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食養の理論と哲学を築いた石塚左玄

 石塚左玄は、軍医として現場で多くの兵士の健康状態を観察し、実践的な経験を通じて食事の重要性を感じました。当時の軍では栄養が偏った粗食や不衛生な環境が原因で、病気や体力低下が頻繁に起きていました。彼はその状況を目の当たりにし、「薬や治療では根本的な解決にならない」と感じ、食事が身体を作り、心や精神にも影響を及ぼす「食養」という考えを提唱しました。この思想の中心には、「医食同源」や「薬食同源」という東洋医学の理念があり、日々の食事が健康を支える土台であることを唱え、食育の基礎を作ったとも言われています。

 西洋医学が症状の改善には有効である一方、病気の根本原因に働きかける力が弱いと考え、東洋医学や日本の伝統的な食文化にも目を向けました。食事を単なる栄養摂取ではなく、自然との調和を取り戻す為に大切だとしています。

 地元で採れた旬の食材を活用する「身土不二」や食材を無駄なく使う「一物全体」の考え方を重視し、現代社会にも重要な教訓を与えています。加工食品が主流となる現代だからこそ、彼の説く食養哲学は、健康の土台となる日々の食事を見直すための指針となります。

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