恋人がスリッパを揃えない【同棲日記】
恋人がトイレのスリッパを全然揃えない。
扉を開けると
なッ….なぜスリッパの位置がそ…そこにッ!!!???
と驚くくらい揃っていないのだ。
しかも、ご丁寧に毎回違うパターンを用意してくる。なぜこんなにもバリエーション豊富なのだ。
私はこの問題に、同棲が始まって以来(7ヶ月間)一切触れずにいた。
まあ、スリッパくらいと思っていたし
1秒で直せるようなことをわざわざ言わなくてもいいかと思っていたからだ。
でも、あまりにもスリッパの位置が正常になった試しがなく、いい加減揃えてほしかったのと、一体中で何が起こっているのか気になってきたので、まずは事情聴取も兼ねて、尋ねてみることにした。
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「あ、トイレのスリッパなんだけど」
「うん。」
「むーたんの後、なんでいつもこうなるの?」
(トイレに行って実際スリッパを見せる)
(※むーたんはニックネーム。本名:ティム)
「ああ、このスリッパか…..履いてないヨ」
マサカノハイテナカッタパターン————————
つまり、こういうことが起こっていたのだ。
むーたんはアメリカで生まれ育った。
私はアメリカとカナダに住んだことがあるので、記憶を掘り返してみたのだけど、確かにスリッパというアイテムは見慣れなかった。
みんな裸足かビーサンようなお家用の楽な履き物で動き回っていた記憶があり、トイレでわざわざスリッパに履き替えるシーンは確かになかった。
ということで、欧米ではトイレ用スリッパが主流ではないのかもしれない…。
トイレ用スリッパはむーたんにとって目新しく、自分には履く必要のないものだと思って足で退けていた、と一旦結論付けることにした。
「なるほど。じゃ、次回はちゃんと履いて揃えてね」
「うい」
(最近SPY×FAMILYのアーニャに感化されて、応答が全て“うい“になった)
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しかし、だ。
トイレのスリッパは簡単には揃わなかった。
ようやく整列されたスリッパを拝める日が来たと思ったが、甘かった。
相変わらず、面白いほどにスリッパがポージングをキメているではないか———。
習慣というものは、なかなか直らない。
ということで、私は
もう一度お願いして、さらにもう一度お願いした。
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トイレのスリッパ問題は面白おかしかったので一例として取り上げてみたのだが、
同棲生活をしていると、どうしてもお互いの生活習慣の違いが浮き彫りになり、衝撃を喰らうことがある。
まあ、そりゃそうだ。
出身国の違いとかでは全然なく。
きっと、同じ国で育った者同士でもカルチャーショックを受けることがあるだろう。
それぞれが育った家庭に
それぞれの文化がある。
もっと細かく言うならば、
それぞれの人に
それぞれの文化がある。
そんな他人同士が1つ屋根の下で生活するのだから、カルチャーショックの1つや2つ、受けて当然かぁと思う。
食器を食べた後にすぐ綺麗にしたい派もいれば
ひとまずゆっくりしたい派もいる。
掃除機を毎日かけたい人もいれば
週に1回がいい人もいる。
朝型派もいれば、夜型派もいる。
脱いだ服を洗濯機に入れなければ気が済まない人もいれば
抜け殻のように床に脱ぎ捨てる人もいる。
これらはすべて、文化の違いなのだ。
だから、間違っても人として有り得ないなんて思ってはいけない。
自分の常識は他人の非常識で、その逆も然り。
同棲生活にこそ、異文化理解が必要だと思う。
自分と同じものだとは思わないこと。
その上で、お互いが気持ちよくいるためにはどうすればいいのかを考えること。
私は基本、同棲生活を運営するにあたって
生活習慣文化の違いは尊重するようにしている。
でも、不快や不便を感じることがあるようなら
意を決して言うし
言ってもらうようにしている。
伝えて、相手に分かってもらえて
でも相手がまた同じことを繰り返した場合。
そんなときは
腹を立てないと決めている。
言ったのに直してくれない!!なんて怒るのは、
早とちりしすぎである。
何十年も当たり前のように行ってきた習慣を、たったのひと言で矯正してもらえるならば、世のカップルはこんなにも別れていないはずだ。
だから怒らずに、菩薩のように穏やかに、気長にまっすぐ伝え続けるのみ。
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さて、最後にグッドニュースを。
トイレのスリッパは、ようやく今日しっかりと揃いました。
荒れ狂ったスリッパが、お行儀良くちょこんと揃っていたのを見た私は
なんか….
よく分からない達成感を感じたのであった。
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