脳卒中後の下肢筋力トレーニングによる運動機能への寄与
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掲載雑誌:Journal of Rehabilitation Research and Development, 2015
Impact Factor:1.431(掲載時点)
本noteの参考文献数:24本
では早速目次です!
はじめに
脳卒中は、米国における長期障害の主要な原因であり、脳卒中患者の73%がある程度の長期的な障害を抱えている(1-3)。
脳卒中患者のうち、自立して地域を移動できるようになるのは半数にも満たない(3)。
歩行能力を回復した人でも、多くの残存障害が残っており、歩行に関する運動能力の制限を報告している(3)。
脳卒中後、最も一貫して観察される歩行障害は、歩行速度の低下である。
重要なことは、
1. 歩行速度の改善は全体的な健康状態と独立して関連している
2. 機能回復の重要な予後因子である
3. 生理的および機能的な変化を反映している
4. リハビリ中に最も頻繁に述べられる目標である
(4)
そのため機能的な歩行状態の改善を目的とした介入は、片麻痺患者とその介護者の生活の質を向上させることが重要である。
片麻痺は、半身の筋力低下または部分的な麻痺と定義され、脳卒中後の3/4に観察される。
脳卒中後の歩行速度の低下は、体幹を前進させるために必要な下肢筋力が十分に得られないことと関連している。
筋力低下が起こると、体幹や脚に必要な力学的エネルギーが得られず、歩行性能に悪影響を及ぼし、機能的自立性が低下する。
筋力低下の発生には筋力と筋速度の両方の要素が含まれており、筋の発揮力と短縮速度によって決まる。
筋力低下には、筋肉量の減少と麻痺筋を活性化できないことが明らかに関与しているが、これらの変数だけでは、脳卒中後の筋力よりも筋力低下が大きいことを説明できない(5)
神経学的に健康な高齢者と比較した場合、顕著な速度依存性の筋障害は、筋力低下と相まって筋パワーの発生に大きく影響する(5-6)。
筋パワーと筋力を比較した研究では、筋パワーの低下は機能的能力の変動を表しており(7)、依存度の増加、転倒リスクの増加、歩行速度の低下と関連している(8-10)。
筋力低下は障害と関連しているが、筋力を向上させることが脳卒中後の機能的パフォーマンスにどのような影響を与えるかを記述したデータはない。
本研究では、脳卒中後の筋力低下に着目したプログラムを用いて訓練を行う頃で、神経筋の反応が起こり、歩行速度の向上に繋がることを仮説した。
本研究の目的
高強度・高速度の下肢パワー訓練プログラムであるPOWER(Poststroke Optimization of Walking using Explosive Resistance)訓練を8週間行うことで、脳卒中後の筋機能と運動機能に及ぼす影響を検討した
対象と方法
対象者:慢性期脳卒中患者12名(6~60ヶ月)
対象者属性:
1. 年齢が19歳〜70歳まで
2. 10m歩行が自立している方
3. 快適歩行速度(SSWS)が通常よりも低いこと
4. 歩行やバランスに影響を与える整形外科的または視覚的な問題の兆候がないこと
5. 神経疾患を併発していないこと
介入方法
・対象者はPOWER介入を完了し、24の訓練セッション(3日/週、8週間)行った。
・運動は、レッグプレス、カーフレイズ、ジャンプトレーニングなど、いずれも仰臥位でエクササイズ器具を用いて行った。
・セット数は2~3回、反復回数は8~15回とし、セッションの進行目標に応じて設定した。
・運動強度(抵抗力と反復回数)は、介入期間中、各個人が許容できる範囲で段階的に増加させた。
・運動は片側ずつ行い、両脚の筋力を最大限向上させることを目標とした。
・自己選択歩行速度の125%以上で10mの速歩運動(10回/各セッション)を繰り返し行った。
評価項目
●筋力および筋パワー
・介入前および介入期間中の2週間の間で、等速性動力計(Bio-dex Medical Systems Inc; Shirley, New York)を用いて筋力とパワーを評価。
・筋力テストでは、足底屈筋と膝伸展筋群の2つの筋群について、3回の最大収縮で得られた最大トルクと最大随意等尺性収縮(MVIC)を両側下肢で測定した。
・測定は信頼性を高めるために、各5回実施した。
・測定時は対象者に対して、①出来るだけ速く動かすこと、②最大収縮を起こすことを指示した。
・近位部安定のため、胸部、腰部、膝部はストラップで固定した。
●歩行テスト
・歩行マット(GaitRite, CIR Systems Inc; Sparta, New Jersey)の上を歩き、快適歩行速度と最大歩行速度(FCWS)を測定。
●Fugl-Meyer Assessment(FMA)の下肢領域
●Stroke Impact Scale(SIS)
●Berg Balance Scale(BBS)
●Dynamic Gait Index(DGI)
●6分間歩行テスト(6MWT)
統計解析
・正規性の検定後、一元配置分散分析を用いて各時点(トレーニング前、トレーニング後、フォローアップ)での平均を比較した。
・多重比較のために事後補正はBonferroni法を用いた。
・有意水準は0.05とした。
結果
訓練による副作用は報告されなかった。
筋力と筋パワー
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脳Life 〜PTのための英文Review〜
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