未経験からデザイナーへの転職戦略【志望動機編】
こんにちは。Miyagawaです。
同人誌の制作をしていて、デザインを中心に、企画、編集、校正、設営にも関わっています。
関わったことのあるジャンルは、神のみぞ知るセカイ、ホロライブ、ぼっち・ざ・ろっくです。
本職は半導体デバイスの開発をしており、同人活動でデザインをしていたのですが、この度、転職してデザインを仕事にすることになりました!
アニメ関連業界のグラフィックデザイナーです。
ありがたいことに、希望していた業界に入ることができました。
普通科高校の理系卒、化学系の大学と大学院を出て、メーカーの技術者という理系一色の経歴から、デザイナーへの大転職です。
転職ではありません! 大転職です!
最近流行っている(?)「未経験からデザイナーに!」というやつですね。(別に流行りに乗っかって転職したわけではないんですが……)
せっかくなので、業界・職種ともに未経験からデザイナーになるMiyagawaの経験談をアレコレ書かせていただきます。
すでにnoteにはこの手の記事がありふれていますが、様式美と思ってください。
転職活動を始めるまでの経緯と内定までの道のりについては、こちらの記事に書いています。
今回は、未経験で転職活動をする上で、どんな戦略を考えて挑んだのかについて。
転職活動で避けては通れないものとして、自己PRと志望動機があります。
避けられないということは、それだけ重要ということなので、この2つを中心に戦略を考えました。
この記事は志望動機編です。
自己PR編はこちら
本気でデザイナーになりますか?
転職活動における志望動機とは、その企業に定着し長く働くことをアピールするものだそうです(転職情報の受け売り)。
これなら業界と職種が未経験でも問題なさそう! と思うのですが、そう甘くはないです。
なぜデザイナーになるのか?
この質問に対する確固たる答えを用意する必要があります。
つまり個別の企業に定着するかどうか以前に、デザイナーとして続けられそうかが厳しく問われるということです。
これは新卒の就活ときに学んだことです。
当時は「サークル活動で続けているデザインを続けたい」などと答えていました。
今になって振り返るとひどい答えですね……
仕事として選ぶ理由になっていないですし、プロになる自覚が欠けているとか言われそうです……
新卒でデザイナーになれなかった理由がこの返答に詰まっているのかもしれません。
当時は、デザイナーを目指す理由が気になることは分かるものの、そこまで大事な質問だと思っていなかったんですね。
就活活動全般において、企業に対する志望動機を答えたときの、よくある返しの質問として
それって弊社じゃなくてもいいですよね?
というものがあります。
これが未経験でデザイナーを目指す場合は、
デザインがしたいのはなぜですか?
デザイナーになってなにがしたいですか?
それってデザイナーじゃなくても現職でもできますよね?
のように変形して質問されるようです。
流行に流されていませんか?
加えて、最近はデザイナーを目指す人が増えている傾向があります。
デザイナーになって自由な働き方を!
スキルを身に着けて副業で稼ごう!
みたいな謳い文句を見かけますね。
そのため、
流行りに乗っかった一時の気の迷いでデザイナーを目指していないか?
デザイナーとして本気か?
といったことも厳しく問われる気がします。
間口が広がったことはありがたいですが、本気の人間まで軽薄な目で見られるのはありがたくないですね……
志望動機、全部出す
以上のことから、現職を辞めてまでデザイナーになる、説得力のある理由を用意できるかどうかが必要だと考えました。
「デザイナーになりたい!」を通り越して、「デザイナーにならなければ!」くらいに必然性のある理由を答えられればベストでしょう。
この考えのもと自己分析をして、デザイナーを目指す理由をリストアップしていきます。
①新卒のときの本来の志望に立ち返って志望している
2回目のチャレンジということで、どうしても諦められないという本気度は伝わるでしょう。
流行に流されてデザイナーを目指しているとは思われないはずです。
しかし、なぜそこまでデザイナーになることに本気なのかまでは説明できていません。
最終面接ではそこを突っ込まれるでしょう。
なので、さらに理由を考えていきます。
②新卒の就活のリベンジをせずにはいられない
正直、新卒の負け戦のまま終われないという気持ちはありますね。
矜持とか意地と言っても良いかもしれません。
①の本気度の説明にはなるでしょうが、入社した時点で目的が果たされてしまうのが惜しいです。
企業としては、「リベンジを達成したことで気分が晴れて、入社早々に退職するのでは?」と疑ってしまうでしょう。
この理由は胸の中に収めておくことにします。
③デザインの技術を磨きたい
同人制作や独学でデザインの技術向上を目指してはいますが、半導体開発の仕事をしながらなので、成長は遅くなります。
もっとデザインのために時間を割けば、今よりメキメキ成長するはずです。
半導体開発をどうしてもやりたいという強い気持ちがない以上、デザインの仕事をするのが効率的です。
しかし企業からすれば、「デザインの学校に通えばいいのでは?」と返したくなるでしょう。
ぐうの音も出ないですね……
現実的には、生計を立てつつデザインの技術を磨くには、デザインの仕事をすることになりますが、企業は慈善事業組織ではないので、そんなことに付き合ってはくれません。
④アニメなどのキャラコンテンツに報いたい
オタクになって10年以上。
相応の愛着や思い入れがありますし、数多くの作品に楽しませてもらったり、夢中にさせてもらったり、救ってもらったりしてきました。
価値を享受する側だけではなく、供給する側としても関わりたいという気持ちがあり、これまでの大学サークルや同人での活動で確かめてきています。
業界を志望する理由にはなりますが、デザイナーという職種を志望する理由にはならないです。
デザイナーを志望する理由をブラッシュアップして組み合わせれば、十分な志望理由にはなるでしょう。
⑤デザイナーとしてどこまで通用するのか確かめたい
自分の能力の証明欲求とでも言うべきでしょうか。
ようやく志っぽいものが出てきましたが、企業側が共感してくれるとは言い難いです。
「勝手にすれば?」と言われそうです。
⑥理系にはデザインの適性があることの証明としたい
デザインって先天的なセンスによるものと思われがちで、Miyagawa自身もデザインをやる前はそう思っていました。
しかし実際にデザインをやってみると、論理的に考えて情報を整理して組み立てていく作業で、理系の素質が活きる分野ではないかと思っているんですよね。
理系で大学院まで出てメーカーで技術者をしていた人間が、デザイナーとして活躍すれば、理系にデザイナーとしての適性があることが示せるのではないかと思います。
なんにせよ、こちらの理由も⑤の証明欲求に近いので、企業側が共感してくれるとは言い難いです。
⑦人生のストーリーとして面白い
理系一色の経歴から、デザイナーに華麗なる転身を遂げ、大活躍。
そうなればサクセスストーリーとしては素晴らしいですね。
活躍できずデザイナーとして鳴かず飛ばずになるなら、それはそれで、身の丈に合わない目標を追いかけた末に、人生が狂ってしまったオタクの笑い話として面白いです。
飲み会で披露するテッパンエピソードとして死ぬまで擦り続けるでしょう。
外向きの志望動機を用意する
以上、7つ挙げましたが、どれもこれも自分のエゴや欲求が丸出しだったり、企業としてはメリットがなかったりします。
これはマズいですね。
全部、「自分が自分が」になってしまっています。
面接で話すべきは、自分以外にとって嬉しいような、外向きの理由が必要であると考えて、次のような理由を出してきました。
キャラクターコンテンツ、エンタメコンテンツを通して、誰かが楽しみな予定、待ち遠しくなるような予定を作る。
そして価値を提供できている実感を得る。
この理由にしたのには、これまでの制作での経験が関わってきます。
制作して発表することを始めたのは高校から。
画像編集や動画編集を始め、ネット上に投稿したり、文化祭でのクラス発表の動画制作に関わったりしていました。
大学では、学園祭でのトークショーの企画やデザイン、コミケに向けた冊子の制作をしていました。
振り返ってみると、文化祭や学園祭の準備中や前日の感覚がすごく好きなんですよね。
何かが完成に向かっていって、これから楽しくなることが確約されつつ、でもどうなるかは当日まで分からないワクワク感、ドキドキ感。
修学旅行の前日に気持ちが高ぶって寝られないのと通じるものがあります。
これは消費する立場でも同じで、アニメや声優さんのライブやイベントによく行くのですが、ライブのその時も楽しいけど、ライブ前が楽しい。
一週間前くらいから当日まで、じわじわと上がっていく期待感。
もしかしたらライブが告知されたときが、一番テンション上がってるかもしれません。
物事それ自体よりも、期待感を持てる物事がこの先に控えていること。
それによって得られる感覚が、個人的に大事なんだと思うんですよね。
だからこそ、高校と大学でしてきたことの延長で、今も制作が続いているんだと思います。
少し別の話ですが、新卒の就活が上手くいかずに絶望の淵にいたとき、そこからなんとか気を持ち直せたのも、ライブやラジオの公開録音という予定が控えていたからだと思っています。
即売会にも出ている理由も同じですね。
どんな人が来てくださるのか、何人来てくださるのか、どんな反応が返ってくるのか。
即売会が近づいてくると、期待に胸を膨らませています。
毎回準備でバタバタしてますが、それも含めての楽しみですね。
来てくださる方々も同じように期待感を高めて、足を運んでくださるのかなと想像しています。
そして実際に誰かが来てくださり、反応をいただけると、想像が確信に変わって、報われた気持ちになるものです。
こういった制作に対する思いがあって、その取り組み方のひとつとしてデザインをやっているし、もっと深くやりたいと思っているわけです。
とまあ、これだけ自分の実体験に基づく、外向きの志望理由が用意できれば十分でしょう。
「それは確かに、半導体デバイスの開発をやめてデザイナーになろうと思うよなぁ〜」と頷いてもらえれば大成功です。
まとめ
以上が、未経験からデザイナーになったMiyagawaの、志望動機戦略です。
新卒の就活のときとは比べものにならないくらい本気で求職活動をして分かったのは、志望動機はすごく主観的なものだということです。
自己PRは、能力がいかに発揮されるかという客観的なものなので、周りの人に「自分のことどう思いますか?」と取材すれば見えてきます。
それに対して、志望動機は自分の中からしか出てこないので、内省と表現するほうがいいのかもしれません。
これくらいの見識が、新卒の就活のときに備わっていれば良かったんですけどね……(遠い目)
最後になりましたが、ここに書いたのは、Miyagawa自身がとった転職戦略、考え、経験談です。
応用はできますが、万能の方法ではないですし、転職における汎用的な一般解でもないことはご理解ください。
このnoteが、これから未経験でデザイナーを目指す人にとって、役に立つ記事、勇気づけられる記事になれば幸いです。
Miyagawaの転職について気になったら、こちらの記事もどうぞ!
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?