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歴史・人物伝~大河コラム:大河ドラマ「鎌倉殿の13人」実朝暗殺事件の余波

27日放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、先週20日に続いて源実朝暗殺事件が描かれました。ドラマの冒頭で事件が起こり、源仲章と実朝が殺され、後半は事件の余波とさらなる騒乱の端緒が次々と登場していました。

公暁の誤算と狡猾な三浦義村

事件で、公暁が真っ先に殺そうとした相手が北条義時だったことが分かります。ただ、義時は源仲章に太刀持ち役を奪われ、その結果、仲章が義時と間違われ巻き添えを食ってしまいます。公暁にとっては想定外のことが起きたわけです。

義時を討ち損じたことで、公暁はパニック状態に陥ったのだろうと思います。史実では、殺されたのは実朝が先か、仲章が先か分かりませんが、いずれにしても後には引けなくなってしまい、実朝暗殺に至ったのでしょう。

公暁にとってのもう一つの誤算は、三浦義村が自分に味方してくれなかったことです。義時を打ち損じたことで義村が北条氏についたことを知らず、公暁は三浦を頼ってしまったばかりに、将軍殺しの謀反人として討ち取られてしまったわけです。

それにしても、三浦義村は狡猾な人物です。次回登場すると思われる、義時と伊賀の方(のえ)の子・政村の烏帽子親となり、北条氏にしっかりと布石を打つことで、三浦氏の安泰を図ろうとします。

一方で、公暁の一件にかかわっていたように、隙あらば北条氏に取って代わろうという野心もしっかりと持っています。義村の子の代になってその野心が顕在化し、やがて宝治合戦という鎌倉時代中期の内乱につながっていくのです。

政子の自害を阻止したトウ

ドラマでは、実子の実朝が殺され、孫にあたる公暁も討たれてしまい、絶望の底に叩き込まれた政子が自害しようとする場面がありました。すんでのところでトウが阻止したわけですが、トウは偶然居合わせたのでしょうか?

自害を阻止された政子は、トウに自分を殺すよう頼みますが、トウは「主の命令なしに人は殺せぬ」と言い、自害しないよう訴えます。裏読みするならば、命令に従って行動するトウが、自らの意志で政子を止めるとは到底思えないわけです。

次回以降、謎解きがされるかもしれませんが、私はトウに政子の監視を命じた人物がいるのではないかと推測します。その人物は義時である可能性が高いわけですが、私はあえて「命じたのは時房だろう」と考えたいです。

時房は人の心を察知する能力にたけた人物であり、政子の深い悲しみも理解していたと思われます。だからこそ、政子に万が一の行動を起こさせないよう見張らせていたのではないでしょうか。

もちろん、義時が命じた可能性も十分考えられます。ただ、義時の本当の気持ちはともかく、建前としては「ここで政子に死なれたり、去られたりしたら、今後の幕府の運営に支障が出る」という打算があったのだろうと思われます。

いよいよ、ドラマも大詰め。クライマックスの承久の変に突き進んでいきますね!


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マイケルオズ@日々挑戦する還暦兄さん(フリーランスライター)
noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!