が低下した際に増加する。このように需要量ー価格間には相関関係があり、この関係を需要法則と呼ぶほど一般的である。
本書では、アイスクリームと価格を例にとって、以下のようなグラフが記載されている。このように、価格と需要量の関係を表した右下がりの曲線の事を需要曲線と呼ぶ。
これは1つの買い手についての需要曲線である。
市場がどのように機能するかを分析するには、市場の需要を決定する必要がある。市場における需要とは、当該の財・サービスに関する個人の需要を全て足し合わせたものである。
需要曲線のシフト
市場需要曲線(当該の財・サービスの買い手全ての需要曲線を足し合わせたもの)は、価格以外の多くの変数を一定としているので、安定的ではない。
需要を増やすような変化が起きれば、需要曲線は全体的に右へシフトする。このような変化を需要の増大を呼ぶ。その一方で需要量と価格を減らすような変化は需要の減少と呼ばれる。
需要曲線をシフトさせる変数は数多くある。重要なものを挙げる。
1.所得
所得が減少した際に、アイスクリームの購入量は減少する。
このように所得が減少した際に、需要が減少する財を正常財という。逆に、所得が減少した時に、需要が増加する財の事を劣等財という。
(劣等財の例は、バスの利用が上げられる。タクシーの利用を避ける為、バスの利用が増加する。)
2.関連財の価格
1つの財の価格が下落すると、別の財の需要が減少する時、その2つの財は代替財と言われる。(代替財の例としては、映画のチケットとDVDが挙げられる。映画のチケット価格が下落すると、DVDの需要は下がる)
逆に、価格が下落し、別の財の需要が増加する時、その2つの財は補完財と呼ばれる。(補完財の例としては、PCとソフトウェアが挙げられる。)
他にも、嗜好や、収入に関する予想、買い手の数なども影響する。
供給
需要量の説明とかぶる部分が多い為、割愛をしながらすすめていく。
供給量とは、売り手が売りたいと思い、かつ売ることの出来る量。
価格が下がると供給量が下がり、上がると供給量が増加する。このような関係を一般に供給法則という。
価格と供給量の関係を表した右上がりの曲線を供給曲線と呼ぶ。
需要曲線と同じく、供給曲線についても、様々な変数によってシフトする。
その要因をいかに記載する。
1.投入価格
投入価格とは、その財・サービスを製作するために投入するものの価格のことである。(アイスクリームであれば、ミルクや香料、砂糖など)
投入価格が1つでも増加すると、アイスクリームを販売するうえでの利益は減ってしまうので、アイスクリーム会社は供給を減らすようになる。
このように、財の供給は投入価格と負の相関関係をもっている。
2.技術
財・サービスを製作するための技術が向上することにより、製造に関わる人が減り、コストである人件費を減少させる事ができる。このように技術進歩は供給量を増大させることになる。
その他にも、需要と似て、需要予測や、売り手の数などの影響を受ける。
需要と供給を組み合わせる
これまで、バラバラで見てきた需要と供給を合わせて見てみる。
上の図は、市場需要曲線(赤)と市場供給曲線(青)を1つの図に書いたものであるが、1点で交差しているのが分かる。この点を市場均衡点と呼ぶ。
そして、市場均衡点における価格と個数をそれぞれ均衡価格、均衡取引量と呼ぶ。また均衡価格は、市場精算価格(マーケット・クリアリング・プライス)と呼ばれる事もある。
余剰と不足
余剰(超過供給)とは、財が余っている状態である。上図の場合、売り手がアイスクリームを6つ作っているが、買い手は2つしか購入しないため、4つの余剰がある状態である。売り手は、在庫を避けるために価格を下げる。そして均衡価格に収束していく。
不足(超過需要)とは、財が足りない状態である。上図では余剰とは逆に、アイスクリームが足りない状態が起きている。買い手は価格が少し高くてもアイスクリームを購入しようとするので均衡価格まで上がっていく。
ほとんどの市場において、余剰や不足は一時的なものに過ぎない。なぜならば、価格は最終的に均衡価格に向かっていく。この価格調整による均衡化という現象は、需要と供給の法則と呼ばれている。
均衡の変化を分析する3段階アプローチ
ある出来事が起きて、市場均衡が変化したとき、売り手と買い手の間に新しい取引価格と取引量をもたらすことになる。
これを分析するために、一般的に3段階のアプローチが取られる。
1.需要曲線と供給曲線のどちらがシフトするかを決定する。
(両方がシフトする事もある。)
2.曲線のシフト方向を決定する。
3.需要と供給の図を用いて、曲線のシフトが均衡価格と均衡取引量に
どのような変化をおこしたかを見る。
例:例年を大きく上回る猛暑が発生した時。
1.買い手はアイスクリームの消費を多く増やすようになる。供給曲線はそこまで変化しない。
▶需要曲線がシフトする。
2.買い手は、多少価格が高くてもアイスクリームを購入するようになる。
▶需要曲線が右側にシフトする。
3.新しい需要曲線と元の供給曲線を元に、新しい均衡点を見つけて均衡価格と均衡取引量を見る。
▶下図のように、新しい均衡点をみる。
以上の例のように、3つのアプローチによって新しい均衡点を導き出して分析をする事ができる。
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