#328 忘れられない離任式
2023.4.30.
え?今日で4月が終わり?ウソでしょ?
金曜日、勤務校で離任式があった。東京都は昨年度から異動の発表が年度内に行われることになり、これまでは始業式になって初めて「あれ!〇〇先生がいない!」となっていたところが、その年度のうちに学校を去る先生とお別れができるようになった。
そんな変更もあって、離任式をどんな形でどのタイミングでやるかは学校によって違いがあるようだ。
これまでの王道パターンは、始業式で異動の発表→4月末に離任式→PTA歓送迎会→夜は職員で歓送迎会、である。
勤務校はどうやらこのパターンのようだ。
代表児童が手紙を読み、花束を渡す。その先生が次の学校のことや子供達へのメッセージを伝える。最後はみんなで校歌…。
懐かしいなと思いながら眺めていた。
私には、忘れられない離任式の光景がある。
初任校には5年在籍した。最後の年は1年生を担任して、初めての1年生だったし学年主任だったしで分からないことだらけ。あまりにも目まぐるしくて、落ち着いた気持ちで「子供たち可愛いなあ…」と思えたのは、3学期くらいだったようにも思う。
そうそう、年明けに土手で凧揚げをしながら学年の先生と「子供たち、成長したよねえ」と謎に2人で涙ぐんでいたくらいだ。その話を学校だよりの文章に入れたら、読んだ保護者が心配していた。笑
結局2人とも学校を離れることになったので、その1年生たちは始業式で動揺したことだろう。(いや、既に前日にあった入学式のアトラクション練習に私たちがいなかったがために、軽く混乱状態だったらしい。)
異動というのは、どんなに行った先が仕事のしやすい環境であったとしてもストレスがかかる。多くの先生がそうであるように私も、4月末の離任式で子供たちや仲の良い職員に会うことを楽しみに1か月を乗り切ろうと頑張った。
1か月を全力で駆け抜け、ようやくたどり着いた離任式の日。電車の中でようやく、みんなの前で話す内容について考え始める。全校の前でしゃべるのは、いつだってドキドキだ。
ちょうどその月の怪しげサークルで、尊敬する先生が、離任式でやったパフォーマンスの話をされていて、とてもステキだったので丸パクりすることにした。笑
校長室で待機している間に、画用紙と黒マーカーをお借りして、フリップを作成した。
まさかのフリップ芸である。
そうして、離任式が始まった。入場すると、体育館には見慣れた子供たちの顔。新2年生になった子達も「わああ!みゃー先生だ!」と騒いでいる。
私は1番手ではなかったので、他の先生への子供のお手紙やその先生の話をドキドキしながら聞いていた。
そして思う。
「私に手紙を読んでくれるのは誰だろう?」
私の中の離任式あるあるなのだが、手紙を読む代表児童には2パターンあるように思う。
1つ目は、かなり手のかかるやんちゃくんが出てくるパターンである。だが、このパターンはその子が手紙を書いたり前に出たりするのが苦手なことが多いので、相当励ましやフォローが必要である。
手紙は難しいからやんちゃくんが花束担当になっていることも多いように思う。
2つ目は、文章を書くのが上手なエースである。感謝の気持ちと共に具体的なエピソードなども盛り込むことができるので、選出されることが多い。そしてたいてい読むのも上手なので、安心感がある。
そうは言っても1年生。みんな「ありがとうございました。」で終わっていそう!
さて、私にはどんな子が来るのだろう。
端で待機する子を見る。おお、スーパーエースではないか。今後の学校行事で全校&保護者の前に出ても心配のないスーパーエースのカードを、離任式で切ってしまうなんてもったいないな…などといらぬ心配をしてしまう。
そんなスーパーエースHさん、普段は結構すました雰囲気で、私はこの子に嫌われているのでは?と思うほどドライな感じだったので、手紙担当だったのは意外だった。
Hさんが手紙を読み始める。
?
???
まさかのまさか、読み始め2行くらいで、Hさんが泣き始めたのである。あのクールビューティーが?私も驚きを隠せない。
でも、負けん気の強いHさん、途中で泣いて止まるわけにはいかぬとばかりに、大泣きしながらも手紙を読み続ける。最後はもう怒鳴っているというか、叫んでいるというか。。。
手紙も、きれいにまとめられたという感じではなく、私のすごいと思ったところ、私にしてもらってうれしかったことが、ただただたくさん並べられていた。
Hさんが大泣きで読み終わると、それが呼び水となり、会場の雰囲気がすごいことになっていた。2年生を中心に、号泣する子多数。
教師冥利に尽きる
って、こういう瞬間のことを言うんだろう。
こんなことになるなんて全然想像していなくて、聞いている間に私も泣いていたし、頭真っ白。
新しい学校には校庭に山があって、休み時間にカナヘビを取ってきた子がいたなどと紹介した気もするが、よく覚えていない。笑
そしてフリップ芸。今思えば、用意しておいてよかった。頭真っ白だったので。
Y先生、メッセージに激しく共感したので、全部パクらせていただきました。あれがなければ私のスピーチはとっ散らかったものになったことでしょう。
その子たちが、今年6年生。
機会があればぜひ、成長した姿を見に行きたい。
ちなみに「かえりのかいのサンバ」はこちら。
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