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ドイツワイナリー探訪 Altenkirch


ここ最近は重たい記事が多かったので、たまには下書きも復習もなしで書ける記事を。

ここ最近は週に1回ほどワイナリーをめぐっていまして、その時に感じたことや見たものをシェアできればと思っています。

ただ自身のスマホのカメラが壊れているということもあり、なかなか自由には写真が撮れていないですがご容赦ください。

1. Weingut Friedrich Altenkirch GmbH & Co. KG
2. Weingut Closheim Conrad
3. Weingut Chat Sauvage
今回から順にこの3軒を紹介していきます。

まずは1つ目 。
今回はWeingut Friedrich Altenkirch GmbH & Co. KGを紹介します。

このワイナリーは日本人なら知るひとぞ知るワイナリーで(私は知りませんでした)、現在ブルゴーニュで活躍中の栗山朋子さんが働いていらっしゃったところです。

読み方はなんともドイツ語独特なところがあって難しく覚えにくい名前ですが、場所はLorch駅からすぐのところで、車がなくても訪ねやすいところにあります。

このワイナリーはラインガウの地域に位置するライン川沿いのワイナリーで、特徴的なのはやはりドイツの川沿いの地域によく見られる急斜面の畑です。

一番急なところでは60%もの斜度があると仰っていました。

またこの斜面の畑の水はけのよさと、古木の根の深さの話は現在の造り手であるJasper Bruystenさんもやはり思うところはあるようで、根の張りが良い古木は水分ストレスにうまく順応し、今年の乾燥にもしっかりと耐えることができたとのことでした。
ちなみに熟成中のピノノワールを試飲させてくれているこの方がJasperさんです。

ちなみに今年は雨が全く降らなった上に、かなり気温が上がったらしく、今までのドイツワインにはない力強さが出てくるのではなんて言われています。

一方で、世間で言われるような古木になり、樹勢が衰えることによる収量減というのは見られないとも言っており、これは昨今の研究結果とも一致するのでブランディングやストーリーを無理に作ろうとしていない姿勢に好感が持てました。

特にワイナリーを訪れると歴史の話をしたがるオーナーが多いのですが、そういった部分は軽い前置き程度に話す造り手の方が個人的には好みなのでそこも◎


またこのワイナリーでは木に対してオーナー制度を設けており、その本数に応じて毎年オーナーにワインを送っているのだとか。そういった試みや遊び心があるJasperさん。

そうこうして畑をさらっと回り今度は醸造場へ。

醸造場では今年の仕込み中のリースリングやソービニヨンブラン、ピノノワールなどをテイスティングさせていただきました。
乾燥酵母を用いたものと、自然発酵を促しているものと両方あり、一部はPied de Cuve(発酵中の果汁を培養酵母の代わりに利用する)という方法も用いているそうです。

リースリングはシリカ系とスレート土壌の違いによるスパイシーさとフルーティーさについて、残糖と酸の感じ方の違いについてなど話していただきました。

実際15g/Lほどの残糖があっても(分類はoff-dry)、酸が8-9g/Lもあればドライなワインだと感じてしまうといったことです。

またこれもかなり突っ込んだ話になりますが、去年授業ではボトリティス菌(貴腐菌)のついたブドウを収穫時に混ぜると香りや味わいに複雑味が出るということだったのですが、Jasperさんはボトリティスのブドウを入れると複雑さは増すかもしれないが、リースリングという品種に関して言えば、熟成できる期間が短くなってしまうから使わないということをおっしゃっていました。

ボトリティスブドウを入れることの是非に関してはまた論文等を引っ張ってきて調べてみることにします。

またこのワイナリーではソービニヨンブランは最初の収穫と最後の収穫の間に2週間ほど間をあけることで、フレッシュな果実の香りと、品種香でもあるグリーンさの両側面を持たしているそうです。

樽は3000Lのリースリング用の大樽を除いては、全てピノノワール用ですが新樽比率は25%ほど、トーストもミディアムライトとのことで、比較的樽香は控えめなエレガントなスタイルに仕上がっています。

下の樽のように温度管理システムもついていたり、下側の口から果汁を出すことができるようになっていたりするのは、ドイツに来てからはよく見られますが、フランスではそこまで見かけることはなかった特徴と言えます。



もちろん最後にテイスティング。

年度違い、畑違いのリースリング、ピノノワールをいただきました。

リースリング2017はフレッシュな香りと味わいで、ペトロール香もあまりなく、少しニュートラル気味なリースリングでした。自分には少し酸がきつすぎるぐらいだったので、かなりシャープな味わいになるかと思います。

2015の方は少しずつ複雑味も増してきており、全体の香りの広がりと少し落ち着いてきた酸が印象的でしたがまだ5年ぐらいは熟成できるかなと思います。

ピノノワール2016は古樽のみの使用で、まだ少し若い部分もあり、フルーティーさこそ表れていましたが、もう少し熟成させて紅茶やなめし皮のような香りがするまで寝かせてもいいかなという印象を受けました。

2013はミディアムライトボディで甘い香りはするものの強すぎず、奥の方に微かに香る樽香がかなり上品でした。タンニンもシルキーで心地よく、落ち着いた余韻を楽しむことができました。

そんなこんなで750mlボトルは売り切れてないとのことで、結果的にピノノワール2013を6人で4本もマグナム(1500ml)を買ってしまいました。

本当はピノノワールをドイツでのシノニムであるシュペートブルグンダーと呼ぶべきなのでしょうけれど、わかりやすいようピノノワールとしていますがご了承ください。

次回はNahr地域にあるWeingut Closheim Conardです。


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奥村 嘉之/WineHacker
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