№63【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『久しぶりの方、もう1本無料』
超有名な黒い炭酸ジュースを自動販売機で買おうとしたら、ポイントがたまるアプリがあったことを思い出した。
「確かだいぶ前にスマホにそんなの入れたよね?」
自動販売機もポイントがもらえる時代。
幸い周りには人っ子一人いない。
操作がモタモタしても恥をかくことも、後ろの人をお待たせする心配も、何度やりなおしても慌てることもない。
しかもめんどくさがりのワタクシが、なぜか今日はメンドクサイ!と思わない。
「チャーンス!」
マイペースでゆ~っくりとこのアプリを起動させた。
「で? いくら?」
そこにきて初めて、あのペットボトルが1本180円ということに気がついた。
「ひょーっ! 今、こんなに高いの? 超高級品!」
素直にスーパーに行っておけばよかったと大後悔。でもスーパーは真逆。
仕方ないのでしぶしぶ1本買った。
ところがスマホをしまう前に画面を確認すると「もう1本無料」という表示。
「無料チケットって書いてある。それならば遠慮なく~」
ホクホクしながら1本分の値段で2本頂くことにした。
でもここでちょっとした疑問が。
こんなタイミングで無料のチケット、なんで?
くじ運が悪いワタクシにそんな奇跡が起こった理由が知りたい。
メッチャ気になってもう一回画面をよ~く見てみた。
するとそこには
「久しぶりの方、初めての方限定で1本無料」
という表示。
うそーん。
久しぶりにアプリを使っただけでこんなにいいことあるの?
ポイントをくれたうえに、お久しぶりって気遣いまでしてくれる自動販売機。やさしい~。
そのうち、顔認証かなにかで
「いや~、相変わらずお綺麗ですね~」
なんてほめ殺しにしてくれたり
「そろそろ家事が終わる頃だと思いました。コーヒーブレイクしません?」
なんて自動販売機が尋ねてくるなんてことになるかも。
自動販売機はどこまでやさしくなるのか、めっちゃ気になった。
ワタクシとしては、財布と操作さえ優しくしてくれればそれでよし。
よろしくです。