シャシャテン
(2019.04.22 更新)
…「割爪(わりづめ)」、いわゆる「シャシャテン」の、ちょっとしたコツ。
シャシャテンは、手の動作が華やかで見映えがする、けっこう楽しい「見所」。
練習の最初は、手の動作のタイミングと指の使い方がいまいち腑に落ちないことあるような気がします。
「こうやって、こう」と見せたときの、疑問符の飛び方がけっこうみんな一緒だったりしてたので。
コツを書いておきますね。
基本はネコ
シャシャテンの基本動作、腕のベースは「ネコのひっかき」。
おおげさにいえば、ネコが”バリーン”と、手を丸めて爪を出して、やる感じ。
腕の動きは、他の技法でも同じくあまり意識しにくいのですが、指の力だけでは華やかな響きは出しにくいので、動作自体はごく小さくても、「腕を使う」こと、見逃せないポイントです。手首だけで手元を振らないように。
(分かりにくい場合は、机の上を手首の内側で叩いてみて下さい。ひじ下を固定すると、振りにくいのが分かるかも)
・人差し指と中指「シャシャ」
腕の動きに、指の第二関節の曲げ込みをのせる、指を「握りこんで・握りこんで」、という動作です。
人差し指・中指の順に使いますが、各指の動きをシャープに鋭く使うと、「シャ」のかっこいい音がしっかり出ます。
二絃をなでるように弾くと「テレン」ってダルい音になっちゃう。一応、「シャ」は和音なので、二絃が一音に聞こえるように瞬時に。
(*第二関節の曲げ込みが不安定だと感じたら、指トレをして下さいね。第二関節をピンポイントで使うので、そこのみの曲げ伸ばしの筋トレをしておくと、だいぶ楽かも。→「指トレのススメ」)
手の動きと指の曲げ込みは、左方向へかるく逃がすと、2.3の指の連続がやりやすいです。’(手の高低差、回転の円をナナメにした方が小さくなるので前後の動作ロスが少ないんだと思う。回転については後述「シャシャが重い、連続で拍遅れしていく」へ)
・親指「テン」
親指、なんだかオマケみたいになりがちですが、親指をしっかり弾く。
シャシャで左へ流した状態の手を元に戻して、立てて弾きます。ここの切替は、スクイと普通の音の組み合わせに通じるものがあります。意識的に、垂直に立てて、しっかりと音を出しましょう。メインの音として、強めに響かせます。
親指メイン、なぜかというと、そのまとまりの中で一番高音なんですね、絶対的に。アクセントを置く場所。
そして、次へつなげるとき、わりと、フレーズが親指の「テン」から流れるように降りてくること、少なくない。つまり、終わりであり起点でもあることが多いです。
シャシャ部分は装飾音くらいに思っておいた方がいいかも。
シャシャのコツ
人差し指中指の爪をあてるときは、たぶん、曲げ込みの時に指を左方向へ逃がすから、自然と側面側のへり(小指側)を使うことにはなってるとは思います。
たまに、しっかり弾こうと意識しすぎて、爪の面を正面からあててることがあり、そうなると逆に弾きにくくてうまくいかないことが。基本の弾き方ではなく、左へさらりと流す感じで大丈夫です。
シャシャがあまり華やかにならないときは、すこしだけ弾く位置を中程(柱側)へ入れてもいいかも。端っこで弾くと全然響かなくてだめです。
☆ 動画などを探すときは、「掻き手」「割爪」で検索すると、色々見つかると思います。
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動作の工程
シャシャテンは、ゆっくりの場合と速い場合で、ベースの動きにつける動作が変わります。
・ゆっくりのときの練習
シャシャテン=「シャーン・シャーン・てーーん」くらいでいくとき。
ゆっくりの場合は、手の動きは3工程。ネコの動作でいえば、二回ひっかいて手を置く形です。
基本的に、同じ動きをするときは、手の移動は、螺旋・回転の動作です。
つまり、
シャーン(ひっかく+一回転で手を戻して)+シャーン(回転の続きの引き上げで手を飛ばす移動)+てーーん(着地)。
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・速いときの練習
シャシャテン=「シャシャテン!」くらいのときは。
速い場合は、手の動きは2工程。ネコが一回ひっかいて手を置く形です。
つまり、
シャシャ(ひっかく+飛ぶ)+てん(着地)。
この、一回の動作で二回の指の曲げ込みをのせるのが、ゆっくりのときの基本練習に慣れてしまうと、やりづらいようです。切替えができにくい。
なので、こちらは、別パターンの基礎練習として、ゆっくりの時と同じくらいの速度で、ゆるーっと一回のなかで人差し指・中指でひっかく、という部分の練習をすると、使い分けの感覚ができるかな。
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よくあった上手くいかない場合の修正パターン。
★テンが遅れる
親指のテンの入りが遅れる場合、だいたいは手の形の修正でカバーできます。
多いのが、「親指の準備ができていない」ケース。はじめから親指を高音側へ待機させた形でシャシャを弾く、そのために、最初の手の形をガバッと開かせる。それだけで、解消できると思います。
★テンがしっかり弾けない
シャシャの人差し指・中指は斜めに逃がすように弾きますが(手のひらが左下を向いている形)、テンは、瞬時に手の甲を真上へ向けるように、手の角度を変えて、親指を絃へ垂直に立てる形で弾きます。(普通に弾くときの手の形へ戻す。シャシャと同じライン上で音を出すように)
これは、手を横向きのままで弾くと、絃上でシャシャの弾く位置よりも親指の位置の方が内側へ入ってしまうので、音質がさらにぼやけてしまい聞きづらくなるのを修正する意味合いもあります。続きの音をきちんと弾けるように元の姿勢に戻す意味合いもあると思います。
特に、反り指の人は指が横へ出がちなので、意識してしっかり立てるように。
シャシャの時に、真横に親指が出る手の形だとテンが弾きづらいので、反り指も普通の指も、開き方は、 ] ←この四角カッコのように、前後に開きます。
音の出し方は、指を突くように、手首で着地します。親指だけでポンと跳ねるように引っかけて弾くのは、不安定で音自体も軽くなってしまうので、しっかりと次の絃にあてて押し込んで止めるように弾く。
シャシャの軽さと、テンの重さで、バランスをとるような感じかも。
★シャシャが遅い・重い、連続で拍遅れしていく
動作ロスの大きい場合。
手の振りの動きがほとんどゼロで、第二関節のみでシャシャの動作を完結できるようになると、時間のロスが少なく次へ移れると思います。ひっかく動作は、削れるならできるだけ削ります。
*前モーションとして、手を振り上げる(=手の甲よりも指が高く上がる)クセがつくと、振り上げて振り下ろす時間分、シャシャの入りが遅くなります。振り上げないように。
*シャ+シャ の部分が間延びして重い場合。
指トレをし、曲げる動作のスピードを速くします。
指を曲げたあとに、指をひとつひとつ開くクセがあると、シャシャの二音目の入りが遅くなるので、「握ったままで次へ」。曲げ込みの指はグーの形でOK。
ベースの手の回転、高低差が少なくなるように、回転の円を小さく。飛ぶときも次へ移るときも、動作をコンパクトに。
(基本を教えるときに、分かりやすいようにと大げさな動作で教えたとき、そのままの見た目の、動作ロスの大きい練習をしてそれを身につけてしまうケースがありました。
基本練習では、動作の理解ができたら、だんだんとロスを小さくするように言っていくのがいいかもしれません。移動は最短にしないと、速度対応ができなくなるので。)
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シャシャテンは高速でできるようになると「機械みたいな動きしてキモい 笑」とか言われるようになりますよ。 (貶しでなく同期にそういう言われ方で褒められたw)
華やかな技法なので、がんばってほしいなー