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こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。

大学院でも常に頭に置いている「良い問い」を導き出すこと。私の長きにわたる課題です。今日は「良質な問い」について書いてみようと思います。

「良質な問い」を生み出す習慣が大切

ビジネスでも勉強でも「言われたことをやる」「何かを覚える」ことばかりに長けていると、「良質な問い」「本質的な問い」を生み出す習慣が失われていきます。

優秀なビジネスパーソンは「良質な問い」を常に自分の中で生み出し、問いかけ、検証し、という思考を繰り返しています。

でも、残念ながら、都庁で評価される優秀な職員が必ずしも皆そうとも限らず、「言われたことに対するアウトプットが正確、的確」なことに重きを置きがちです。

特に行政は対象がセグメントできない幅広さで、老若男女、価値観もライフスタイルも全く異なる人々を相手にします。

「誰もが幸せ、誰も取り残さない」と言うは易しですが、新しいことには必ず賛否が分かれます。

何かを新しいことに取り組めば、失敗もあるのは当然のこと。

だって誰もまだやっていないのだから。

失敗が評価されない仕組みが問題

でも、日本の行政においては「失敗」はあり得ない、という前提で進みます。税金を使っているのだから失敗は許されない。となると、始めるのも非常に慎重になります。軽やかなファーストステップとはなりません。

「失敗したことを認めない」(何なら隠そうとさえする)
「失敗しない人が評価される」
「だったら何もしないで事なきを得るほうがオトク」

「結果、特段失敗しない、無難にこなす人が評価されていく」

オフェンスよりもディフェンス重視の組織です。改めて思いますが、これでイノベーションが起こるわけないですよね。

優秀なピッチャーと守備陣で一点も取られないように必死だけれど、負けないけど勝てないのです。そもそも、行政は勝つ必要なんてないのだ、という話になりそうですね(笑)

そして、行政でよく聞く言葉「始めるのは簡単だが終わらせるのは難しい」一度着手してしまうと、それを終わらせる判断が難しいとのこと。だから始めない、の悪循環。

小池都知事の実績について、色々ご意見があると思いますが、私がこれは評価できる!と思ったことは「全ての事業に終期を設ける」という考え方。

これは2018年予算編成の時の知事会見の抜粋です。

予算案のフレームでございますが、一般会計の総額は2年ぶりのプラスで、7兆円台に乗っております。7兆460億円。全ての事業に終期、終わりを設けるということで、それに加えて、客観的な指標、エビデンス・ベースによります評価を新たに実施するなど、事業評価の取組を強化いたしまして、徹底的に無駄を排除したことで、これは過去最高になります870億円の財源を確保したところでございます。
やはり長年続いてきて、産業そのものが変わった、社会そのものが変わってきた、ニーズが減ってきたという、そういったことを、ずっとそれぞれ局で検討して、結果が先ほど申し上げた件数に上るわけであります。こういった作業はこれからも続けていくというのが、私の東京大改革の一環でございます。

検証の仕方がかなり画一的で各局からの反発もありましたが、確かに一度確保した予算はキープされて当然、ではなく、「この事業とそちらの事業、どちらがニーズが高いか」というスクラップアンドビルド議論になります。

すると、A部長とB部長の手腕みたいな、また違うベクトルも出てきますが・・・

そんな構造ですので、事業への取り組みそのものも守りになりがちです。

ビジネスに携わっている人は理解できると思いますが、事業の1年目、2年目、3年目ではかかるコストは全く異なります。イニシャルコストとランニングコスト。

でも行政の場合、単年度予算が大原則です。

イニシャルが大きくなりがちなのです。委託する事業者が毎年変わる前提ですので、その無駄も大きい。では特命随意契約で同じ契約をしようとすると、汚職防止の観点からそのハードルが高く設定されており、また業務が煩雑。

それでも、行政の存在意義を考えて、懸命にこの膨大な業務量に立ち向かううちに、「良質な問い」なんて考える余裕がなくなっていくのです。

良質な問いをどうやって生み出すのか

「良質な問いを生み出す」のは自分にとっては、とてつもなく大きな課題です。

でも、当たり前を疑い、常識の枠を外す。あえて反論から考える、などの発想の柔軟性はトレーニングではないかと思っています。

「良質な問い」が大きなイノベーションにつながらなくても、日々の業務レベルから常に「問いを生み出し続ける」習慣が改善に繋がるのは、ご存知トヨタの例で周知の事実です。

良質な問いをたてるための私が気をつけているポイントはこの3つです。

1 置かれている現状を認識し、過不足、違和感を客観的に徹底的に見る
2 その過不足、違和感を言語化する
3 「正解はない」前提で考える

長く勤め人をやっていると、特にこの3番目は難しい。

「正解もどき」を先に導き出して、そのもどきにどうエビデンス作るかという、問いを立てるのとは全く逆の作業に陥りがちです。その方が早いですから。

でも、やっぱりそれって作業ですよね。民間時代の上司に言われた言葉です。

仕事のうち、作業の部分をいかに少なくするか。
それが高い給料をもらって働く者の役割だ。

「良質な問い」を「良質な思考」につなげていきたいですね。切実な願い。

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植田 聡子/観光コーディネーター、PRコンサルタント、GR、キャリアコンサルタント
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