玉の輿なら第三夫人を狙え
石油王と結婚して悠々自適な第二の人生を送りたい方に向けたお話です。
先日、同僚と「イスラームの一夫多妻制において、はたして第何夫人が一番お得か」と議論になりました。まとめると↓こんな感じになります。
第一夫人:正妻としての役割。やらなきゃいけないことも多い。
第二夫人:一番不遇。存在感薄い。
第三夫人:おススメ。ローリスクで美味しいとこ取り。
第四夫人:一番愛されるポジション。ただしハイリスク。
以下解説。
日本においても、イスラーム=一夫多妻というイメージを持たれている方は多いかと思います。一方で、誤解もまた多く、議論に移る前にまずはその前提となる諸条件…一夫多妻制の実態についてご説明しなければなりません。
まず一夫多妻制というと多くの方がハーレム、「大勢の美女に囲まれている王様」というイメージを持たれているかと思いますが、原則として同時にもてる妻は4人までとされています。ただしここで一つ気を付けなければいけないのは、4人は入替可能という点です。4人はあくまで同時にもてる上限であって離婚することで何人とでも結婚できます。(そういったロジック…超短期間の結婚・離婚で事実上の売春が行われているケースもあります)
またこれは当然ですが、4人まで認められているというだけであって、男女比が1:4というわけではありませんので、実際は一夫一婦のご家庭がほとんどです。そもそも一夫多妻制は戦争の結果大量に発生した寡婦の救済を目的としており、養えるだけの経済力が大前提となっています。
4人まで、とされている理由もそれが平等に愛せる限界だからではないかと思います。というのもこの一夫多妻制の最も重要な前提として、先の経済力の話にも繋がるのですが、すべての妻を平等に愛さなければならない、というものがあるからです。これは費用面だけでなく、時間的にも平等である必要があり、歴史上「第〇夫人とばかり過ごしていて不平等だ」という訴えに関して、「月曜日は第一夫人と、火曜日は第二夫人と…過ごしなさい」という判決が出されたことがあるそうです。ただ、残念ながら実態としてはやはり新しい妻ほど愛される傾向にあるようで、そのような裁判が起きるということが、逆説的にその証拠といえるかもしれません。ただ、ここで重要なのはそのような訴えが認められる…これはつまり一夫多妻制において、女性側に権利を主張することが認められる、そもそも女性側に決定に関する権利があるということです。新たに妻を持つことに関し、現在の妻には拒否する権利があります。ちなみに、こうした条件(第二夫人まで認める、等)を婚前契約で定めるケースも多いです。
さてここで本題(?)の第何夫人が一番お得か、という議論に移りますが、最初にも書いた通り、第二夫人以降について決定権を持つなど、やはり第一夫人は一番立場が盤石です。しかし正妻としての役割も多いため、楽な生活を求めて結婚を狙う方にはお勧め出来ません。またあとになればなるほど(一般的にいって、一番若い)大切にされる傾向にあるものの、第四夫人は離婚リスクが一番高いため避けた方が無難でしょう。そうなると政治的な義務もそこまで多くなく、かつリスクが低い第三夫人のお得度が一番高いと言えると思います。ちなみに一番不遇であるのは第二夫人。
ただ、上に申し上げましたことはあくまで一般論に基づいた私の主観的な感想であり、家族のあり方は日本と変わらず十家十色です。何ら責任を持てるものではありませんので、あしからず。
※補足という名の言い訳:イスラーム教圏の中でもジェンダーは特に地域差の大きく10代の少女と結婚できる国から法律で一夫多妻を禁じている国まであります。また認められている国でも都市部と地方ではかなり考え方が違います。私もイスラーム教圏に住んでいるとはいえ、首都であり、また普段接する人も西洋的な考えに近い人が多く、一夫多妻の方は少ないです。一方で同じ国でも地方はもっと当たり前に行われているとも聞いています。
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