花信風 -kashinfu-
春の初め、花が咲くことを知らせる風の名前。
…
「あぁ〜、寒っ」
暖かくなってきたと思ったらまた
寒さが戻った。しかも今日は風が強い。
「どうしようかな。」
風を通さないダウンにしようか、
春っぽいベージュのコートにしようか。
「そういえば、、」
この緑のブルゾン、
ここに何年も掛けてあるだけで着てないなぁ
この服もずっと畳っぱなしで今年も去年も来てない。
「うん。」
着ていない服はまるで眠っているようだ。
全く着ていないのに、どこか疲れている服。
それに比べて毎週のように着ているのに、イキイキしている服。
「何だこの違いは」
服は生きているようだ。
着なくなった服は役目を終えてしまったかのように、眠っている。
「着てみよう。」
そこでまた袖を通してみると、なんだか
懐かしさと嬉しさとワクワクさと
新鮮さも感じる、愛おしさも感じる。
「あれ?」
着た途端、服も輝き出した。生き返ったよう。
服も、物も生きているんだなぁと感じた。