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AIC生ブログ|無農薬栽培の工夫 ~太陽熱処理について~(by山本)

マイファームが運営する社会人向け週末農業学校「アグリイノベーション大学校(AIC)」の現役受講生が綴るブログシリーズ、今回は山本さんの第3回目をお届けします。

▼前回までの記事はこちら▼

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皆さんこんにちは。アグリイノベーション大学校12期生山本創士です。

第2回目のブログを読んでいただいている方は、土壌やそこに生える植物について興味・関心が湧かれたと思います。普段気にしていない景色でも、じっくり観察すれば新しい発見があり面白いですよね。

私は今まで以上に農業に対して興味・関心を持ち、将来的には農家を目指しています。その目標の為に、今私ができる事を伝えていければと思います。勉強していく中で、無農薬栽培をする際に必要となってくる技術で私が特に面白い!と思ったことをお伝えしたいと思います。

それがタイトルにもある太陽光による熱処理になります。

次の画像は、私の家の畑で太陽光による熱処理を施し、約一か月が経過したものになります。

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畝間には草が生えていますが、透明マルチを張った畝には草が生えていないことが分かります。
太陽熱処理には複数の効果がありますが、これは一番目に見える効果になります。太陽光の熱によって、草の種子が熱処理され生えてきません。

太陽熱処理は作付前に温室を密閉したり、露地をマルチで覆って気温や地温を上昇させることで、栽培する植物の土壌の物理性・生物性を改善するための技術になります。

私は以下の手順で太陽光熱処理をしました。

①畝を立てる。
②有機資材を投入する。(牛糞、鶏糞、米ぬか、籾殻など)
③土壌pH調整資材を投入する。(牡蠣殻石灰など)
④耕うんする。深さ20cm位までしっかりと混ぜる。
⑤畝の形を整える。
⑥水分量60%(土を握ると固まり、軽く押すと崩れるくらい)になるまで畝全体を潅水する。
⑦透明マルチで畝を覆う。この時余分な隙間ができないように、気を付けながらマルチ周囲を土でしっかりと抑える。

この状態で一般的に畝上から30cm深の温度(40℃が望ましい)×日数で積算温度を算出し、これが800℃以上になれば熱処理終了とされています。余裕があれば900℃から1000℃までしっかりと処理をした方がいいです。
真夏で最低でも3週間、通常で1か月は熱処理に必要な期間になってきます。このようにしていくことで表層から20cmくらいまで、熱処理の効果を得られます。

熱処理が終われば、透明マルチをはがし、土を再び混ぜ込むなど作業は一切しないで野菜の定植または播種作業に移っていきます。
熱処理後に土を混ぜ込んでしまうと、熱処理によって整った環境が崩れてしまうためです。

特に以下に挙げている効果に関係してきます。

山本さんの表

土壌害虫や病原菌は土があるところにはほとんど生息しているので、熱処理によって土壌中の虫や菌を100%死滅させることはできません。透明マルチで覆うことで野菜が育つ土壌環境を部分的かつ一時的に整えるといったイメージを持っていただければと思います。
熱処理後に整えた環境を再び耕うんするなどして混ぜてしまえば、これらの虫や菌が繁殖してしまうので注意して下さい。

簡単に太陽光熱処理についてお伝えしました。
実際に実践しようとすると、太陽光熱処理はいつの時期にするのがいいの?年に何回するの?など疑問がでてくると思います。興味がある方は、実際に調べてみてください。いろいろ情報があるので新しい発見があると思います。

私は今回初めて太陽光熱処理をしました。
経過を見るたびに、土の中ではどんな反応が起こっているんだろう。微生物量は変化しているんだろうなどとつい考えてしまいます。実践したことに対してとても気になってくるんですね。

でも一番気になるのは野菜が上手く育ってくれるかですね。このように考えながら栽培してくことが重要ですし、何より楽しいことでもあります。特に太陽光熱処理は特に生物性、物理性の面で土壌環境を整える素晴らしい技術なので皆さんもぜひ活用してくださいね。

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書いた人:山本創士さん(アグリイノベーション大学校12期生)
中学卒業後、農芸高校へ進学。大学では洞窟性コウモリの生態についての調査研究を通して、人と自然との関わりについて学ぶ。現在、大学校にて新規就農を目指し勉強中。

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