富山の旅Part 2~散居村のアートホテル・楽土庵へ
富山の旅の第2弾は今回の目的の一つであるお宿「楽土庵」(砺波市)です。
散居村というのは、民家が広大な耕地に個々に散らばって存在する集落の形態のこと。胆沢平野(岩手県)、出雲平野(島根県)と並んで、ここ富山の砺波平野が知られています。
まとまっている集落ではなく、独立して各家が建っており、自分の家を守るため、玄関を東に設置している「アズマダチ」というのも特徴のひとつ。冬の季節風が南西から吹き、夏の西陽が厳しいから、各お屋敷の屋敷林と呼ばれる立派な木々が南西に植えられているのだそうです。先人の知恵。
楽土庵は築120年のアズマダチを復元していて、古くて太い立派な梁など贅沢な木材をふんだんに用いた見事なリノベーション!
ゲストルームは3つ。「土」「絹」「紙」のテーマごとに異なるコンセプトとなっています。私たちが宿泊したのは「紙」のお部屋。天井、壁、障子、照明まで紙の部屋は優しい温かな柔らかい空間です。
そして、お部屋のアロマやアメニティもオリジナル。ウッディで落ち着くトーンの香りに包まれ、アメニティは別に購入したくなる充実ぶり。ルームウェアも着心地穏やかで、かつセパレートなのも個人的に好み!
ロビーラウンジやライブラリー、ウェルカムのお抹茶に使われた器は陶芸家の柴田雅章さんの茶碗。現代美術家・内藤礼さんの絵画『color beginning』と
小さな木彫の《ひと》も飾られていました(なぜか写真撮れてない・・・)。豊島美術館のあの丸く楕円に切り取られた天井の、あの内藤礼さんです。
お夕食は隣のil clima。富山の食材を見事に活かしたイタリアン。伊藤シェフのセンスが際立つ器や盛り付けもアート。お部屋同様に民藝とアートがほどよく調和しています。サーブしてくださる方々もカジュアルすぎず堅苦しくない、絶妙のホスピタリティ。
こちらは奮発したスペシャルコース(写真はこれでも全部ではないんです)。思い出しただけでまた行きたくなります・・・これは都内でいただいたらきっと倍くらいの価格になると思います。
宿泊者でなくてもレストランの利用はできるそうですが、宿泊者の特権は気軽な室外履き(楽土庵さんがご用意くださったおしゃれなサンダル)で行けるところ。暮れゆく空の変化を横目にリラックスした時間。
そしてサステナブルな取り組みとして、宿泊料金の2%を散居村保全活動の基金に充てるということ。宿泊することで、この美しい風景である散居村の何かに役立てるのです。まさに「リジェネラティブ・ツーリズム」ですね。