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AIC生ブログ|農業に必要なマーケティングは何か考えてみた

マイファームは、「アグリイノベーション大学校(AIC)」という社会人向けの農業スクールを運営しています。
仕事を続けながら週末に農業を学びたい方へ向けて、農業の技術や経営に関しての知識・理解を深める、学びのプログラムを提供している学校です。

今回は、現役でそのAICに通っている、Tさんから寄稿いただいた記事をご紹介させていただきます。

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▼前回のブログはこちら▼

このブログでは農業でのマーケティングというものを考えてみたいと思います。私は普段BtoC商品のマーケティングを生業としていて、農業で起業する過程などを書いていければと思ったのですが、こういった観点から考えることが何か繋がる気がするので、まずは身近なところから考えていきたいと思います。

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(全く関係ないですが、写真は筆者のマイファーム農園で取れた野菜たちです)

そもそもマーケティングって何なのか?

色々な定義があると思うので、これ自体非常に難しい問いなのですが、私自身は「価値があるモノを、正しく、分かりやすく伝えて、消費者に価値提供を行う」ことだと思っています。
その中でも「価値があるモノ」「消費者に価値提供を行う」ということが重要なポイントだと思っています。価値がないモノを価値があるように見せかけるのはマーケティングではないです(往々にしてそのように見られがちなのですが)し、時々マーケティングコストはそれ自体が商品価値を上げるものではないにも関わらず消費者が最終的に負担しているから消費者にとっては意味がないという声もあるのですが、消費者がまだ知らないけれど、商品価値があるものを正しく伝えることで、消費者に価値提供を行えると考えています。

農業でのマーケティングに必要なこととは何か?

慣行農業の場合もマーケティングの考え方は大切だと思いますが、今回は有機農業に絞って考えた場合、端的に言うと、

1) 農家の方が消費者にとって「価値があるモノ」というのを十分に理解して、それに応じた作物を作ること
2) そしてその「価値があるモノ」を「分かりやすく、理解してもらえるように」伝える

ということが非常に大切になってくると思っています。

なぜ消費者は、有機野菜を買うのでしょうか?更に考えると有機野菜を買うことによって何を得ているのでしょうか?その問いに答えることができれば、自然と「価値のあるモノ」を作ることができますし、何を捨てて、何を重視しなければいけないかが分かることになります。

人によっては、農薬を使っていなそうで、安心・安全というのを理由に買っているのかもしれません。もしくは有機野菜を買っているのはちょっとクールな感じだから買っている人もいるでしょう。安心・安全によって、健康でいたいという欲求を満たしていることになりますし、有機野菜を買うのはクールだと思う人は自分の承認欲求を満たしていることになるのだと思います。これらはあくまでも仮説なので、こういった自分なりの仮説を持ちながら、消費者と直に触れて意見を聞いてみる、フィードバックを貰うというのがまず必要になってくるのではないかと思っています。

では消費者にとって「価値があるモノ」を作れたとして、その価値を「分かりやすく、理解してもらえるように」伝えるにはどうしたら良いのでしょうか?

まず農家視点で考えると、価値を分かりやすく伝えられる場で売らなければいけません。有機農家が一般的なスーパーで売っても、価値をうまく伝えられないでしょうし、売り先を選ぶ必要があります。自分たちで作ってしまうのも一つでしょう。

仮に自分の野菜の価値を正しく伝えられる売り先が見つかったとして、次に必要になってくるのが、何よりもまず消費者に立ち止まってもらうことです。立ち止まってもらえなければ検討もしてもらえないのです。

先日、授業の一環で直売所での出荷を見たのですが、野菜がバーっと並んでいて、なかなか区別もつかない状況でした。そういう中でこれだと思ってもらえる仕掛けが必要です。商品のパッケージの工夫、野菜自体に「おっ」と思ってもらえる何かが必要だと思います。例えばマイファームで取れた野菜は、パッケージにシールを貼っているのですが、他の業界での例を見ているとこういう一工夫が意外と大切だったりします。

更に立ち止まってもらった後に重要になってくるのが検討してもらうことなのですが、そのためには消費者が欲しいものをシンプルに表現する、それが大切になってくると思います。

消費者が店頭で立ち止まってから購入を決めるまでは最初の5秒くらいが勝負と言われていて、その5秒で伝わるものなので、シンプルであるべきで、そのメッセージは自分がターゲットにしたい消費者に沿ったものでなくてはいけません(例えば、健康的なものを食べたいと思っている人に対して、有機野菜を買うのはクールだと伝えてもあまり刺さらない)

最後に

ここまで書いて思うのは、これらを一軒、一軒の農家の方が実行するのはとても難しいのではないかなと思ってきています。やはり大前提に、ちゃんと良いものを作れるというのがありますし、そこに力を注いで、販路を開拓し、そこから更にマーケティングとなると途方もない労力が掛かりそうです。逆に言うと、こういうところにビジネスチャンスがないかなとも思いつつ、ここで一旦終了とさせて頂きます。

寄稿者:Tさん

関西圏在住。農業を軸にした新規ビジネス、新規就農を考えています。
山登りが趣味です。

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