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純文学を読んで手に入るもの【小説の楽しみ方を読書会でプレゼンしました】

芥川賞候補作全部読む!

今週の日曜日の朝はいつも参加しているオンライン読書会で、第168回芥川賞候補作2冊の紹介と小説(純文学)の魅力をプレゼンしました。

前回は今回の候補作のうち「荒地の家族」(著:佐藤厚志)「グレイスレス」(著:鈴木涼美)を紹介して、今回は残りの「ジャクソンひとり」(著:安堂ホセ)「この世の喜びを」(著:井戸川射子)の2冊を紹介します。

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候補作紹介:3冊目「ジャクソンひとり」

<あらすじ>
主人公ジャクソンは都内のジムで整体師をしている<アフリカのどこかの国と日本とのハーフ>のブラックミックス。

<QRコード "blackmixroom.org"をwebで開く>

ジャクソンが着ているロンティー(Tシャツ)にあるQRコードが読み取られると、ベッドの上で裸ではりつけにされたブラックミックスの男の動画が再生された。このロンTは差出人不明でつい最近送られてきたものだ。

その動画はジャクソンがランチをしていたフードコートにいるほぼ全員に瞬時にAirdropで拡散されていく。

うん、ちょっとゲイっぽい。
なにこれ、リベンジポルノ?
これ知ってる、マンハウリングっていうプレイだよ。口に入っているのがマイクで、ケツに刺さっているのがスピーカー。

「悪いけどこれ、俺じゃないですよ」
「それはないでしょ。だってきみの服でしょ?」

「ていうかさ、どうしてこれが俺だと思うの?」
「いや、似ているからでしょ」

「どこが?」
「見た目が」
「見た目が、って具体的にどの部分がどう似ているの?」

このロンTを受け取ったブラックミックスは他にもいて、ジャクソン含むジェリン、イブキ、エックスはホテルに集まり犯人探しを、復讐を始める。

候補作紹介:4冊目「この世の喜びを」

<あらすじ>
子育てを終えた女性の「あなた」が主人公。

あなたは近所のショッピングモールで働いていて、そのフードコートに夜遅くまでへばりつくように座っている少女がいることに気づいていた。

その少女と仲良くなる。少女の母親は専業主婦のため1歳の弟が保育園に入れず、しかも「3人目が欲しい」と病院に通っているため、弟である1歳の赤ん坊の世話を自分がしていると言う。だから勉強するためにこのショッピングモールのフードコートに来ているのだと言う。

「少女の目には涙が盛り上がっているように見え、自分の思いを主張しているうちに泣いてしまうというのは、若い時にはよくあった、胸ってすぐに詰まるもの、とあなたは思い出した。」

あなたは少女の発する言葉を正面から受け止め、少女との距離が近づいていく。でも最後はなぜか口をきかなくなる。 あなたの話は少女には最後まで聞いてもらえない。

「説教は娘たちにしなよ。早く年を取りたがっている方の娘だったら、分かってもらえる可能性も高いよ」

言い争いの次の日から少女とあなたは同じところにいても、目を合わせなくなった。それでもあなたは少女と話したいと思ったから思い出したことがあった。

次回は「開墾地」(著:グレゴリー・ケズナジャット)を紹介します。

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