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15歳の私は生クリームの無いバースデーケーキが許せなかった。

私達は常に「イメージ」に基づいて生きてる。

春は桜で夏は海、秋は紅葉に冬は雪。

運動会は組み体操で、夏祭りはんー、浴衣?

「イメージ」は経験値や想像力がたくましいぼど、より豊かで幅広いものを描くことができると思っている。

ならばバースデーケーキと聞いてあなたが思い浮かべるものはどんなものだろう。

ショートケーキ?

チョコレートケーキ?

モンブラン?

チーズケーキ?

フルーツタルトだったりアイスケーキの可能性も否めない。

このように、自分の考えるイメージは1番に思い浮かぶにせよ、その他の可能性というものも自然と湧き出るものである。

しかし、

笑ってしまうような話だが、15歳の私は生クリームが塗られたバースデーケーキが全てだと思ってた。


え?なんで突然バースデーケーキの話なのか?

4月は私のお誕生月だ、か、ら♡(知るか)


毎年4月と共にに思い出す私の黒歴史、だがこの経験はその後の人生観を変えた素晴らしい日となったのだ。


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バンッ


「バースデーケーキはショートケーキ一択!!!!異論は認めん!!!!」


テーブルを叩きながら浅く薄っぺらい持論を展開する中学生の私は自分を北極星とでも思ってるヤバい奴だった。

『自分の考えていることがこの世の全て!!!!!』

…ヒドイ(笑)今この文を打ちながらでも愚かさに震えが止まらない。



お父さんと私の誕生日がニアピンのため体のことを考えてバースデーケーキを食べるのは2人で1回。2回でなく1回。誕生人は2人なのにケーキは1つ。



おかしくない!!?!?!?(おかしくない)



いや、今なら連日でケーキを食べることは体に負荷がかるし健康的でないのはわかるのだが、なんせ北極星だから理解ができなかった。(御愁傷さま…)

ただでさえ解せん決定事項から話が進むバースデーケーキを巡る家族会議。私は絶ッッッッッッッッ対に自分の好きな物を食べたい。

いつもなら揉めることなく決まるはずなのに、今年に限ってなぜか上手くはいかなかった。


(これは個人的な見解だがきっと反抗期の私を見てこのまま野放しにするのは良くないと思ったのだろう笑)

グンと意思の籠もった声でお父さんが言った。



「今年はバームクーヘンだ。バースデーケーキはバームクーヘン。」


………。

は?????



思いがけない名詞の出現に、鳩が豆鉄砲を食らったような表情でお父さんを見つめた。

理解するのに軽く40秒はかかったが、もくもくとバームクーヘンの「イメージ」が浮かぶ。

そこ生クリームもいちごもない。

ましてや年の数だけ刺し火を灯すロウソクが刺さってる姿を想像するには所々モザイク処理がないと難しい!!!!!!


結果、私の頭で導き出された答えはノー。

それはバースデーケーキではない。

「ないないないないないないないないバームクーヘンだけはありえn…………あれ?」

頭で処理が終わる頃には、話し合いの席にはもう誰もいなかった。


ムッッッッスーーーーーーーーー。

あからさまに口をとがらせながら座る私をみて怒りを通り越して両親はあきれ顔、だった様な気がする。(機嫌が悪かったからあまり覚えていない)

「ほらほら、美味いもんだぞ。バームクーヘン好きだろ?」

「生クリームないじゃん」

「そんな怒るな、話し合いせずに買ってきたのは悪かったがずっと前から予約してたんだよ。これ買うの大変なんだぞ?」

「ローソク立てられないじゃん、吹き消したかった。」

「そんなのあとでヤマザキのイチゴスペシャルにさして楽しめば良いだろう。先に言っとくがこれはお父さんの大好物だ。」

「はぁ!?意味わかんない!?そうゆう問題じゃ・・・・!!!!」

すいすいと人数分に切り分けるお父さんをジトー――――――と卑屈な目を向け

なんだお父さんが好きなものってだけじゃん!!!!!!!!!

と心の中で呟いた。

コトッ…

「ほら、食え。見た目は華やかさに劣るが、味は一流だ。」

目の前に置かれたお皿には、私がお誕生日だからか、周りに比べて少し分厚くカットされたバームクーヘンがよそられている。

某バームクーヘン屋のように、側面にシャリシャリしたお砂糖がかけられている訳でもなくいたってシンプル。色も鮮やかというよりは自然カラー、くすんだ黄色といった所だ。

半信半疑でバームクーヘンにフォークを入れ、口に入れる瞬間まで私は「生クリームでデコレーションされたケーキが食べたかったー」と思い嘆いていたことを覚えている。

しかし、口に入れてからは雷のような衝撃が私を襲った。

「なッッッッッッッッッッッッ……なっ、なん、なんだこれ…!!!!」

想像を10倍、いや1000倍は超えてきた。

家族ぐるみでバームクーヘンが好きだったこともあって、これまで様々なメーカーのバームクーヘンを食べてきたが類をみない美味しさにあっ、頭が痛い・・・・・!!!

しっとりとした舌触りに甘すぎず心地よい黄金バランス!!!!!フォークを入れた瞬間は少し堅さを感じたがそれがまたドイツ菓子であることを美味く表現しているっっっ…!!!!!!!!!!!!

ん!!!!!!?????

最後に鼻に香るのは洋酒・・・?これはラムだ!!!!!シンプルだけど街の洋菓子店でくくるにはあまりにも勿体ない!!!!!

「お、おおお、お父さん!!!!!これ、これ凄いよ!!!!!!めちゃくちゃ美味しい!!!!!!びっくりした…!!」

そうゆうと思ってた笑と言わんばかりの笑みを浮かべ「だろ?!」と言ってきた。

確かに生クリームも無ければイチゴもなく、バームクーヘンにはあっと驚くようなビジュアルはしていないが、味わいのインパクトは勝りに勝っていた。

この時

「感動を与えるバースデーケーキの幅は、生菓子に限られたものじゃないのかもしれない…」

という考えがスゥ…と浮かんできた。

フェークを持ちながら考え込む私をみて、お父さんは「ちょっと聞いてくれないか、大切な話がある」と前置きしてから、ゆっくりと話し始めた。

「ひかり、今お前が感じてているであろう思いはとてもいい発見だ。今まで自分のなかで「ありえない」とおもっていた壁を破ったわけだからな。

食べてみてわかったようにバースデーケーキに定義なんてものは無い。ましてやお誕生日はケーキを食べる日でもなければプレゼントを貰う日ではないということをひかりはまだわかってない様にお父さんはかんじた。

周りからは生まれたことを祝福され、お前はたくさんの人の支えによって今年も誕生日を迎えることができた幸せに感謝する日だ。

「感謝をしなければならない」といった決まり事だと言いたい訳では無い。ただ、「人の支え合ってこそ生きることができている」ということは、色眼鏡でみたわけでも、自分を卑下した考えことでもなく「事実」だ。そうだろ?その事実に感謝することは決まりではなく自然な事だ。

話がずれたが、そこにケーキがある、プレゼントがあるのはお前が恵まれた環境にいるというプラスアルファにすぎない。ましてやショートケーキでなければならないといった考えは少々差別的だ。そこに幸せはうまれるのだろうか?

なんにせよ、本質的な真意を忘れることは非常にナンセンスだ。固定観念というものは時には自分の首を閉める時もある。むしろマイナスに働くことの方が多いとお父さんは思う。

ひかり、お前は今日で15になる。もっと多角的に物事を見れる柔軟な子になってくれ。食事を通してこんなにも心を動かすことが出来るなら、「美味しい」だけで終わらせるな。もっと、もっと深く感情を掘り下げろ。それができるのがきっとお前の強みだ。まぁ、今の状況をみる限り覚醒はしていないみたいだが(笑)くすぶってないでいい加減気づくんだ!多様性をもち、芯のある、優しい子となってくれ。その先にはもっと楽しい世界が待っているからな。」

そう言って、

お父さんは再びフォークを持ち直し「それにしても久しぶり食べたがやっぱり美味いな…」としみじみ呟いていた。

なぜだろう。

今まで思っていたことを私に伝えることができたからなのか、お父さんの顔がすこし微笑んで見えた。




15の夜の誕生日。

盗んだバイクで走り出すことは無かったが、
私はこの思いがけない美味しいバームクーヘン出との会いによって、長い反抗期に終止符を打った。



しかし「イメージ」とは不思議な物で、期待にだったり偏見にだったり、いろんな感情に化けてしまう時がある。

○○とはこういう物だ。

断定や決めつけはポジティブに受け取れば、その人の信念やパーソナリティーを象徴するものになるが、人を刺すような鋭い剣にだってなりかねない。

身近なことで例えるならば、外に出れない人生なんてくそ食らえだーーーーーー!自宅で充実した日々は過ごせなーーーーーーい!

なんて声をこの自粛中にたっっっっっくさん聞いてきたが、これも負の面しか見えていない凝り固まった考え、なのかも?知れない(笑)

またコロナの話になってしまって申し訳無い笑

だって触れずにはいられないほど、世間は目に見えないウイルスによってひっちゃかめっちゃか、大惨事なんだもの。

目の前の問題から目をそらさせて、現実逃避をさせる夢心地なコンテンツもありだが、私はタイムリーに読者の価値観に刺激を与えるような記事を書いていきたい。

私は今まで幾度となく食べ物によってたくさんの幸せや発見、思考の成長をサポートされてきた。

この苦しい困難を乗り越えるためには、私達の価値観改革が求められているのかもしれない。名店あれだったり老舗のそれに関わらず、コンビニのスイーツ、家族の手料理だってきっかけをもとらす光は潜んでいるものだ。

ここだけの話、今回登場したバームクーヘンも前回紹介した「みんみんの餃子」同様、通販対応している商品だ。

そう、自粛しながら食べれるよ♡

もしかしたら読者にとっても光になるかもしれない。そんな願いを込めて今回の記事を書いてみた。

来週も記事出すからさ、どうか健康でいてね。

今日行ったお店は「マッターホーン」でした!

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