№64【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『気になるうしろ』
大昔、何とか流星群が流行ったので、友人と夜中のドライブに出かけた。
「流星群がみえる方角は確か・・・こっち!」
その言葉を信じて夜空とにらめっこ。
結局、目の錯覚か本物分からないような流れ星を2つ見たことに。
そして、身体の芯まで凍えて風邪をひく寸前で帰宅した。
※
それから数年後、両親が夜釣りをするというので、ついて行ったある日。
釣り好きの両親とは対照的に、いっちょまえに糸をたらして、釣りをしているふうでおやつのプリンを楽しんでいたワタクシ。
「待ち時間に、好きなおやつを楽しむのがワタクシ流の魚釣り」
なんて言っていたら、目の端にスッと流れた光。
「え?」
そこは、釣り客がホンの少しだけいる、基本真っ暗な海辺。
ヘッドライトを照らしている人なんていない。
「なに? 今の」
ちょっと寒くなってきた背筋。
身構えて光の方向見ていたら、こんどは空全体に、スッ、スッ。
音もなく小さな光が、現れては消え、現れては消え。
ようやくその光が、流れ星だと気がついた。
それからは釣りどころではなく、流れ星探しが始まった。
「あ! こっち。こんどはこっち!」
生まれて初めて、数えきれないほどの流れ星を見た。
きっとワタクシの願い事が全部叶ってしまう以上の数。
思いがけないタイミングで一生分の流れ星を堪能したワタクシ。
「わざわざ見に行った時は2つだったのに?」
流れ星は、会いに行くと会えないものだと思った。
※
先日、自宅のベランダから、ダメもとで流れ星を眺めようと思った。
「温かい飲み物一杯、楽しむ間だけ空を見上げる」
このくらいがワタクシにはちょうどいい。
でも星を見る時には、いつもこう思う。
「まさかとは思うけれど、ワタクシの観ていないうしろで、流れ星が滝のように流れている・・・なんてことはないでしょうね」
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