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夏の終わりの怪談「忍び寄る影」
「僕の昭和スケッチ」18枚目
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先に「神社に棲む狐/妖の夏」をお読みください。
その神社の縁の下に棲むというキツネには、さらに真しやかな噂もあった。
床下から飛び出したキツネは夜更けに家々の瓦屋根の上を飛び廻っている、
と言うのだ。
コンコンとキツネの鳴く声が瓦屋根の上から聞こえて来る…と言って震える女の子もいたという。
「お屋根にキツネがおるよ…キツネがおるよ…」
少女のか細い声が夜更けの街に響いたと言う。
*これは昔、岐阜市内で私の周辺の子供らに実際に起きた、謂わば怪談パニックです。 もちろん実際にはキツネなどいなかったのですが、集団ヒステリーとなった子ども達の胸の奥深くに言い知れぬ畏怖が生まれていたのです。
<©2020もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2020. Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)