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観光はプロダクトアウトではなくマーケットイン

こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。

物を作れば売れる時代はもう終わった

プロダクトアウトか、マーケットインか、はそれぞれ主張がありますね。

「マーケットを見すぎると結局似たようなものしか作り出せなくなる」

マーケットインは「既に市場がある」という何らかのエビデンスがある時点で、もう革新性は失われています。「どこか見たことあるものが少しステキ」レベルに陥りがちです。

言語化されていないユーザーのニーズ、それを捉えるためのエビデンスを集めるのは困難です。

では「ものづくり日本はやっぱりプロダクトアウトでしょ?」といって、ソニーやアップルを例示するのも単純すぎるのかも。革新的な商品サービスはなかなか簡単には生まれません。マーケットインの論者たちを説き伏せるなど、社内外のステークホルダーとの調整も時間を要します。

ではこの話、観光地のブランディングは?

そうなると、この論戦が一気に「プロダクトアウト」に偏ってきます。
つまり「これがあるから、これを売る!」

確かにそうですよね。商品サービスと違って、北海道がいきなり南国にはならないし、空港からの距離が一気に縮まるわけもなく。外的要因に左右され、かつ変動要素が少ない割に、観光業って利害関係者がたくさんいて、一枚岩にならない。

うちの地域はこれが名産だからこれを売りたい

ほら、まさにプロダクトアウト発想。

でも、その場合の重要なポイントが抜け落ちがち。そのプロダクトは圧倒的な価値提供を実現できるのでしょうか。「あるから売る」「磨き上げて売る」??

やっぱり広報PRの立場で考えると、「どんな人に来てもらいたいの?」「その商品サービスをユーザーは欲しいの?」「競合はどこを想定していて、どう差別化してるの?」と聞きたくなります。

別に観光地は「絶対ここに行かなきゃならない」しばりなんてないのですから、「その土地ならではの強み」と「ユーザーのニーズ、満足(特に情緒的価値、自己表現価値の提供)」がマッチすることが重要だと常々考えています。

©️Kiwi PR, LLC

例えば食べ物の場合、「空腹を満たす」「ある程度はおいしい」は「機能的価値」。そこでは差がつきにくいのが現状。

わざわざその土地に行って食べるものが「非日常」であるという高揚感、それが「情緒的価値」。人につい伝えたくなるようなもっと高い感情からアイデンティティにまで及ぶような「自己表現価値」。

観光地においては、もっともっと「マーケットイン」思想を普及しないといけないな、というのが最近の私の頭の中です。


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