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#330 めちゃくちゃ時間がかかる新出漢字指導法

2023.5.2.
なんと良い天気。GWの狭間。授業でサポートとして入っていたところ、ある子に手招きで呼ばれた。
「今日、名古屋に行くんだ。公文が終わったらお弁当を買って。」
質問とかじゃないんかい!

休み時間になって「ところでみんなは明日が何の日か知ってるの?」と聞くと、こどもの日だのみどりの日だのと曖昧な答えばかり返ってくるので「何の日か分からない人は祝日じゃないらしいから学校来ないとだよ。」などとこちらも超適当なことを言っておいた。



小学校の国語の学習で、切っても切り離せないのが漢字。

最近授業を覗いていて考えさせられることも多いし、自分自身もいろんな学習方法を試してきた。


今日は新出漢字の学習方法で一番時間がかかるもの(おいおーい!)のやり方を紹介しようと思う。

上の記事の2番目、木下富美子先生方式である。


★漢字の学習で大事にしていること

①読むこと
読めない文字を書けるはずがないから。というか確か学習指導要領では、新出漢字はまず読めるように、次の学年までに書けるように…という位置付けだったと思う。なのに漢字テストですぐ書かせるという…スパルタ。

②身近に感じられること
常用漢字って…常用だからねえ。どんな使い方をするかが分かる(語彙を増やす)とか、意味とか、他の漢字とのつながりとかが分かるように。

③楽しいこと
何事も、楽しくないと続かない!①や②ができると楽しいし、学習自体もテンポ良くいきたいところ。


★日々の漢字指導を始める前に

漢字指導の一番初めに2つのことを共有する。みんながしっかり理解するまでやらなくて大丈夫。やっている間に覚えるので。

①型分け
漢字にはいくつかの型があって、知っている漢字の組み合わせでできていたり、一部だけ同じだったりするものもある。
部首と似たようなものだが、漢字を仲間分けする視点があると、他の漢字との繋がりも見えやすいと思う。

②部品
一画一画を
たて・よこ・かぎ・はらい・てん・つりばり
という6つの部品に分類する。分け方には諸説あり。異論は認める。

これを伝えておけばとりあえず大丈夫!


★新出漢字の指導

新しいところに入るときには、文ばかり20ほど並んでいるページを最初にみんなで読む。先生の後に続けて…から始めて、交互だったりペアだったり30秒で素早くだったり、いろいろ。読めなかったな…と思ったものには印やふりがなをつけさせるとよい。

こういうページね

そして今日やる漢字に。
やりとりでTは先生、Cは児童として…。

①型分け
T:じゃあまず型分けからいこう。これはどの型だと思う?Aさん!
A:左右です。
T:そうだね!(と言いながら漢字の上に左右の型を書く。写真の黄緑のところ。) 部首はこの左側のにんべんだね。

②読み、例文、熟語を全部読む ×2
T:はい、じゃあ読みます。「シン」
C:「シン」
T:「信号がかわる。」
C:「信号がかわる。」
T:「人を信じる。」
C:「人を信じる。」
T:「自信 信用」
C:「自信 信用」
T:「返信 通信」
C:「返信 通信」
これを2回繰り返す。

③意味を確認
T:意味は、合図、まこと、うたがわないってあるね。まことって分かる?(のように、必要なものは聞きながら)

④知っている熟語を挙げさせる
T:じゃあ、この漢字を使った熟語で他に知っているものがある人?
C:へんしん!
T:それは人(身)が変わるから「変身」だなあ。
C:送信
T:そうだね。じゃあみんな、送信だとこの中のどの意味で使ってるんだろう?
C:合図?
T:そうだね。他だとちょっと変だしね。
のようなやり取りをして、新しい熟語は板書する。できそうな子はドリルの下の隙間に書いていいよと伝えておく。身近な熟語は調べておいて、子供から出てこなければ紹介する。

私はgoo漢字で調べていた
熟語はここから必要なものを


⑤空書き ×2
ここで部品の指導が使える。信という字であれば
「はらい、たて、てん、よこ、よこ、よこ、たて、かぎ、よこ」
である。これをみんなで一緒に唱えながら空書きをする。窓側の人!とかで言わせたりも。

⑥字を見ずに空書き
⑤と同じことを、黒板の文字を隠しながら言わせるだけである。⑤が終わった瞬間に隠して、
T:見ないでどうぞ!
C:はらい、たて…
と、続けざまに進めるとテンポ良くいける。

⑦なぞり書き
T:鉛筆用意〜!できそうな人は先生と一緒に唱えながらね。いきまーす。
 はーらーい、たーて、てーん…
みんな同じタイミングでやる。フライングさせない。速すぎ遅すぎNG。空書きよりゆっくり、みんなの書くスピードを見ながら。1ミリもずれないように…などと言いつつも強制はせず。終わったらすかさず2つ目。たいてい3つ目からはなぞる部分が少なくなっているので「こっからが勝負ー!」などと言っていると、そのうち子供がマネし始めて「こっからが勝負ー!」とか言い出すので可愛い。最後のひとつは自分で言いながら書いてみてと言ってやらせる。


★良し悪し

この子供の自主性を重んじない一斉型のやり方がね。時代の流れには逆行?
そういえば一時期子供に一つずつ漢字を割り振って先生役をやってもらったこともあったが、より一層時間がかかるので断念。あれはあれで面白かったのだが…。

私がこの方法の好きなところは、みんなでワイワイ熟語について考える④のところである。そのせいで時間がかかるんだけどね!


やり方は星の数ほどあると思うが、「読む」「身近に感じられる」「楽しい」だけははずさず漢字と親しめるように、私も声かけをしていきたい。

◆おまけ/この漢字はなーんだ

たて、かぎ、たて、よこ、よこ、てん、つりばり、てん(?)、てん




#教員エッセイ
#漢字指導法
#時間かかるやつ

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