八雲のフィールドワーク
島根県松江市は小泉八雲記念館にいる。
大学生になるまで、小泉八雲とラフカディオ・ハーンは同一人物で耳なし芳一の人、ということくらいしか知らなかったんだけど、焼津の小泉八雲記念館で演劇の上演をする機会に関わらせてもらったことをきっかけに、すっかり小泉八雲推しになった。
そのあと、個人的にも小泉八雲がみた松江の風景と現代を生活する人たちがみている風景を重ねてみるようなフィールドワーク演劇を創作した。
個人的に小泉八雲のことでいちばん気になっているのが、彼はどのように世界をみていたのか、だ。
五感を使ったフィールドワークを通してさまざまな言葉を残してきた小泉八雲。
彼がかくことばの多くは、音、から影響を受けているものが多い気がする。
その音を受け取るためのからだがある。
幼少期の事故で目に障害をおった八雲は、世界を視覚以外の感覚で捉えようとした。
彼の世界のみかたは、解が1しかないようなものではなく、もっと自由で、全身を使って、世界を捉えようとしていたんだと思う。
その過程で生成されたことばたち、わたしが思う小泉八雲の魅力である。
自分のからだをもってその感覚を体現すること、人や風景に耳だけでなく全身をすませることが、自分がフィールドワークをする上で意識していることではあるけど、まだまだ、彼のようにはうまくいかない。