食べ物を捨てるこどもたち-イギリスの給食事情-
ランチタイムの仕事
現在私はプライマリースクールで、ランチタイムだけ働いている。
3月頃から、それまでグランドで遊ぶ子どもたちを見守る仕事が、テーブルを拭いて床の掃き掃除をし、更にできる限りたくさん食べるように促すことと大きく変わった。しかしこれが難しい。
スクールランチのメニュー
校内で1番大きい部屋(ホール)にテーブルと椅子をセットし、4-5歳クラスから10-11歳クラスが入れ替わり立ち替わりランチを食べに入ってくる。
学校が提供するランチは、6-7歳学年まで無料であるが、家から持参も可である。低学年のうちはスクールランチの数の方が多数で、高学年は家から持参する子の方が多い。ちなみに学校が提供するランチはこれ。
保護者がアプリから毎朝8時までにオーダーし、キッチンスタッフ2-3人が温かい料理を作ってだしてくれる。(隣の学校ではアプリはなく、子どもがその場で食べたいものを取りに行くらしい)
捨てられていく食べ物たち
この学校では、残さず綺麗に食べる子供はごく少数。残して当たり前の世界である。ほとんどの子が「いただきます」の気持ちは持ち合わせていない。
ちょっとだけ捨てる子から、i dont like itと言ってスプーンすら持とうとしない子まで。恐らく塩分やカロリー計算されたスクールランチは家で食べているものに比べて美味しいとは言えないのだろう。家でも好きなものしか食べないのなら、ランチタイムのおばちゃんに何を言われようが食べようとしないのは当たり前だ。
家から持参する子だって、何食わぬ顔で口をつけていないサンドイッチや開封していないヨーグルトや果物を捨てていく。そして毎日ゴミ袋には食料が大量に捨てられていく。
もちろん捨てようとする子がいれば注意はしている。家に持って帰って親に見せ、次回は違うものを持ってきてもらうように、と言う。毎日の食事を摂るのも金銭的に厳しい家庭もあり、その子どもが開けてもいない食品を捨てることは避けなければならない。でも子供は納得しない。彼らはとにかく捨てたがる。こちらの目を盗んでは一目散に捨てようとする子が後を立たない。
イギリスの貧困問題
昨今の物価高で日常生活品や学校給食すら支払えない家庭が増えているというニュースを目にする。もしかしたらスクールランチ時には、3食ままならない子供とランチを平気で捨てる子供が隣り合わせかもしれない。(3色ままならない子どもが食べ物を捨てないとも限らないが)
無論、スクールランチが大量に破棄されることと、貧困層の家庭の子どもが食事を摂れないことは、異なる問題ではある。ただ、食べ物に限らずとも、物を捨てていくことになんの罪悪感も生まれない人間が多くなってしまっては、世も末。
一体何が変われば改善されるのか。
無力な私はただモヤモヤしながら、無残にも破棄された食料でいっぱいのゴミ袋を新しいものに変えるのである。
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