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AIC生ブログ│土と草 ~土壌の状態を 草で知る~

マイファームは、「アグリイノベーション大学校(AIC)」という社会人向けの農業スクールを運営しています。
仕事を続けながら週末で農業を学びたい方へ向けて、農業の技術や経営に関しての知識・理解を深める、学びのプログラムを提供している学校です。

今回は、現役でそのAICに通っている、山本創士さんから寄稿いただいた記事をご紹介させていただきます。

▼第1回目ブログはこちら▼

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土と草 ~土壌の状態を 草で知る~ 

皆さんこんにちは。
アグリイノベーション大学校12期生山本創士です。

第一回目となるブログでは、私が農業の道へ進む「きっかけ」について書いてみました。自然豊かな環境の中で生き物に触れること、そのような体験をして、なによりも楽しかったことが農に触れる機会を与えてくれたのだと感じています。

私は、このブログを読んでくれている皆さんにも少しでも自然環境、農業に興味を持って頂きたいと考えながら記事を作成しています。
このブログが皆さんの農を感じる「きっかけ」づくりになればと思います。

そこで今回は、農業を取り巻く自然環境について考えていきます。具体的には、農地での栽培土壌がどれほど野菜栽培に適しているかをその土地に生えている草から調べる方法を書いていきます。
土壌の状態を知ることは、特に露地栽培をする場合において、野菜栽培が可能か、どういった野菜が適しているか等の判断基準になります。自然に生えている植物を観察しながら一緒に考えていきましょう。

植物の特徴

いきなり質問ですが、皆さんは地球で最初に陸上に進出した生き物を知っているでしょうか。

それは植物です。

陸生植物は約3億年前に出現し,体をしっかり支えるために根や茎、葉が発達し爆発的に増加したと考えられています。それから長い年月の中であらゆる環境に適応し、現在に至っています。環境に適応することは、「植物が生育するために適切な場所で発芽・成長している」とも捉えることができます。

多くの植物の種は自身が得意とする環境になるまで、種の状態で土壌の中で休眠しながら待つという特徴を持っています。
つまり、植物にも土壌の状態によって生長ができる土壌、できない土壌があることが分かります。植物の生命力は非常に強いですが、どこにでも芽を出せるわけではないんですね。
これらの植物の持つ特徴から、草の種類や生え方で、そこがどのような土壌(酸性度・肥沃度)なのか、どのような野菜の栽培に適しているのか、そこでどのような農業が行われているのか等、わかると言われています。

植物から「土壌中の酸性度」を知る

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実際に私の畑で生えていた6種類の植物を取り上げてみたいと思います。
順に1スギナ、2ギシギシ、3ドクダミソウ、4カラスノエンドウ、5ハコベ、6ホトケノザです。
写真の番号順は、生えている植物から野菜の育ちやすさを診断する上で、2つのポイントを踏まえ、この順番にしてあります。どんなポイントで並んでいるかお分かりでしょうか。

一つ目のポイントは「土壌中の酸性度」です。
土壌の酸性度について説明します。日本の土壌は、一部の地域を除いて酸性寄りで通常の状態でも徐々に酸性に傾く経過にあります。
その要因として、
1.一般的に雨水には、空気中の二酸化炭素が溶け込んでいて、弱酸性になっている
2. 日本は降雨量が多いため土中のアルカリ分(石灰分)が流される
などが挙げられます。

酸性寄りではありますが土壌中の酸性度は土壌によって異なります。
下記に記してある表は、おおよその土壌酸度とその条件下で生育する植物の一例です。

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強酸性土壌を好む植物から土壌酸度を選ばず生育する植物まで様々ありますね。取り上げた6種類の植物でいえば1スギナ、2ギシギシ,3ドクダミソウは酸性に傾いている土壌を好み、4カラスノエンドウ、5ハコベ、6ホトケノザは微酸性から中性土壌を好むことが分かります。

植物から「土壌の地力レベル」を知る

二つ目のポイントは「土壌の地力レベル」です。
地力レベルは、その土地が野菜を育む力をどの程度持っているのかを4段階のレベルに分けて考えます。

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この表から、先ほど酸性土壌を好むスギナ、ギシギシ、ドクダミソウは地力レベルが低く、微酸性から中性土壌を好むカラスノエンドウ、ハコベ、ホトケノザは地力レベルが高いことが分かります。

多くの野菜は弱酸性から中性土壌を好み良く生長するので、これら2つのポイント(酸性度・地力レべル)を踏まえれば植物を見るだけである程度は土壌の状態を推測することができるんですね。

ここまでで、やんわりと植物が「土壌のバロメーター」の役割も担っていることはお分かりいただけたでしょうか。
私はあえてスギナやドクダミソウが密集して生えていた土壌で大根を育てたことがありますが、見事にニンジンサイズで成長が終わり収穫できませんでした。

ここまで読んでみてどうでしょうか?

植物が場所を選んで生育していること、土壌にも特徴(酸性度など)があることを知っていただけたと思います。
少しでも植物をもっと観察してみたい!土に触れてみたい!と思っていただけたなら、自然環境や農業に対して興味が湧いたことになりますよね。
この興味こそが、もっと農業を知りたい!といった気持ちに繋がればと思います。

次回のブログでは私が実際に「農」を通してやってきたい事を「農のチャレンジ」として書いていくので、楽しみにしてくださいね。

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寄稿者:山本創士さん(アグリイノベーション大学校12期生)
中学卒業後、農芸高校へ進学。大学では洞窟性コウモリの生態についての調査研究を通して、人と自然との関わりについて学ぶ。現在、大学校にて新規就農を目指し勉強中。

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