ロリィタ短歌まとめ
2022年7月1日〜31日まで、Twitter上で
オトナアリス主宰で川野芽生さんの短歌を毎日一首アップしてゆく、という、#地上のアリス という企画が行われていた。
私はとても嬉しくなって、他のロリータさんの歌も読みたいと、 #ロリィタ短歌 というタグを作って自分も詠むことにした。
勝手に周辺企画として、私も一日一首、あげることにした。
この記事はそれのまとめである。
【7月1日】
Lolitaは鎧だなんて苦しみの言葉を越えてゆけるよぼくら
【7月2日】
この夜を突き抜けるよな赤欲れば纏うエリザベスワンピース
【7月3日】
深淵の深淵持ちつつひたすらに白痴の顔して縦ロール巻く
【7月4日】
うさみみとリボン、スカート、ひるがえし
いま、私は可愛いナイフ
【7月5日】
きちがいのピンクババアになりたくてがむしゃらに生きる天人唐草
※天人唐草は山岸涼子の名作
【7月6日】
線路上 ロッキンホースを履いた脚
だけ落ちてたら綺麗と思った
【7月7日】
空間の歪みに身を置く
人間を脱ぐため纏う布、布、布
【7月8日】
駆けてゆく 明日がなくったっていい
後ろリボンの結び目あざやか
【7月9日】
酔っ払いのおじさん床に転がって
私もボネで見ないふりした
※ボネはボンネットの仏語読み
【7月10日】
フリル すべてを斬りわけて
この世から抜け出すための出埃及記
【7月11日】
この部屋で自分のことだけ嫌いなの
トイレットペーパーもキティちゃんだし
【7月12日】
練炭に火をつけながら ああどうかはわせドールが燃えませんよに
【7月13日】
その星の薔薇を想って空を見る
その子コンビニ帰りの薔薇は
※ 『「星がきれいなのは、見えないけれどどこかに花が1本あるからなんだ……」星の王子さま/サンテグジュペリ/池澤夏樹・新訳』
【7月14日】
気品とは 可愛い意味のないものに最後の千円札出す覚悟
【7月15日】
あまりにも世界が灰色だからして
真ピンク投じる ひらり、鮮烈
【7月16日】
ひび割れたWEDGWOODのティーカップ
永久に流す"ch ch ch ch changes"
※デヴィッド・ボウイ『Changes』の歌詞
【7月17日】
永遠の少女ガラスを抜け出して
伸びゆく黒髪くしけずり 朝
【7月18日】
君の名を100書きあふれる緑色のインキ白色レースも染めて
【7月19日】
雨よけの傘とは思えぬ傘さして
濡れるスカート美しきかな
【7月20日】
「ダージリンのアールグレイ」の悪趣味さ
Lolita in The Ritz Carlton
【7月21日】
朽ちかけた団地飛び出すアリスなり
赤色の靴光らせながら
【7月22日】
ギンガムのワンピースゆらぐ真夏日を
追い越してなお遠く、遠くへ
【7月23日】
編み上げたロッキンホースバレリーナ
何度鳴らせどコツ、と鳴るだけ
【7月24日】
スカートで見えぬ階段駆け降りて
死んでもいいからすましていたい
【7月25日】
そののちもひとりで生きてゆけるから
左手で結ぶ右手のリボン
【7月26日】
ひらひらの洋服しかない八畳で
腐り果てたる孤独死現場
【7月27日】
緑濃しストライプもあれきゃはきゃはと
明るい方へとけてゆきたい
【7月28日】
みんなみんな消えろとパニエ揺らしつつ
まっすぐ前を見据えて歩く
【7月29日】
野良桜 はじめて買ったワンピース
ピンクにかすんでときめいていた
【7月30日】
この時を永遠とするべく回る
プリンセスドロップちりりと鳴って
うさぎ穴 落ちて落ちて落ちたさき
ここに生きてる地上のアリス
ボツ歌
緩慢な自殺をするためたくさんの
兎を飲んで薬と寝てる
着るものに思い悩んでばかりです
神様、わたし、悪い子ですか
はい、はい、そうです見た目通りです
悲しかったらすぐ泣いちゃうの
ナンパに遭わないメイクだね
こちとら生きるか死ぬかなので、上等
ありったけのぬいぐるみと愛する服と
死を待っていた幸せだった
たくさんのリボンがあるなかダイソーで
ビニール紐買う首を吊るため
洋服を買うか死ぬかの選択を
したことがある?話はそれから
あのときに着ていた服は捨てました
服も私も悪くないのに
聖餐としてのパニエ、ドロワーズ
私が私と交わす、契約
お読みくださりありがとうございました。
myau
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