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歴史・人物伝~大河コラム:大河ドラマ「べらぼう」~今に通じる蔦重のアイデア

2025年大河ドラマ「べらぼう」も放送5回を迎えました。戦国や幕末好きの私に馴染むのかと思いきや、なかなか面白くてどっぷりハマっています。今年1年も大河ドラマを存分に楽しめそう(笑)


これまでの5回では、主人公の蔦屋重三郎が生まれ育った吉原にお客を呼び込むため、あれやこれやと知恵を絞っているシーンが描かれました。そして、蔦重が生み出すアイデアは現代社会にも通じるものが多いなと感じたわけです。

最初に手掛けたのは「吉原細見」という遊郭の案内書。これはガイドブックや情報誌のようなもので、蔦重はできるだけ新しい情報を取り入れようと、持ち前の行動力で聞き取りに歩きました。

情報誌にとって、情報の更新は最も重要なこと。これはウエブの世界でも全く変わりません。情報が古くて更新されなければ、情報誌もウエブも信頼を失ってしまい、読者(ユーザー)離れを引き起こしてしまうからです。

次に生み出したのが「一目千本」でした。これは、遊女を生け花に例え、添え書きを付けて紹介するという画期的なアイデアで、蔦重が自主制作本として初めて企画立案から制作出版を手掛けた本だったそうです。

この本は非売品で、見本をあちこちに配って客を誘い、吉原で遊んだ客のうち、遊女が気に入った客にプレゼントするというプレミアムを付けました。「一目千本」はあくまでも宣伝媒体であり、誘客を最大の狙いとしたわけです。

「一目千本」に味をしめた蔦重は、続いて「遊女の錦絵」に着手します。これは資金繰りのために、遊女の着物を手掛ける呉服屋から「着物の宣伝」の名目で出資を募っていきます。いわゆるスポンサー集めということですね。

呉服屋は美しい遊女によって着物の宣伝ができますし、茶屋にとっても誘客のツールとなります。そして手掛けた蔦重は、錦絵を売ることで利ザヤが入る。まさに三方良しのアイデアだったと思われたのですが・・・

そこに待ったをかけたのが、版元の同業者同士で作る「株仲間」でした。蔦重は版元の株を持っていなかったので株仲間ではなく、新規加入も認められず、自分の名前では出版することができなかったのです。

商業が未成熟だった江戸時代は、権益を守るために商人たちが団結する必要性がありました。現代社会なら、アイデアマンの蔦重は起業家としてあっという間にトップに昇りつめていたでしょう。

ただ、当時の江戸幕府が株仲間を奨励したことは事実です。その中心的な役割を果たしたのが、時の老中・田沼意次でした。田沼については、いずれコラムで詳しく取り上げてみたいと思っています。


ところで、2日放送分で姿を消した謎の少年・唐丸の再登場はあるのか? ひょっとして、あの人物のことでは・・・興味津々ですね!


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マイケルオズ@日々挑戦する還暦兄さん(フリーランスライター)
noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!