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巡礼の年~ミャンマー瞑想記録~

はじめに

 ミャンマーには三度行っている。はじめの二回は瞑想しに、最後は巡礼の旅をしに。
 三度ともいわゆる「民主化」する以前のことだから今となっては昔の話になってしまった。その頃のミャンマーは軍事政権ではあったもののそれなりに安定しており、「瞑想ビザ」なるものが取得できた。今はもうないのかもしれない。ミャンマーのビザ情報はすぐに変化するので今のことはよく知らない。それでも最近までミャンマーで出家していた人を知っている。ただその方ももう亡くなってしまった。

 ミャンマーの瞑想は、日本の座禅とは違う。というよりもそもそもミャンマーの仏教は日本の仏教とは違う。ミャンマーはテラワーダ、上座部仏教と呼ばれる仏教が信仰されており、日本の大乗仏教とは別のものである。
 私は「マハーシ式」と呼ばれる瞑想法を続けてきた。二十世紀に活躍したマハーシ・サヤドー(長老)という比丘(お坊さん)によって指導されてきた瞑想法で、極々簡単に言えば呼吸によるおなかの膨らみと縮みを観察してそこから身受心法、というと専門的になってしまうのだけれど要するにあらゆる事象を観察していくやり方だ。ここではそれくらいの説明にとどめておく。
 知っている人がどれくらいいるのかはわからないが、実は日本でも最近よく聞くようになった「マインドフルネス」と呼ばれる瞑想法もこのマハーシ式から宗教的な要素を取り除いて作られたものだ。私からするとちょっとよく意味が分からないが、何らかの効果があるからよいのだろう、たぶん。
 マハーシ式、といっても大念処経という経典にある瞑想方法を用いているので、新しい瞑想法ではない。経典に沿った瞑想法である。そのあたりについては今は深追いしないでおきたい。

 ミャンマーで瞑想した記録については、いくつかブログがあったり出版物があったりもするので、今更私がわざわざ書くまでもないことと思っていたのだが、約一名の方から知りたいとの要望をいただいたのもあり、また再びミャンマーの情勢が変化し、以前のように渡航して瞑想するのが難しくなったという状況もあり、書き残しておいてもいいかなと思うようになった。何分古い話なので記憶を辿りながら、そしてどこに辿り着くのかよくわからない気がしながら、少しずつ書いてみようと思う。

 どうぞよろしくお願いします。

 


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