AIC生ブログ│農業は儲からない?をITエンジニアが考える(byのな)
マイファームが運営する社会人向け週末農業学校「アグリイノベーション大学校(AIC)」の現役受講生が綴るブログシリーズ、今回はのなさんの第4回目です!
▼前回までの記事はこちら▼
農業を仕事にすると考えたとき、きっと誰もが考えること。
−農業は稼げないのではないか?食べていけるのだろうか?
最近よく耳にする言葉
―農家の収入が不当に低い。農業はもっと評価されるべきだ。
これについて最近なんとなく、自分なりの答えが見えてきました。
それは、「農家は、価値の作り方、見せ方によっては稼げる。それはプログラマと同じだ」
プログラマは儲かるのか
私が新卒でIT業界入った15年前、プログラマは新3Kと呼ばれていました。
K:帰れない
K:給料安い
K:結婚できない
電車男というドラマで描かれたように、むさ苦しくてコミュ障で臭くてオタクで…というイメージが主流でした。
ですが今、プログラマは職業の人気ランキング1位になり、ドラマでは向井理や吉沢亮が演じたりします。
では実際、プログラマは儲かる職業なのか?
そしてあんなキラキライケメンがやっているのか?
というと、相変わらず3Kに喘いでいる電車男もいるけれど、儲けているキラキラな人、特に若くして稼いでいる人の割合は明らかに増えたなと感じています。
業界全体に対する評価が上がったことで、従事者が仕事に誇りを持てるようになったという面もあります。
15年前当時のプログラマの位置付けは、その上位職種とされるシステムエンジニア、ITコンサルタントと呼ばれる人たちが設計した通りに、ただ手を動かしてプログラムを書く、製造ラインの作業者としての扱いというのが概ねでした。
いくら美しい画期的なコードを書いても、その価値は上位者や購入者には理解されず、プログラマ=下位作業者=安価、というイメージでした。
それが変わったのはなぜか?
それは、I T産業に関わってきた私たちエンジニアや営業の一人一人不断の努力によるものだと私は考えています。価値を自分たち自身が理解し、それを作り、価値を表現し、理解して貰うことを繰り返すことで築いてきた地位です。
業界の常識を自分たちの手で変えてきたのです。
さらに、1人だけ、1社だけでは完結しないという前提のもとで、情報をオープンにし、立場や地域を超えて繋がり、みなで連携しながら業界全体で底上げしてきた結果が今なのです。
農業は儲かるのか
A I Cで勉強する中で、農業界で今よく言われる「儲からない」「もっと評価されるべきだ」は、15年前のプログラマの主張とよく似ていると感じるようになりました。
本人たちはその仕事の苦労も、その仕事によって助かっている人のことも知っているから、価値に見合った評価がされていないと思っている。
でもどこかで、仕方ないと諦めてしまっているのではないか。
そして言われ続けている3K
K:キツイ
K:汚い
K:危険
AIC入学前の私は、農業はただ決まったことを決まった通りに単純作業を繰り返す、体力的にはしんどいけれど逆にそれさえあれば誰がやっても同じ結果を出せる労働集約的な仕事なのだとイメージしていました。
でも実際は栽培、販売、経営などのありとあらゆる場面で、勉強して考えて実践して修正して、しかも人の力ではどうにもならない自然とも向き合って…という世界です。
これはもう付加価値を付ける余地だらけの超知的産業なのだということが、授業を通して分かってきました。
I T業界で、プログラマの仕事への評価が変わっていった過程を経験している私には、農業が大きな括りでまとめて「儲からない」とされてしまうものである訳がない、やり方によってはキラキラな職業にできるはず!と感じます。
条件によってこれほど収量や味や栄養価に違いが出て、人に「おいしい」「元気が出る」という直感的かつ直接的な喜びをもたらせるものなら、価値評価が伴うはずです。
私の進路選択
実際に就農している訳ではなく、たった数ヶ月学んだだけで導いた仮説なので、これはあくまで理論上可能であるというだけの机上の空論です。
ただその空論が浮かんだことによって、農業は稼げないのでは?と無闇に不安になることはなくなり、戦略的に向き合って道を拓こうと考えられるようになりました。
また、あえて就農ではない方法で農業に関わり、従事者の方の役に立つ仕事をするという生き方もあるのかもしれないと考えるようにもなりました。
この分野に対して確信を持って明るい希望を見出せるのは、異業種に従事しながら偶然に農業に興味を持つことになったから私だからこそかもしれません。
価値が適切に評価される仕組みを作ることが農家さんのやりがいに繋がり、それが私たち消費者においしい野菜が届くことに繋がるなら、それはとても有意義な仕事だと思うのです。
最近は、学んだことに対してこうやって自分なりに考えて見解を持つということを、意識的に行っています。
先行きが見えない時代に、正解のない農業の世界を生きるために自分なりの指針をつくるというのは、卒業までの私の重要なミッションです。
書いた人:のなさん
IT業界一筋15年/でも農業に惹かれてます/1982年兵庫生まれ→韓国→香港→愛知→静岡→東京/調理するより食べるのが好き/引きこもり傾向ありのインドア派
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