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わたしと霊性|第8話 最高と最低
人生における最高とは、そして最低とは一体どんな瞬間でしょうか?
これから綴る話は僕の人生の最高な部分であり、同時に最低な部分の話です。
僕が幼い頃から独特な感覚を持っていたことは以前に少し綴らせて頂いたけれど、実はまだ重要な部分を綴っておりませんでした。
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それは何かと言うと、いつも心の中に誰の声なのか分からない「謎の声が聴こえていた」ということです。
それはいつから始まったことなのか、気が付いたらそれが当たり前の状態だったので、その時はそれが「全ての人にとっての当たり前の状態」として認識して生きていました。
頭の中にはいつもおびただしい数の声が溢れている。しかしそれを「自らの正常な思考の動き」と捉えて何の疑問も持たずに生きていくのですが、ことは次第に思わぬ方向へと変化していきます。
僕が中学生になった時ぐらいから、「心の声」は僕とも違う様な「一定の性格・人格」の様なものを帯びるようになります。そして高校生の頃には僕に罵声を浴びせて来るようになりました。
四六時中、僕を不安にさせるようなことや、自信を失わせるようなことばかり言ってくるのです。気が付くと、それはもう「悪魔」としか形容出来ないようなとんでもない存在になっていました。
その存在は非常に暴力的であり、残忍であり、陰湿であり、言ってみれば「愛」とは真逆の方向性を持った存在です。
この時には僕に罵声を浴びせるばかりでなく、家族、友達、世の中の全てのものごとに対して、無差別に「死ね!」「殺せ!」と罵声を浴びせていました。(現実にではなく僕の心の世界の中で)
もちろん僕自身が対象の人やものごとに対してその様に思っているわけではありません。
現実に誰かと会話をしようとすると、真っ先に悪魔がそのような言葉を相手に浴びせようとするので、僕はいつもその悪魔を心の中で押さえつけるので必死でした。
人と会話をすることにおいて「本当の自分の声・言葉」を相手に返す、それを通すということが、毎回針の穴に糸を通すぐらい大変でとても苦しいことだったのです。
「矢野くん(トワ)はいつもニコニコ笑顔で、悩みが無さそうで本当にいいよね!」
周りの人たちからはよくそんなふうに言われていましたが、心の内は悪魔の声との戦い、葛藤でいつもボロボロで、日々擦り減っていく自分を感じていました。
そのような苦しかった状況を耐え抜き、大切な人たちに現実的に罵声を浴びせることなく、僕は高校を卒業してやがて社会人になっていきます。
なぜいつも嫌な声ばかり聴こえて、苦しい想いをしなければならないんだろう。
絶対的に僕の性格や人格から生まれる言葉だとは思えないけれど、もし万が一、これが本当の僕の心であり、本当の僕の姿だったらどうしよう。
そうだとしたら、自分は「心の汚い人間」なのではないか。
本当は「悪魔」なのではないか。
日々その様な葛藤を抱えて生きる僕を尻目に、悪魔はやがて大悪魔へと成長します。
そしてついに事件は起こってしまいました。
つづく
◆「わたしと霊性」第1話はこちらから