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ブラス:バーミンガム / Brass: Birmingham

デザイナー:Gavan Brown, Matt Tolman, Martin Wallace
アートワーク:Gavan Brown, Lina Cossette, David Forest, Gui Landgraf, Damien Mammoliti, Matt Tolman
出版社:Roxley, Arclight
プレイ時間:60~120分
プレイ人数:2~4人

参照:Boardgame Geek

■ゲーム内容

産業革命のイギリスを舞台にした街を発展させていくゲームです。イギリスの中でもバーミンガムとその周辺が舞台になっています。通称『白ブラス』。

ざっくり言うと、街に様々な工場を作り、街と街の間に交通網を作り上げて、工場の生産物を売っていくゲームになります。

ゲームは運河の時代鉄道の時代の2つに分かれていて、時代が終わる度に決算が発生します。各時代は複数のラウンドに分かれていて、各ラウンド手番には、手札からカードをプレイしてアクションを行います。

1手番には2アクション行います。1アクションで手札を1枚消費するので、手番ごとに2枚ずつカードを消費していくことになります。

アクションが終わったら山からカードをドローして手番終了です。山が無くなったらドローは行わず、最後には手札を全て使いきる事になります。使いきったら、その時代の終了で決算に移ります。

さて、このゲームを遊ぶ上で重要な2つの考え方があります。それが、『接続』と『ネットワーク』です。どちらも交通機関で繋がっている街の集まりを示すわけですが、『接続』は建物や交通機関が誰の物でも良いのに対して、『ネットワーク』は全て自分のものでないといけません。

黄色はダービー~リークは自分の『ネットワーク』。ノッティンガムは紫の路線で『接続』されている。

接続とネットワークの違いはアクションを行う上で使い分けが必要になるので、事前にしっかりと違いを理解しておく必要があります。

話を戻して…。

アクションには『建設』『敷設』『開発』『売却』『借金』『偵察』『パス』があります。

建設』は個人ボードの建物を街に建てるアクションです。手札からプレイしたカードが都市の名前が入ったカードならその都市に個人ボードから建物を建設して、建物が描かれたカードなら、自分のネットワークに繋がる都市にその建物を建設します。

カードは都市カードと産業カードの2種類。建設アクションでのみ、カードの内容が重要になる。

都市には建物を建てるためのマスが用意されていて、そこには何の建物が建てられるのか指定されています。もちろん、早取り。

個人ボード。常に低いレベルの物から建設。タイルの左に描かれたコストを支払う必要がある。

また、建物にはレベルがあり、常に建てられるのはその種類の最も低いレベルの建物になります。

建物は大きく分けて2種類。資源が沸く建物商品を『売却』する建物があります。資源が沸くのは製鉄所、採掘場、醸造場でそれぞれ石炭、鉄、ビールが湧きます。

市場がパンパンで売れない資源は建物の上に置かれる。条件が整えば誰でも使用可能。

製鉄所と採掘場は、建設時に市場に空きがあれば、自動的にそこに資源が補充されお金が入ります。市場に入りきらない場合は、建物の上に資源が置かれて誰でも好きなように使える資源になります。

建物を建てるコストとして必要なのは主に石炭、鉄、お金になります。お金は手元から支払いますが、鉄や石炭は市場から買うか、製鉄所または採掘場で生産されたものを使うかになります。

この時、鉄は馬車を使って運べるため好きなとこから持ってこれますが、石炭は輸送に船か鉄道が必要です。

資源の市場。売買の価格はメインボードに描いてある。ビールは市場には出回らない。

と言うことで、鉄は市場からお金で購入してくるかメインボードの製鉄所から持ってくる事ができますが、石炭は建物を建てる都市に接続されている場所からしか持ってくる事ができません。市場を使う時もその都市に接続していないとダメ。

各建物は裏返すことで得点化します。資源を生産する製鉄所などはタイルの上に置かれた資源が無くなることで得点化しますが、それ以外の建物は『売却』アクションを行うことで得点化します。

敷設』アクションは都市から輸送路を伸ばすアクションです。運河の時代なら運河に船を置いて、鉄道の時代なら、線路に機関車を置く事でその輸送路の所有権を示します。

輸送路を敷く場合は、自分のネットワークに繋がるようにしないといけません。メインボードには運河として敷設できるルートと鉄道として敷設できるルートの2種類が示されています。時代によって使えるルートは変わりますが、運河は川なのでルートが非常に限定的です。

コストは運河の時代はお金が必要で、鉄道の時代では、お金に加えて石炭やビールが必要になります。

開発』は個人ボードからレベルの低い建物を取り除くアクション。レベルの高い建物を早く建てられる他に、レベル1の建物は鉄道の時代に入ると建てられなくなるので、開発アクションを利用して取り除く事ができたりします。

売却』は資源を産まない建物をひっくり返して得点化するアクションです。メインボードの端の方にある売却ができる都市に接続してる必要があったり、コストとしてビールが必要になったり。

売却するには端の方にある交易都市へ接続しないといけない。都市によって売却可能な建物が決まっている。

借金』は定期収入を減らして現金を獲得するアクション。お金は常にカツカツなので、タイミングを見計らって打って行くことになります。

偵察』は追加で手札を2枚捨てることで、都市と建物のオールマイティーカードをそれぞれ1枚ずつ受け取ります。建物を作りたくても必要なカードがない時に救済してくれる便利なカード。

パス』は手番のアクションを1回パスしますが、パスであってもカードは使います。

各プレイヤー2アクションずつ行ったらラウンド終了。手番順の変更を行います。手番順はこのラウンドで使ったお金の額が少ない順になります。いっぱいお金を使うと次のラウンドは手番が遅くなります。

使ったお金はすぐにサプライに戻さず一度積んでおく。

これを繰り返していき、山札と手札を使いきったら時代が終了します。運河の時代であれば鉄道の時代へ。鉄道の時代であればゲーム終了へ。

時代が終わったタイミングでの決算処理は裏向きになった建物の得点と輸送路の得点。

各都市の裏向きのタイルから得点。輸送炉は両側の都市の硬そうなベイマックスの数の合計。

決算では各都市の建物の素点に加えて、輸送路の両端の都市の建物に描かれた六角形のベイマックスみたいなマークの合計が得点として貰えます。輸送路の得点計算時は裏向きの建物は誰の物でも構いません。

決算後、鉄道の時代に移る場合はメインボード上のレベル1の建物と輸送炉を全て取り除きます。鉄道の時代であれば、ゲーム終了。得点の最も高いプレイヤーの勝ち。

■遊んだ感想

インタラクションと先を見据えた計画が物を言う傑作。細かいルールが多くゲーマー向け。

2024年9月6日現在、Boardgame Geekのランキング総合1位に輝いているゲームと言うだけでも、世界中にどれだけファンがいるかと言うのが分かります。

建物や路線などは早取りとなっているので、インタラクションは強め。様々な状況を見越して先手を打ったり、布石を打ったりと考えることは多めで玄人向けのゲームになっています。

大都市のまわりはだいぶギュウギュウ詰め。

特に借金や偵察のタイミング、さらには運河から鉄道への時代の切り替わりが悩ましくできており、先を見据えて資源や現金を用意しておかないと出だしから遅れる事も発生します。

ここまでだとアブストラクトでガチガチのように見えますが、カードの巡りによっては必要な場所に建設や敷設ができない事もあります。このカードによる揺らぎも面白さのポイントです。

細かいルールも多く、ゲーム自体の難易度は高めですが、慣れるとその魅力の虜になってしまうこと請け合いです。是非、ボードゲームに慣れてきたらチャレンジしてもらいたいゲームの1つです。


ルールの複雑さ  :★★★★★★★☆☆☆
駆け引き     :★★★★★★☆☆☆☆
運の要素     :★★★★★☆☆☆☆☆
おすすめ度    :★★★★★★★★☆☆
自分は好きですけ度:★★★★★★★★★☆

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