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チャンミ瞑想センター

 ミャンマーではお寺は大きく三種類に分かれている。一つは町や村のあちこちにあってお坊さんたちが居住しているお寺。二つ目は学問寺。これは文字通りお坊さんたちが勉強するためのお寺。そして三つ目が瞑想寺。
 瞑想センター、という名称はお寺なのにセンターとは?と何となく違和感を抱くかもしれないけれど、ミャンマー語では「イェタ」、日本語に訳すると「庵」の意味に近いようだ。ミャンマーには幾つか有名な瞑想センターがあって、ヤンゴンやヤンゴン近郊にあるもの、都市部からはかなり離れた森林にあるものなど、一年中24時間運営されている(地方支部の中にはごくたまに期間限定の瞑想会を開催するところもある)。ひとりの有名なお坊さんを中心的指導者として、在家の方が土地や建物をお布施して作られているものがほとんどだ。大きいところだと指導するお坊さんは複数名いらっしゃるのが普通なのではないかと思う。

 私はマハーシ・サヤドーの直弟子であるチャンミ・サヤドーの瞑想センターに行った。ヤンゴンのチャンミ瞑想センターは交通量の多い大通り沿いにあり、静かな環境とは言えない。すぐ隣は普通の民家があったり、そこの住人が庭で歌っていたり、クリスマスにはパーティーをしていたりして(仏教徒?)日本人が思い浮かべる静寂な環境で瞑想する、というイメージとはほど遠かった。
 ただ、そこでは朝3時半に起きてから21時に就寝するまで、誰ともしゃべらず、食事中もトイレに行くときも、とにかく何をしている時でもすべての動作に気づいて集中を高めていく方法をとっていて、それもそれなりに厳しいという話だったのでそこに行くことに決めた。

 チャンミ瞑想センターは外国人とミャンマー人との、瞑想する場所、居住空間を分けている。外国人用の建物は4階建てで、各階が女性用の部屋、女性用瞑想ホール、男性用瞑想ホール、男性用の部屋と分かれている。暑い国だけれどエアコンはなくて(あっても停電が多いので動いていない)、扇風機を回すしかない。トイレは自分でバケツに水を溜めて流すタイプの「水洗」で、シャワーはお湯などもちろん出なくて、蛇口にホースがついていてそれで身体や髪を洗う。シャワーヘッドもついていたのだけれど、なぜか周囲に水が散乱するだけで自分にはかからない不思議なものだった。
 食堂はミャンマー人も外国人も一緒で、少し離れたところで午前中に二食いただける。

 ミャンマーの瞑想センターに入るには基本外国人は無料なのだが、これをそのまま「無料」だと理解してはいけない。ミャンマーだと外国人は「お客様」なので、薄いマットレスのついたベッドも用意してくれるし、鍵のついた二人部屋も用意してくれる。一方ミャンマー人は床に雑魚寝している。外国人だというのにこんなに優遇されて豪華なお食事まで提供していただけるのは単なる「おもてなし」だけではなく、「外国人はたくさんのお布施をしてくれるから」というのがあると思うので、そこはしっかりお布施をする。
 その頃は今のように円安ではなかったので、何十人かの瞑想者全員の分のお食事をデザート付きでお布施できた。これは日本ではなかなか出来ない楽しみのひとつだった。

 ミャンマーで一日中瞑想してみたいと思うようになった理由はいくつかあったので、次回はそれについてまとめてみたい。


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