賃上げと付加価値について②


賃上げを実現するために、一人当たり一時間当たりの付加価値生産性を意識することが大切なのですが、その理由は何でしょうか?

実は、この理由は非常にシンプルです。

例えば、20人、100人、200人の従業員数を持つ企業がそれぞれ同じ利益1億円を出しているとしましょう。

  1. 20人の企業で利益1億円

  2. 100人の企業で利益1億円

  3. 200人の企業で利益1億円

それぞれの企業の社長が、「出た利益の10%を社員に還元しよう!」と決断した場合、すべての企業で1000万円が社員還元の原資となります。

その金額を社員全員で分けると以下のようになります。

  1. 20人の企業:1000万円÷20人=50万円/人

  2. 100人の企業:1000万円÷100人=10万円/人

  3. 200人の企業:1000万円÷200人=5万円/人

もし、これが1000人の企業だった場合、1人あたりの還元額は1万円になります。このようなシンプルな例からも、組織の規模が大きくなるほど一人当たりの利益が減少することがわかります。そうすると賃上げの余力はもちろんなくなっていきます。

そんななか、一人当たり一時間当たりの付加価値生産性が意識されていない現場ではよく「人が足りない」という声が聞かれます。もちろん、本当に人手が足りないケースもありますが、
その背後には以下のような努力が足りない状況がよくあります。

  • プロセスの見直し

  • 自動化の導入

  • 技術の活用

  • チームのコミュニケーション改善

  • スキルの向上

  • タスクの優先順位付け

では、これらのことに取り組まずに、要求通りに人を増やしたら・・・
そう、一人当たり利益は減ってしまうのです。

このように、一人当たり一時間当たりの付加価値生産性を意識していない組織では、
「賃上げして欲しい」→一人当たり利益を増やさなければならない

「人員を増やしたい」→一人当たり利益が減る
という相反する要求が同時に存在します。

賃上げは利益(付加価値)から出る一方で、人数が増えると一人当たりの利益が減少し、賃上げが難しくなります。

では、一人当たり一時間当たりの付加価値生産性を意識した組織は、この問題をどのように解決するでしょうか?

続く

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